この記事でわかること
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アプリをインストールするとき、「このアプリはあなたのストアの◯◯にアクセスします」という画面が表示されます。項目が多く専門用語も混じっているため、読み飛ばして先へ進んでしまいやすい画面です。
ただ、そこを飛ばし続けると、自分のストアの顧客情報が、いま何社の外部サービスに渡っているのかが分からなくなるという状態になります。
この記事では、Shopifyの公式ドキュメントで確認できる範囲に絞って、アプリが実際に読める・書けるデータの範囲、それを管理画面のどこで確認できるか、そしてアンインストール後にそのデータがどうなるかを整理します。
先に結論:確認できる場所は3つだけ
アプリのデータアクセス範囲を確認できる画面は、大きく3つあります。
インストール画面は、インストール前に見られる唯一の場所です。Shopifyヘルプセンターによれば、この画面には「個人データの表示」と「ストアデータの表示と編集」という2つのカテゴリーが表示され、それぞれを展開すると具体的な権限を確認できます。開発元のプライバシーポリシーへのリンクもここに置かれています。
管理画面の「設定」→「アプリ」から各アプリの概要ページは、インストール後にいつでも見返せる場所です。「アクティビティと権限」セクションに、そのアプリがストアのどの領域を表示・編集できるか、そして各領域で最後に活動した日付が並びます。
**「設定」→「顧客イベント」**は、アプリが埋め込んだピクセルのデータ共有設定を確認する場所です。ここは権限とは別系統で管理されており、見落とされやすい部分です。
押さえておきたいのは、Shopifyが「インストール前に確認する場所」として案内しているのは、掲載ページではなくインストール画面だという点です。料金も機能もレビューもApp Storeの掲載ページで比較できる一方、データアクセスの範囲は「インストール」を押した先の画面まで進まないと確実には分かりません。比較検討の段階では判断材料に入れにくい構造になっています。
インストール画面で確認すべき2つのカテゴリー
インストール画面の「個人データの表示」には、そのアプリが読める個人情報の種類が並びます。Shopifyヘルプセンターは、アプリがアクセスしうる個人情報を4つに分類しています。
顧客の個人情報は、氏名、メールアドレス、電話番号、住所などの連絡先情報です。注文・フルフィルメント・配送を扱うアプリは、これに加えてIPアドレスや位置情報、ブラウザやOSといったユーザーエージェント情報にもアクセスします。
ストアオーナーの個人情報には、氏名、メールアドレス、電話番号に加えて、すべてのロケーションの住所が含まれます。
スタッフの個人情報は、スタッフの氏名、メールアドレス、電話番号です。
コンテンツ提供者の個人情報は、ブログの著者やコメント投稿者に関する情報で、メールアドレスやIPアドレス、ユーザーエージェント情報が含まれます。ブログ関連のアプリを検討している場合、この項目が付くかどうかは見ておく価値があります。
同ドキュメントは、インストールしたすべてのアプリが、Shopifyアカウントに関する個人情報(連絡先情報と所在地)にアクセスできるとも明記しています。これは機能に関係なく発生します。
インストール後:「未使用のアクセス」が判断材料になる
インストール済みアプリの棚卸しで、いちばん実用的なのが「アクティビティと権限」セクションです。
Shopifyヘルプセンターによれば、このセクションにはアプリが表示・編集できる領域と、各領域での直近の活動日が表示されます。領域名にカーソルを合わせるとその領域で何にアクセスできるかの詳細が出て、活動日をクリックすると過去30日間の表示リクエスト・編集リクエストの件数と最終リクエスト日が確認できます。
そして、過去30日間に一度も使われていない権限は「未使用のアクセス」という項目にまとめて表示されます。
これは棚卸しの起点として使えます。顧客情報の読み取り権限を持っているのに30日間一度も読んでいないアプリは、その権限が本当に必要なのか、あるいはそのアプリ自体がもう使われていないのかを疑う手がかりになります。同ドキュメントがデータへのアクセスを取り消す方法として案内しているのはアンインストールなので、判断の結果として取りうる行動はそこに集約されますが、「なんとなく入れっぱなし」を減らすには十分な材料です。
ただし制約があります。同ドキュメントには、アプリの活動と権限が追跡されるのはサードパーティ製アプリのみで、Shopifyが提供するアプリはShopifyの機能と密接に連携しているため活動を追跡できない、と注記されています。Shopify製アプリの利用状況をこの画面から知ることはできません。
「プライバシー」セクションも同じ概要ページにあります。こちらはアプリがアクセスできる個人データを「顧客」「スタッフと貢献者」といったカテゴリー別に整理して表示し、開発元のプライバシーポリシーへのリンクを備えています。
Shopify側が仕組みとして絞っている範囲
権限の話は、マーチャントが承認するかどうかだけで決まっているわけではありません。Shopifyは開発元側にも制限をかけています。
shopify.devの「保護対象の顧客データの取り扱い」ドキュメントによれば、公開アプリは扱う顧客データの範囲に応じて3つのレベルに分類されます。
レベル0は顧客データを一切使わないアプリで、追加の手続きは不要です。
レベル1は、氏名・住所・電話番号・メールアドレスを除く顧客データを使うアプリです。パートナーダッシュボードから保護対象顧客データへのアクセスを申請し、レベル1の要件を実装する必要があります。
レベル2は、氏名・住所・電話番号・メールアドレスを含む顧客データを使うアプリです。データ本体とは別に、これら4つのフィールドを1つずつ個別に申請する必要があり、レベル1とレベル2の両方の要件を実装したうえで、データ保護レビューへの参加が求められます。
Shopifyが承認するのは、アプリが機能を提供するために必要な最小限のデータだけとされています。承認されなかったフィールドは、APIのレスポンスから伏せられます。同ドキュメントの例では、電話番号の承認を受けていないアプリが顧客の電話番号を要求すると、HTTPステータスは200のまま値が null で返り、エラーメッセージが添えられます。
要件の中身は、選定の判断材料になります。レベル1には、保有期間の設定、保存時と通信時の暗号化、処理目的の限定、マーチャントへの説明などが含まれます。レベル2ではさらに、バックアップの暗号化、テスト環境と本番環境の分離、スタッフのアクセス制限、保護対象顧客データへのアクセスログの保持、セキュリティインシデント対応方針の整備が加わります。顧客の氏名やメールアドレスを扱う公開アプリには、少なくともこの水準を満たすことが求められています。
なお同ドキュメントは、データ保護レビューの対象になりやすいアプリの特徴として、インストール数が多い、扱う顧客レコードの量が多い、承認された保護対象フィールドが多い、個人データの保有期間が長い、という4点を挙げています。
「直近の注文」と「すべての注文」は別物
注文データを扱うアプリをインストールするとき、注意して見たい区別がひとつあります。
Shopifyヘルプセンターによれば、注文データを使うアプリは「直近の注文へのアクセス」または「すべての注文へのアクセス」を要求します。直近の注文の権限では過去60日分の注文データにしかアクセスできず、すべての注文の権限では過去と未来のあらゆる注文データにアクセスできます。
そして同ドキュメントは、すべての注文へのアクセスを要求するアプリについては、そのデータが本当に必要かをShopifyが審査すると記しています。逆に言えば、この2つは同じ「注文へのアクセス」という言葉でくくられていても、影響範囲がまったく違います。
カスタムアプリは審査を通っていない
ここまでは公開アプリの話です。開発会社に依頼して作ってもらったカスタムアプリは、扱いが違います。
shopify.devの同ドキュメントによれば、**カスタムアプリはレベル1もレベル2も「常に利用可能」**とされており、公開アプリのような審査を経ずに保護対象の顧客データへアクセスできます。開発ストアにのみインストールされるアプリについても、審査の申請は不要です。
ただし、管理画面から作成するカスタムアプリのレベル2 PIIアクセスにはプラン要件があります。Shopifyヘルプセンターは、カスタムのレベル2 PIIアプリを利用するにはストアがGrowプラン以上である必要があり、Basicプランに新規登録またはダウングレードするとアクセスできなくなると明記しています。
インストール手順も公開アプリとは異なります。カスタムアプリは開発元から個別のインストールリンクを受け取る形式で、そのリンクはセキュリティ上の理由から7日で失効します。App Storeの掲載を経由しないため、審査という第三者チェックが入っていないことは前提として意識しておく必要があります。
アプリピクセルは権限とは別に管理されている
もうひとつ、権限画面には出てこないデータの流れがあります。アプリが設置するピクセルです。
Shopifyヘルプセンターによれば、アプリピクセルには2種類のデータアクセス設定があります。**「常にオン」はそのピクセルが顧客データ・ビジネスデータのすべてに制限なくアクセスできる状態、「最適化」**はShopifyが分析と広告配信のパフォーマンスを見ながらアクセスを調整する状態です。
「最適化」では、マーケティングピクセルが必要以上のデータを共有していると判断された場合に、共有の一部または全部が一時停止されます。同ドキュメントが挙げている例は分かりやすいものです。数か月試したマーケティングアプリを使わなくなり、サブスクリプションを失効させたまま放置していると、裏側ではピクセルがすべてのデータにアクセスし続けます。「最適化」であれば、十分な非活動期間を経てデータ共有が自動的に停止されます。
**アプリピクセルのデータアクセス設定は、既定で「最適化」**です。「常にオン」になっているピクセルのうちストアへ流入を発生させていないものには、警告アイコンが表示されます。ただし、分析アプリのピクセルなど最適化に対応しない種類もあり、それらは「常にオン」のままになります。
変更の履歴は「顧客イベント」の各ピクセルの詳細ページから確認できます。同ドキュメントによれば、この活動ログが記録しているのは2026年6月3日以降の変更で、それ以前の変更は含まれません。
アンインストールしたあと、データはどうなるか
権限を取り消す方法は、Shopifyヘルプセンターによればアンインストールのみです。そして、そこから先の流れには日数の目安があります。
アンインストールから48時間後、Shopifyは開発元に対して、インストール中に収集した顧客の個人情報をすべて消去するよう要求を送ります。shopify.devの説明では、これは shop/redact というWebhookとして送信され、ストアIDとドメインが渡されます。
開発元がその要求に応える期限は、受信から30日以内とされています。ただし法的にデータを保持する義務がある場合は、この限りではありません。
そして、Shopifyヘルプセンターは重要な注記を添えています。要求したデータが実際に削除されたかどうかを確認するには、アプリの開発元に直接問い合わせる必要があります。 Shopifyは要求を送るところまでを担当し、削除の実行を保証するわけではありません。
個別の顧客について削除を依頼した場合も同様で、同じ要求がその顧客の情報を持ちうるすべてのインストール済みアプリに送られます。なおshopify.devによれば、直近6か月に注文のない顧客については削除要求から10日後にWebhookが送信され、注文がある場合は6か月が経過するまで要求が保留されます。
Shopify管理画面から顧客の個人データを削除する操作については、提出後10日以内であればキャンセルできます。またこの操作は、氏名や住所といった個人情報を伏せるものであって、顧客プロフィールと注文履歴自体は管理画面に残ります。プロフィールごと消す「顧客の削除」とは別の操作です。
削除に関連して、もうひとつ注意点があります。事前承認済みの支払い(予約注文や定期購入など)がある顧客の個人データを削除すると、残りの支払いは請求されず、サブスクリプション契約はキャンセルされます。
導入前・棚卸し時のチェックリスト
- インストール画面の「個人データの表示」に、機能から想像できない項目が入っていないか
- 注文データへのアクセスが「直近60日」か「すべて」か
- ブログやコメントを扱わないアプリに、コンテンツ提供者の個人情報が含まれていないか
- 開発元のプライバシーポリシーに、保有期間と削除手続きが書かれているか
- インストール済みアプリの「未使用のアクセス」に、顧客情報の権限が残っていないか
- 「顧客イベント」で「常にオン」のままになっているピクセルがないか
- カスタムアプリの場合、レベル2 PIIのプラン要件(Growプラン以上)を満たしているか
- 解約するアプリについて、開発元に削除完了の確認を取る手順を決めてあるか
まとめ
判断の軸は3つに整理できます。
**1つめは、比較検討の段階でデータアクセスを見る癖をつけること。**App Storeの掲載ページには載っていないため、意識しないと最後まで見ないまま導入することになります。インストール画面は、押し切る前に読む価値のある唯一の画面です。
**2つめは、「未使用のアクセス」を棚卸しの入口にすること。**30日間使われていない権限は、そのアプリを本当に使っているかを見直す具体的なきっかけになります。ただしShopify製アプリはこの追跡の対象外です。
**3つめは、削除して終わりにしないこと。**アンインストールは権限を取り消しますが、開発元の手元にあるデータの削除は48時間後の要求と30日の猶予を経て行われ、その完了はShopifyでは確認できません。取引先として顧客データを預けていた相手だと考えれば、確認の一手間は不自然ではないはずです。
アプリを削除したあとにストア側へ残るものについては、Shopifyアプリの棚卸しガイドで整理しています。料金面の確認はShopifyアプリの料金はなぜ見積もりとずれるのかを、速度面はShopifyアプリはストアを遅くするのかをあわせてご覧ください。
この記事の内容は2026年8月31日時点のShopify公式ドキュメントに基づいています。仕様は変更される可能性があるため、導入前には最新の情報をご確認ください。
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