この記事でわかること
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「Shopifyでブログを始めたいが、まずアプリを入れるべきなのか」。この判断でつまずくストアは少なくありません。
検索するとブログアプリの紹介記事は大量に出てきます。ところが、そこで挙げられている機能のうち何割がShopifyの標準機能で足りるのかを書いた記事はほとんどありません。結果として、月額を払ってから「これ、標準でもできた」と気づくケースが起きます。
この記事では、Shopifyヘルプセンターの記載をもとに標準ブログ機能の範囲を棚卸しし、そのうえで「ここから先はアプリが必要」という境界線を引きます。調査日は2026年8月31日です。
先に結論
判断は次の4つに分かれます。
月に数本の記事を書き、テーマのデザインで満足している なら、標準機能だけで運用できます。アプリは不要です。
記事が長く、読者が目的の見出しへ飛べないことが不満 なら、目次だけを追加する軽量アプリで足ります。月額数百円の世界です。
記事のレイアウトそのものを作り込みたい なら、ブログビルダー系アプリが選択肢になります。ただし月額は一段上がります。
他のCMSから記事を移す、または記事数が数十本を超えて運用を仕組み化したい なら、一括インポートや分析まで含めた運用系のアプリを検討する段階です。
以下、それぞれの根拠を見ていきます。
Shopify標準のブログ機能でできること
まず、追加費用なしで使える範囲を確認します。以下はすべてShopifyヘルプセンターに記載がある内容です。
複数ブログの作成:ストアには既定で News というブログが用意されており、これを編集できるほか、ブログ自体を追加で作成できます。ブログ名は255文字まで設定できます。
記事の作成と編集:タイトルは255文字までで、保存には必須です。本文はリッチテキストエディタで、画像の挿入、リンク、表の作成、動画やその他メディアの埋め込みに対応しています。
アイキャッチ画像と抜粋:記事一覧ページに表示する画像と、抜粋(Excerpt)を設定できます。抜粋にはテーマ次第で画像や書式、リンクも含められます。抜粋を設定しない場合は本文の一部が表示されますが、そのときは画像・書式・リンクが落ちた状態になります。一覧ページの見え方が揃わない原因はここにあることが多いです。
タグによる分類:記事にタグを付けて分類でき、タグは255文字までです。読者はタグ名をクリックして同じタグの記事を辿れます。ストア内検索でタグを検索した場合も、該当する記事が検索結果に表示されます。
SEO関連の編集:記事ごとにページタイトル、メタディスクリプション、URLハンドルを編集できます。ヘルプセンターでは、タイトルが70文字、ディスクリプションが320文字を超えると検索結果で省略される可能性があると案内されています。URLを変更する際は、リダイレクトを作成するオプションが既定で選択された状態になります。
公開日時の予約:記事は既定で非公開で、公開して初めてストアに表示されます。カレンダーから日時を指定した予約公開も可能です。
テンプレートの切り替え:カスタムテンプレートを作成してある場合、ブログ単位・記事単位でテーマテンプレートを指定できます。
コメントの管理:コメントはブログ作成時には無効です。「無効」「承認制」「自動公開」の3つから選べます。Shopify側がスパムの兆候を自動判定してフラグを立て、フラグの付いたコメントはブログに表示されません。管理画面では承認、スパム指定、スパム解除、削除ができます。
AIによる下書き生成:Shopify Magicを使い、タイトルと本文をAIで生成できます。Shopifyがサポートするすべての言語で利用でき、出力させたい言語と同じ言語でプロンプトを書くと精度が上がるとされています。ただしヘルプセンターには、生成された内容の正確性の責任は利用者側にあり、公開前に必ず読み込むよう注意書きがあります。
こうして並べると、「記事を書いて、分類して、検索結果の見え方を整えて、予約公開する」という基本動作は、標準機能で一通り完結することがわかります。
標準機能では届かない領域
一方で、公式手順を追っても出てこない機能があります。
記事内の目次:ヘルプセンターの記事作成手順に目次の設定項目はなく、見出しから目次を自動生成する標準機能は公式手順の範囲では確認できませんでした。App Storeのブログカテゴリーには、目次生成を主機能とするアプリが並んでいます。長文記事を書くほど、この差は読者の離脱として現れます。
コメントへの返信:管理画面でできるのは承認・スパム指定・削除で、返信する操作は用意されていません。これはShopify自身がヘルプセンターで明言しており、返信したい場合はApp Storeのブログアプリの導入を検討するよう案内しています。標準機能の限界をShopifyが公式に認めている、数少ない箇所です。
著者の扱い:著者として選べるのはストアオーナー、またはadminアクセスを持つスタッフだけです。POS専用スタッフや共同作業者(コラボレーター)は一覧に表示されません。外部ライターに書いてもらう場合、その人をスタッフとして追加しない限り著者欄には出せません。また、著者候補が表示されないときは「ブログ記事とページ」と「ホーム」の両方の権限が付与されているか確認する必要があります。複数ライター体制を組むと、この制約が最初の壁になります。
カテゴリー階層:ヘルプセンターで案内されている分類手段はタグで、記事を「カテゴリーや主題ごとに整理する」ものと説明されています。親子関係を持つカテゴリー構造については公式手順に記載がありません。タグ数が増えたときに一覧をどう見せるかは、テーマの実装次第になります。
記事一覧の検索・絞り込み・関連記事:これらがどこまで使えるかはテーマに依存します。テーマを変更した際に表示が変わる可能性があるため、テーマ乗り換えを検討している場合は事前に確認してください。
アプリを検討すべき4つの条件
以上を踏まえると、アプリ導入が合理的になるのは次のような場合です。
ひとつ目は、記事が長く、構造化して読ませたいとき。目次や関連記事の導線を足す段階です。
ふたつ目は、テーマのブログレイアウトでは表現しきれないとき。商品カードの埋め込みやFAQ、著者情報など、記事内に構成要素を足したい場合です。
三つ目は、記事の移行や一括更新が必要なとき。他のCMSからの移行や、数十本以上の記事のメタ情報をまとめて直すような作業は、1本ずつ管理画面で編集していては現実的ではありません。
四つ目は、運用を継続する仕組みが必要なとき。企画・執筆・公開・改善のサイクルを回し続ける前提なら、作成支援と成果の可視化が必要になります。
用途別に見る実在アプリ
ここからは実在するアプリを、同じ軸で確認します。料金・評価はいずれも2026年8月31日時点のShopify App Storeおよび開発元公式サイトの記載です。
RuffRuff Table of Contents
目次だけを解決したい場合の選択肢です。開発は日本の Tsun Inc.(鹿児島市)で、対応言語は英語と日本語。Built for Shopifyを取得しています。公開は2022年12月5日です。
見出しから目次を自動生成し、色や採番、インデント、表示位置をカスタマイズできます。無料プランでもブログ記事への目次表示、デザイン変更、表示位置の変更、リアルタイムプレビューが使えます。月額$3.99のLightプランで開閉ボタン、目次上下へのカスタムLiquid挿入、見出しからのアンカーリンク生成、アプリのブランディング表示の削除が追加されます。商品・コレクション・ページへも目次を出したい場合は月額$9.99のRegularプランです。有料プランには3日間の無料体験が付きます。
評価は5.0(16件)と件数自体は多くありません。機能範囲が目次に限定されているため、レイアウトそのものを変えたい場合には応えられません。
Bloggle: SEO Blog Builder
記事のレイアウトを作り込みたい場合の選択肢です。開発元はフランス拠点のBloggle、公開は2021年7月26日、評価は4.8(310件)です。
ドラッグ&ドロップのエディタとテンプレートで記事をデザインでき、商品の埋め込み、目次、FAQ、著者プロフィールといった構成要素をブロックとして配置できます。SEOとUXのライブスコアリングも備えています。App Storeの説明では、アンインストールしても作成した内容は残るとされています。
注意すべき点が2つあります。ひとつは料金で、無料プランはなく最低$19.90/月から。記事一覧の検索・ナビゲーションや関連記事、ワンクリック目次はPro($49.90/月)以降、Klaviyoフォームの埋め込みやサイドバーはBusiness($79.90/月)以降です。14日間の無料体験があります。もうひとつは言語で、App Storeに記載されている対応言語は英語、フランス語、ポルトガル語、イタリア語、スペイン語、オランダ語、スウェーデン語で、日本語は含まれていません。日本語での管理画面やサポートを前提にする場合は事前確認が必要です。
Matrixify
記事の移行と一括更新を担当するアプリです。ラトビア拠点の開発元で、旧称はExcelify。ExcelやCSVでShopifyのデータを一括インポート・エクスポートでき、対象にはブログ記事が含まれます。
料金はDemoが無料、Basicが$20/30日、Bigが$50/30日、Enterpriseが$200/30日です。プランの数値は1ジョブあたりの上限で、ブログ記事の場合はDemoが10件、Basicが50件、Bigが500件、Enterpriseが無制限です。月間の合計件数に制限はなく、同じジョブを何度でも実行できます。スケジュール実行やFTP/SFTP連携は全プランで利用できます。公式FAQでは、アンインストールしてもインポートしたデータはストアに残ると説明されています。
ブログの見た目を良くするアプリではありません。移行や棚卸しといった作業が終われば、Demoプランに戻すという使い方が想定されます。
Smart Agent Blog
当メディアの運営元である株式会社Forest Bookが開発しているアプリです。自社アプリのため、評価は特に慎重に読んでください。公開は2025年6月25日、対応言語は英語と日本語、評価は5.0ですがレビューは1件のみで、他アプリと同じ水準の実績データはまだありません。
機能面では、見出し・画像・動画・表・目次・商品カード・吹き出し・2〜3カラムをスラッシュコマンドやブロック操作で挿入でき、AIがストアや商品情報を参照して記事を定期作成、既存記事にはリライト案を提示します。公開後はPV、読了、クリック、購買貢献を記事の目的別に分析します。
料金は無料プランが累計10記事まで(開発ストアでは全機能利用可)、ベーシックが$9/月で記事数無制限とスタイリング機能、プロが$49/月でアクセス解析・高度なSEO分析に加え、AI定期提案が月15件、AIリライトが月30件という上限付きです。有料プランには30日間の無料体験があります。
比較表
| 項目 | RuffRuff Table of Contents | Bloggle | Matrixify | Smart Agent Blog |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | 目次の自動生成 | 記事レイアウト構築 | 一括インポート/エクスポート | 記事作成・リライト・分析 |
| 無料プラン | あり | なし | あり(Demo) | あり(累計10記事) |
| 最低有料料金 | $3.99/月 | $19.90/月 | $20/30日 | $9/月 |
| 無料体験 | 3日 | 14日 | ― | 30日 |
| 日本語UI | あり | 記載なし | 確認できず | あり |
| 評価(件数) | 5.0(16) | 4.8(310) | 確認できず | 5.0(1) |
| 主な制約 | 目次に機能限定 | 主要機能が上位プラン | 1ジョブ50〜500件の上限 | 実績データが少ない |
表から読み取れることは3つあります。
第一に、解決したい課題が1つに絞れているほど費用は下がります。目次だけが不満なら無料〜$3.99で解決し、レイアウト全体を作り替えるなら$19.90〜$79.90が必要になります。「ブログアプリ」とひとくくりにして比較すると、この価格差の理由を見誤ります。
第二に、日本語対応は分かれます。App Storeの記載上、日本語UIが確認できるのはRuffRuff Table of ContentsとSmart Agent Blogです。Bloggleは対応言語一覧に日本語の記載がなく、MatrixifyについてはApp Storeの言語記載を今回確認できませんでした。管理画面やサポートを日本語で使いたい場合は、導入前の確認が必要です。ここは「日本語で記事が書けるか」とは別の話である点に注意してください。記事本文の言語と管理画面の言語は独立しています。
第三に、レビュー件数の差は導入判断の材料になります。310件と1件では、レビューから読み取れる情報の信頼度が違います。件数の少ないアプリを選ぶ場合は、無料プランや無料体験で自分のテーマとの相性を確かめる工程を省かないほうが安全です。
ケース別の選び方
記事が月に数本、テーマの見た目に不満がない場合は、アプリを入れずに標準機能で始めてください。抜粋を設定する、タグの付け方を決める、SEOのタイトルとディスクリプションを記事ごとに書く。更新頻度がそれほど高くないストアなら、この3つを徹底するだけで運用は成り立ちます。
長文記事で読者の離脱が気になる場合は、RuffRuff Table of Contentsの無料プランから試すのが低リスクです。目次を入れて読了率が変わるかを見てから、有料プランを検討しても遅くありません。
記事のデザインを商品ページ並みに作り込みたい場合は、Bloggleが候補です。ただしPro以降でないと使えない機能が多いため、$19.90ではなく実際に必要なプランの金額で採算を判断してください。日本語での運用を前提とするなら、無料体験期間中にサポート対応も含めて確認することをおすすめします。
他のCMSから移行する、既存記事を一括で直したい場合は、Matrixifyを一時的に使う方法が現実的です。移行作業と見た目の改善は別の課題なので、1つのアプリで両方を解決しようとしないほうが結果的に安く済みます。
日本語で企画から改善まで回す体制を作りたい場合は、Smart Agent Blogが選択肢に入ります。ただし前述のとおりレビュー実績が少ないため、無料プランの10記事分で自分のストアに合うかを確かめてから有料プランへ進む順序を推奨します。
導入前チェックリスト
- その機能はShopify標準機能で代替できないか(特に予約公開、タグ分類、SEO編集)
- 必要な機能が無料プランに含まれるか、それとも上位プランか
- 無料体験の期間と、終了後に自動で課金される条件
- 管理画面とサポートの対応言語(記事本文の言語とは別)
- 使用中のテーマとの互換性を、本番反映前に確認できるか
- アンインストール後に記事データがどうなるか
- 目次やレイアウトを提供するアプリを複数入れて競合しないか
- 請求通貨と課金サイクル(多くはUSD建て・30日ごと)
まとめ
判断の順序は次の3ステップで足ります。
まず、標準機能で何ができるかを実際に触って確認すること。この記事で挙げた範囲は、追加費用なしで今日から使えます。
次に、残った不満を1つに言語化すること。「目次がない」「レイアウトが単調」「移行が大変」「継続できない」のどれなのかで、選ぶべきアプリの層が変わります。複数の不満をまとめて解決しようとすると、必要以上に高いプランを選ぶことになります。
最後に、無料プランか無料体験で自分のテーマと合わせて検証すること。App Storeの説明文と実際の表示は、テーマによってずれます。
アプリの選び方そのものをもう少し詳しく整理したい場合は、Shopifyブログアプリの選び方もあわせて参考にしてください。
なお、料金やプラン構成は変更されることがあります。導入前には必ずShopify App Storeの最新の記載を確認してください。
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