この記事でわかること
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メールアドレスを集めたい、と考えたときの入口は2つあります。ポップアップを出すか、問い合わせフォームを置くかです。
Shopifyには純正の「Shopify Forms」があり、無料で、日本語UIもあります。ならこれで足りるのでは、と考えるのが自然です。ところが実際に使い始めると、どこかで止まります。止まる場所が人によって違うので、「Shopify Formsで十分」という記事と「すぐアプリが必要になる」という記事が同時に存在します。
Shopify Formsの上限は、実はヘルプセンターに数値で書かれています。1ストアあたり25フォーム、1フォームあたり31項目です。そしてマルチステップフォームと条件分岐は、非対応と明記されています。
もうひとつ厄介なのが料金の比較です。ポップアップアプリの無料枠は、あるものは「表示回数」、あるものは「月間ページビュー」、あるものは「連絡先数」、あるものは「送信件数」で決まります。単位が違うので、月額の数字を並べても比較になりません。
この記事では、Shopify Formsでできる範囲を公式ドキュメントで確定させたうえで、サードパーティ5本の無料枠を「何の数で決まるか」に揃えて整理します。調査日は2026年8月31日です。
先に結論
**Shopify Formsは無料で、ポップアップフォームとインラインフォームの2種類を作れます。**2026年8月31日時点のShopify App Storeでは評価4.5、レビュー678件です。開発者はShopifyで、日本語を含む21言語に対応しています。
**ただしBuilt for Shopifyバッジは付いていません。**同じApp Storeページの関連アプリ欄では他社アプリにバッジが表示されているので、表示漏れではなく、実際に取得していない状態です。
**明確な上限が4つあります。1ストア25フォームまで、1フォーム31項目まで、マルチステップ非対応、条件分岐非対応。**この4つのどれかに当たった時点で、アプリが必要になります。
**exit intent(離脱しようとしたときの表示)は、Shopify Formsにもあります。**ただしデスクトップのみです。「純正にはexit intentがない」という説明を見かけますが、正確ではありません。
**A/Bテストはありません。**分析指標は表示回数・送信数・完了率の3つだけです。ポップアップの文言や割引率を検証しながら回したいなら、ここが分岐点になります。
Shopify Formsで作れるのは2種類だけ
Shopify Formsが作れるフォームは、ポップアップフォームとインラインフォームの2種類です。両方を同時に表示することもできます。
ポップアップを表示するには、テーマのapp embedで「Forms」を有効化する必要があります。インラインの場合は、app embedに加えて対応テーマであることが条件になります。
インラインフォームの設置方法は2通りです。ひとつはランディングページを新規生成する方法で、example.com/pages/任意のハンドル の形でページが作られます。もうひとつは既存のページテンプレートにブロックとして追加する方法で、6桁のForm IDを貼り付けて紐付けます。
**この2種類で扱えないのが、複数ページに分かれるフォームと、回答に応じて表示項目が変わるフォームです。**ヘルプセンターに「マルチステップフォーム非対応」「条件分岐非対応」と明記されています。アンケート、見積依頼、予約受付のようなフォームは、この時点で対象外になります。
ポップアップのトリガー条件は、思ったより粗い
ポップアップの表示条件も確認しました。
表示形式はFloating(位置指定可)とOverlayの2つ。デバイスは全て・デスクトップのみ・モバイルのみから選べます。表示ページは全ページか、コレクションや商品といった特定ページタイプを指定できます。
トリガーは「1ページ目・2ページ目・3ページ目のいずれかを閲覧したとき」で、即時か遅延かを選べます。加えて「訪問者がページを離れようとしたときに表示する(デスクトップのみ)」というexit intentのチェックボックスがあります。
問題は再表示の制御です。訪問者の操作履歴は端末のlocalStorageに保存され、一度閉じられると、キャッシュやCookieをクリアするかシークレットモードで訪問しない限り再表示されません。「30日後にもう一度出す」といった日数指定はできません。
「カート金額が◯円を超えたら」「特定のセグメントの顧客にだけ」といった条件も、Shopify Formsのトリガーには含まれていません。
集めたデータの保存先は、あとから戻せない
Shopify Formsのカスタムフィールドは、ローカルフィールド、顧客メタフィールド、会社(company)メタフィールドのいずれかに保存できます。
ここに運用上の落とし穴が2つあります。
1つ目は、後からメタフィールド化した場合、変換後の送信分しか保存されないことです。過去の送信データは遡って入りません。そしてメタフィールド化した項目は、ローカルフィールドに戻せません。
**2つ目は再利用の条件です。**メタフィールドが20個以下ならすべて再利用できますが、21個以上になるとピン留め済みのものしか再利用できなくなります。カスタムデータを増やしていくストアは、ここで挙動が変わります。
利用できるフィールド型は、単一行テキスト、ドロップダウン、ラジオ、複数行テキスト、複数選択、日付、数値、ファイルアップロードです。ファイルアップロードは1件・20MB以下で、GIF・HEIC・JPEG・PDF・SVG・WebP・XMLに対応しています。
送信データはMetaobjectsにも記録され、管理画面の「コンテンツ > メタオブジェクト」から確認できます。
マーケティング同意とB2Bでの位置づけ
マーケティング同意の扱いは3択です。送信時に暗黙的に登録する、チェックボックスがオンの場合に登録する、マーケティングには登録しない(問い合わせ用途)。メール同意にはemailフィールド、SMS・WhatsApp同意にはphoneフィールドが必須です。
SMSでダブルオプトインを使う場合、同意状態はpendingになり、確認処理はSMSパートナー側の責任だと明記されています。
**もうひとつ見落とされがちなのが、B2Bでの位置づけです。**Shopify FormsはB2Bの「会社アカウント申請」の必須コンポーネントになっています。フィールドで「Company and customer」を選択すると、送信時に会社・会社ロケーション・顧客が自動生成されます。ただし既存の会社に追加することはできず、完全にゲートされたB2B専用ストアでは利用できません。
集めた連絡先は、管理画面の顧客ページの「Email subscribers」セグメントに入ります。顧客タグを付けてセグメントを作り、Shopify Messaging(旧Shopify Email)でメールを送る、という導線になります。Shopify Formsの送信をトリガーにShopify Flowのオートメーションを起動することもできます。
なお、Shopify Messagingの無料枠は毎月10,000通です。**単位は「送信先メールアドレス1件=1通」で、連絡先数ではありません。**800人に1通配信すれば800通の消費になります。超過分は1,000通あたり1ドルです。フォームで集めた連絡先が増えたとき、コストがどこで効いてくるかを見誤らないよう、単位を押さえておいてください。
サードパーティ5本の無料枠は、単位が全部違う
2026年8月31日時点のShopify App Storeで、主要なポップアップ/フォームアプリを確認しました。注目してほしいのは金額ではなく、「無料枠が何の数で決まるか」の列です。
| アプリ名 | 開発者 | 無料枠 | 無料枠の単位 | 有料の起点 | 評価 / レビュー件数 | Built for Shopify | 日本語UI |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Shopify Forms | Shopify | 全機能無料 | — | なし | 4.5 / 678件 | なし | あり |
| Seguno Popups & Forms | Seguno | 1,000/月・ポップアップ1個 | 表示回数 | 月10ドル | 4.9 / 56件 | あり | なし |
| OptiMonk: AI Popup Builder | OptiMonk | 10,000/月・全機能 | 月間ページビュー | 月29ドル | 4.8 / 420件 | なし | なし |
| Klaviyo: Email Marketing & SMS | Klaviyo | 250件 | 連絡先数 | 月20ドル | 4.7 / 3,025件 | なし | なし |
| Powerful Contact Form Builder | Powerful Form | 40/月・フォーム1つ | 送信件数 | 月9.90ドル | 4.9 / 2,362件 | あり | あり |
| Privy ‑ Email, SMS & Pop Ups | Privy Operations | なし | — | 月24ドル | 4.5 / 3,965件 | なし | なし |
比較表から読み取れることが4つあります。
**1つ目は、金額の比較が成立しないことです。**Segunoの月10ドルは5,000表示回数、OptiMonkの月29ドルは20,000ページビュー、Klaviyoの月20ドルは連絡先251〜500件、Powerful Contact Form Builderの月9.90ドルは月1,000件の送信です。**同じ数字が同じものを数えていません。**自分のストアで何が先に増えるのか(表示か、訪問か、連絡先か、送信か)を決めないと、どれが割高なのか判定できません。
**2つ目は、無料で始められる範囲の差が大きいことです。**OptiMonkの無料プランは10,000ページビュー/月で、しかも全機能が使えると明記されています。一方Segunoの無料枠は1,000表示回数でアクティブなポップアップ1個まで。Privyには無料プランがありません。
**3つ目は、日本語UIが2本しかないことです。**Shopify FormsとPowerful Contact Form Builderのみです。ただしどちらのApp Storeページにも「この開発者は日本語での直接的なサポートを提供していません」と表記されています。UIの翻訳とサポート言語は別問題です。
**4つ目は、Built for Shopifyバッジと評価が一致しないことです。**バッジがあるのはSegunoとPowerful Contact Form Builderの2本で、レビュー件数が最も多いPrivy(3,965件)とKlaviyo(3,025件)にはバッジがありません。純正のShopify Formsにもありません。バッジは規模の指標ではないということです。
各アプリが「Shopify Formsにない」もの
Seguno Popups & Forms
無料枠は月1,000表示回数、アクティブなポップアップ1個までで、全テンプレートと分析が使えます。Standardは月10ドルで5,000表示回数、ポップアップとフォームは無制限になり、Segunoのロゴが外れます。**追加10,000表示回数ごとに10ドルずつ加算される従量型です。**Seguno Emailのスタンダードプランを契約しているブランドは、表示回数もフォーム数も無制限になります。
Shopify Formsにない機能として確認できたのは、Canva連携、カウントダウンタイマー、ジオロケーション・言語・日付ベースのターゲティング、カートポップアップ、Klaviyo・Mailchimp・Postscript・Yotpo SMSBumpなど外部ESPへの自動同期です。評価は4.9、レビュー56件で、Built for Shopifyバッジがあります。英語UIのみです。
OptiMonk: AI Popup Builder
**無料プランで全機能が使え、キャンペーン数もユーザー数も無制限という構成は、今回確認した中で最も条件が緩いものでした。**制限は月10,000ページビューと1ドメインです。Essentialは月29ドルで20,000ページビュー・2ドメイン・ブランド表記なし。年払いなら228ドル(34%オフ)です。
Shopify Formsにない機能は、A/Bテスト、AIによるポップアップ自動生成、ルーレット・ゲーム・クイズ・アンケート、カウントダウンタイマー、カスタムコードとカスタムフォント、ジオロケーション、API・Webhook、収益ベースの最適化分析です。評価4.8、レビュー420件。Built for Shopifyバッジはなく、英語UIのみです。
Klaviyo: Email Marketing & SMS
**サインアップフォームはKlaviyoアプリに含まれており、しかも無料プランに含まれます。**無料プランの機能リストに「フォームとプッシュ通知」が明記されており、機能タグにもポップアップ・フォーム・出口意図があります。
無料枠は連絡先250件までのメール送信と、SMS/MMSクレジット150件です。A/Bテストとセグメンテーションも無料プランに含まれます。有料はSMSが月15ドル(クレジット1,250件)、メールが月20ドル(連絡先251〜500件)です。
**メール配信を将来Klaviyoでやる予定があるなら、ポップアップを別アプリで用意する必要はない、という判断ができます。**評価4.7、レビュー3,025件。Built for Shopifyバッジはなく、対応言語に日本語はありません。
Powerful Contact Form Builder
問い合わせフォーム系で、**Shopify Formsが非対応と明記している「条件分岐」と「マルチステップフォーム」の両方に対応しています。**加えてCAPTCHA/reCAPTCHA、自動返信メール、カスタムCSS、データエクスポート、Google Sheets/Calendar・Zapier・Make.com・n8n連携があります。
無料プランはフォーム1つ・月40件の送信・200MBストレージ・20MBのアップロード制限つき。プレミアムは月9.90ドルでフォーム無制限・月1,000件送信・条件分岐が解放されます。PROは月19.90ドルで月10,000件送信と各種外部連携が付きます。
評価4.9、レビュー2,362件、Built for Shopifyバッジあり。**日本語UIに対応している数少ないアプリです。**ただし開発者による日本語の直接サポートはありません。
Privy ‑ Email, SMS & Pop Ups
無料プランがなく、月24ドルからです。Popups & Displaysが月24ドル(10,000ページビューまで)、Emailが月30ドル(連絡先1,500件)、Email & SMSが月45ドル(連絡先1,500件+SMSクレジット1,250件)。課金単位がプランごとに違う点に注意してください。
Shopify Formsにない機能として、A/Bテスト、マルチステップ/ミニクイズフォーム、メール配信とフロービルダー、SMS配信、カゴ落ちメール、ドリップキャンペーン、再入荷・値下げ通知が確認できました。
評価4.5、レビュー3,965件。**ただし直近のレビューに、解約後も課金が続いた、意図しない課金が発生したという趣旨の報告が複数ありました(2026年1月、7月)。**Shopifyの請求とは別に外部請求が発生する可能性がある旨もリスティングに記載されています。導入する場合は解約手順と請求の経路を先に確認してください。
ケース別の考え方
メールアドレスを集めたいだけ
Shopify Formsで足ります。無料で、日本語UIがあり、集めた連絡先はそのまま顧客セグメントとShopify Messagingにつながります。表示条件が「1〜3ページ目のいずれかを閲覧したとき」で足りるかだけ確認してください。
ポップアップの文言や割引率を検証したい
Shopify FormsにA/Bテストがないため、アプリが必要です。OptiMonkは無料プランで全機能が使えると明記されており、月10,000ページビューの範囲で検証を始められます。KlaviyoもA/Bテストを無料プランに含んでいます。
問い合わせフォームに条件分岐や複数ページが必要
Shopify Formsは非対応と明記されているため、アプリが必要です。日本語UIが必要ならPowerful Contact Form Builderが該当します。条件分岐は無料プランではなくプレミアム(月9.90ドル)からです。
メール配信も含めてこれから設計する
Klaviyoのようにフォームを内包しているツールを先に決めるほうが、アプリ数を増やさずに済みます。無料枠は連絡先250件です。ただし日本語UIはありません。
B2Bの会社アカウント申請を受け付けたい
Shopify Formsが必須コンポーネントなので、そもそも代替になりません。ただし完全にゲートされたB2B専用ストアでは利用できない点に注意してください。
導入前チェックリスト
- 必要なフォーム数が25を超えないか。1フォームの項目数が31を超えないか
- 条件分岐やマルチステップが要件に入っていないか(入っていれば純正では実現できない)
- ポップアップの再表示を日数で制御する必要があるか(純正はlocalStorage依存で日数指定不可)
- exit intentをモバイルでも出す必要があるか(純正はデスクトップのみ)
- A/Bテストが要件に入っているか
- カスタムフィールドをメタフィールドに保存する場合、後戻りできない仕様を理解しているか
- 自ストアで先に増えるのはどれか(表示回数・ページビュー・連絡先数・送信件数)
- 無料枠を超えたあとの課金が、従量なのか固定プラン移行なのか
- Shopifyの請求とは別に外部請求が発生するアプリかどうか
- 日本語UIの有無と、日本語サポートの有無を分けて確認したか
まとめ
判断の順番は4つです。
- **まず25フォーム・31項目・条件分岐なし・マルチステップなしの4つに引っかかるか確認する。**引っかからなければShopify Formsで完結します。無料です。
- **A/Bテストが必要かを決める。**必要なら純正では実現できません。ここが最も明確な分岐点です。
- **自ストアで先に増える数を特定する。**表示回数なのか、訪問数なのか、連絡先数なのか、送信件数なのか。これを決めないと、月額の数字は比較できません。
- **日本語UIとサポート言語を分けて確認する。**日本語UIがあるのはShopify FormsとPowerful Contact Form Builderの2本ですが、どちらも開発者による日本語の直接サポートはありません。
料金・評価・機能はいずれも2026年8月31日時点でShopify App StoreおよびShopifyヘルプセンターに掲載されていた内容です。無料枠の条件は変更されやすいため、導入前に公式ページで再確認してください。
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