メインコンテンツまでスキップ
ストア運営・コンテンツ

旧顧客アカウントが非推奨になった|移行で失われる6つの機能と、アプリで置き換える範囲

Shopifyは2026年2月26日にレガシー顧客アカウントの非推奨を発表し、最終サンセット日は2026年後半に告知予定としています。新しい顧客アカウントで使えるようになる機能と、移行時に引き継げない6つの項目をヘルプセンターの記載から整理し、Liquidカスタマイズをアプリブロックへ置き換える際の判断材料をまとめました。調査日は2026年9月1日です。

AIECアプリ研究所 AI編集部公開日 更新日 読了 13#Shopifyブログ運営#アプリ比較

この記事でわかること

この記事の目次Contents閉じる開く

Shopify管理画面の顧客アカウント設定に、アップグレードを促すバナーが出ているストアは少なくないはずです。ただ、そのバナーは「何が失われるか」を教えてくれません。

2026年2月26日、Shopifyはレガシー顧客アカウントの非推奨をChangelogで告知しました。 新規ストアと、まだレガシーを使っていない既存ストアでは選択できなくなり、機能アップデートと技術サポートの提供も停止されます。最終的なサンセット日は2026年後半に告知される予定とされています。

つまり、移行するかどうかではなく、いつ・どう移行するかの問題になりました。この記事では、新しい顧客アカウントで新たに使えるようになる機能と、移行時に引き継げない6つの項目をヘルプセンターの記載から整理します。Liquidで作り込んだカスタマイズをアプリで置き換える必要がある範囲も扱います。調査日は2026年9月1日です。

先に結論

非推奨の告知は2026年2月26日、サンセット日は未定です。 Shopifyは「2026年後半に告知する」としています。猶予はありますが、期限が示されてから慌てて動くと、カスタマイズの再構築が間に合いません。

アップグレードは30日以内なら元に戻せます。 ヘルプセンターは「You can revert within 30 days」と明記しています。この30日が実質的なテスト期間になります。

新版でしか使えない機能が7つあります。 保存された支払い方法、セルフサービス返品、ストアクレジット、Buy againによる再注文、B2B対応、Markets対応、サインイン後のホームページリダイレクトです。いずれもレガシーでは利用できません。

逆に、引き継げないものが6つあります。 なかでも影響が大きいのは、レガシー顧客アカウントを条件にしたShopify Flowのワークフローと、customer_account_status を使った顧客セグメントです。どちらも移行できず、新版向けの代替フィルターも存在しません。

カスタマイズの前提がLiquidからアプリブロックへ変わります。 テーマのcustomerテンプレートに書いたコードは移行されません。同等の機能はApp Storeの「顧客アカウント対応」アプリで置き換えることになり、2026年9月1日時点で該当するアプリは1,396件が掲載されています。

何が変わるのか

ヘルプセンターの比較表から、両者の違いを整理します。

項目新しい顧客アカウントレガシー顧客アカウント
サインイン方法メールに届く6桁のワンタイムコード、Sign in with Shop、Google/Facebookのソーシャルサインインメールとパスワード、Sign in with Shop(手動で有効化)
外部IdPOAuth 2.0+OIDC準拠のIdPと接続。全面でSSO対応Multipass(SSO非対応)
アカウント作成別途の登録ステップなし。未登録のメールでサインインすると顧客が自動作成される登録ページでの作成、または招待の受諾が必要
ブランディングチェックアウト設定からオンラインストアのテーマ設定から
カスタマイズアプリブロック。ビジュアルエディタで編集Liquidコードの編集。テーマ更新で壊れやすい
顧客情報の更新顧客自身が氏名とメールアドレスを変更可能顧客はストア側のサポートへ連絡が必要
保存された支払い方法対応非対応
セルフサービス返品対応非対応
ストアクレジット対応非対応
Buy againでの再注文対応非対応
B2B対応非対応
Markets対応非対応

比較表から読み取るべき点が2つあります。

第一に、新版でしか動かない機能のいくつかは、すでに他の機能の前提になっています。 セルフサービス返品はレガシー顧客アカウントでは動作しません。ストアクレジットも同様です。返品の自動化やストアクレジット運用を検討していて「うまく設定できない」状態にあるなら、原因が顧客アカウントのバージョンである可能性があります。

第二に、Multipassは新版で非対応です。 独自の認証基盤とShopifyを連携させている場合、MultipassからOAuth 2.0+OIDC準拠のIdP接続へ設計を変更する必要があります。これは移行のなかでもっとも工数が読みにくい部分です。

なお、サインインセッションは最大365日持続するとされており、顧客が再訪のたびにサインインし直す必要はありません。

引き継げない6つの項目

ヘルプセンターのアップグレードガイドには Limitations というセクションがあり、移行前に確認すべき制限が明記されています。実務への影響が大きい順に整理します。

1. レガシー顧客アカウントを条件にしたFlowのワークフロー

レガシー顧客アカウントに基づくワークフロートリガーや自動化は、新しい顧客アカウントではサポートされません。既存のワークフローを移行することもできません。

「アカウント登録をトリガーにしたウェルカムメール」「アカウント作成時のタグ付け」といった自動化を組んでいる場合、移行前に該当するワークフローを棚卸しし、代替手段を設計しておく必要があります。

2. customer_account_status を使った顧客セグメント

このフィルターはレガシー顧客アカウント専用です。アップグレード後は期待どおりに動作しません。

さらに重要な点として、新しい顧客アカウント向けの同等フィルターは提供されていません。 「アカウントを持っている顧客」でセグメントを切ってメール配信を出し分けている運用は、移行後に別の条件へ組み替える必要があります。

3. カスタムのサインイン・登録画面

アップグレード後、/account/login などのレガシーURLはすべて新しい顧客アカウントへ自動リダイレクトされます。テーマ内にハードコードされたリンクも含みます。

ただし、モーダルや独自ページなど、レガシーのアカウントテンプレートとは別の場所に独自のサインイン・登録画面を作っている場合は、移行前にテーマからそのカスタマイズを削除する必要があるとされています。

4. マーケットごとのカスタムドメイン

顧客アカウントページにマーケット別のカスタムドメインを設定することはできません。複数の国際ドメインを運用していても、顧客アカウントで使えるドメインは全マーケット共通で1つだけです。

海外向けに example.jpexample.com を使い分けているストアでは、顧客アカウントだけがどちらか一方のドメインになります。ブランド体験の一貫性を重視する場合、事前に確認しておくべき制約です。

5. Multipass

前述のとおり非対応です。独自IdPを使いたい場合は、OAuth 2.0+OIDC準拠のIdPを接続する方式に切り替えます。

6. サインインページへのカスタマイズブロック追加

サインインページにはカスタマイズブロックを追加できません。変更できるのは、チェックアウト・アカウントエディタで設定するロゴ、色、フォント、ブランド画像に限られます。

サインイン画面に注意書きやキャンペーン告知を出していたストアは、その導線を別の場所へ移す必要があります。

Liquidカスタマイズをアプリで置き換える

レガシー顧客アカウントの作り込みは、テーマ内の以下のテンプレートに存在します。移行前に確認すべき対象です。

  • Customer account
  • Customer activate account
  • Customer addresses
  • Customer login
  • Customer order
  • Customer register
  • Customer reset password

テーマエディタの「Legacy customer accounts」からも、templates > customers のコード編集からも確認できます。ここに書かれたカスタマイズは移行されません。

新しい顧客アカウントでは、同等の機能をアプリブロックで実現します。アプリブロックはチェックアウト・アカウントエディタで追加し、チェックアウトと共通のブランド設定(色、フォント、スタイル)が自動的に適用されます。テーマ更新の影響を受けない点が、Liquidカスタマイズとの大きな違いです。

対応アプリの探し方

App Storeで機能を検索したあと、「絞り込む」から Works with → Customer accounts を選ぶと、顧客アカウントで動作するアプリだけに絞り込めます。この条件に該当するアプリは、2026年9月1日時点で1,396件が掲載されていました。

すでに使っているアプリが新版に対応している可能性もあります。チェックアウト・アカウントエディタの左サイドバーで「アプリ」を開き、対象アプリのブロックに Orders / Order status / Profile / Accounts への追加オプションが表示されれば、そのアプリは顧客アカウントに対応しています。

実際に対応している主なアプリ

2026年9月1日時点で顧客アカウント拡張アプリのグループに掲載されていた、レビュー件数の多いアプリを用途別に挙げます。いずれもBuilt for Shopifyバッジを取得しており、無料プランが用意されています。

用途アプリ評価(件数)
商品レビューJudge.me Product Reviews App5.0(44,419)
定期購入Appstle℠ Subscriptions App5.0(8,397)
定期購入Seal Subscriptions App4.9(3,003)
ポイント・ロイヤルティSmile: ポイント・ロイヤルティプログラム4.9(4,231)
ポイント・ロイヤルティBON Loyalty5.0(1,830)
配送追跡17TRACK Order Tracking4.9(3,968)

評価とレビュー件数はShopify App Store(日本語表示)で確認したものです。料金や機能の詳細は各アプリのページで確認してください。

外部のポータルへリンクを置いていた場合は、まずShopifyの標準機能かアプリで同等の機能を提供できないか検討する価値があります。新しい顧客アカウントでは1回のサインインで全機能にアクセスできますが、外部ポータルへのリンクでは追加の認証ステップが発生することが多いためです。

それでも外部リンクが必要な場合は、顧客アカウントのメインメニューにリンクを追加するか、アプリでページ本文にリンクを配置します。ヘルプセンターは、注文状況ページにリンクを含むコンテンツブロックを追加できるアプリとしてShopify Checkout Blocksを挙げています。

移行の進め方

ヘルプセンターは9つのステップで手順を示しています。実務上の要点は次のとおりです。

構成を複製してから作業する。 設定 > チェックアウト の「構成」セクションで既存の構成を複製し、複製側でアプリブロックの追加やブランド設定を行います。公開するまで顧客には見えません。

公開しても、まだ切り替わらない。 構成を公開した時点では、オンラインストアとチェックアウトはレガシー顧客アカウントへリンクしたままです。最後のステップでアップグレードを実行してはじめて切り替わります。

アップグレード前にテストできる。 設定 > 顧客アカウント のURL欄をコピーし、別タブで開くと新しい顧客アカウントを確認できます。既定のURLは https://shopify.com/{ストアID}/account の形式で、サブドメインを設定した場合は account.example.com のような形になります。

サインイン方法はすべてテストする。 認証コードのメール、ソーシャルサインイン、独自IdPを設定している場合はそれぞれ確認します。独自IdPを接続すると既定のサインイン体験が置き換わるため、認証コードメールとソーシャルサインインは使われなくなります。

送信元メールアドレスの確認を忘れない。 顧客は認証コードでサインインするため、そのメールはストアの送信元アドレスから送られます。ここが正しく設定されていないと、顧客がサインインできません。

サブドメインを接続する。 既定のURLは shopify.com ドメインで、ストアIDを含む形式です。account.example.com のようなサブドメインを接続すると、顧客アカウントと注文状況ページのURLが自社ドメインになります。

移行前チェックリスト

  • レガシー顧客アカウントを条件にしたFlowのワークフローを洗い出した
  • customer_account_status を使っている顧客セグメントを洗い出した
  • テーマのcustomerテンプレートとLiquidコードのカスタマイズを棚卸しした
  • モーダルや独自ページの独自サインイン画面がないか確認した
  • Multipassを使っている場合、OIDC準拠IdPへの切り替え方針を決めた
  • 複数の国際ドメインを使っている場合、顧客アカウントで使う1つを決めた
  • サインインページに置いていた告知の移動先を決めた
  • 既存アプリが顧客アカウントに対応しているかエディタで確認した
  • 送信元メールアドレスが有効か確認した
  • 複製した構成でプレビューとサインインテストを行った
  • アップグレード後30日以内に検証を完了する計画を立てた

まとめ

判断すべきことは3つに整理できます。

1. Flowとセグメントの棚卸しを先に行う。 ここが移行のなかで唯一「代替が用意されていない」領域です。ワークフローも customer_account_status セグメントも移行できず、新版向けの同等フィルターも提供されていません。ここを把握せずに移行すると、メール配信やタグ付けの運用が静かに止まります。

2. Liquidカスタマイズはアプリブロックに置き換える前提で考える。 テーマのcustomerテンプレートに書いたコードは引き継がれません。同等の機能があるアプリを先に見つけ、複製した構成で組み立ててからアップグレードします。

3. 30日の巻き戻し期間を検証期間として使う。 アップグレード後30日以内なら元に戻せます。サインイン率、カート放棄、顧客からの問い合わせ内容を観測し、想定外の挙動がないかを確認するのに十分な期間です。

サンセット日は2026年後半に告知される予定です。カスタマイズが多いストアほど準備に時間がかかるため、期限の告知を待たずに棚卸しから始めるのが現実的です。

仕様は変更される可能性があります。最新の情報はShopifyヘルプセンターとShopify Changelogで確認してください。

RelatedShop Pay InstallmentsはCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けない|手数料が公開されない仕組みと、Shopifyの2ページが食い違うdisputeの通知先

Shop Pay Installmentsは有効化無料、アプリ不要、そしてShopifyは手数料を公開していません。レートを見られるのは自社の管理画面の中だけです。加えてCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けず、月次プランはデビットカード限定、ギフトカードとサブスクリプション商品は対象外で、商品ごとにオン・オフを切り替えることもできません。Affirmはパスワード保護中のストア、英語以外の主要言語、主にB2Bという理由でアカウントを停止します。さらにShopifyの「Getting paid」ページは「disputeは管理画面に通知される」と書き、FAQは「管理画面には通知されない」と書いています。適格性を満たせない場合の代替はKlarna、Afterpay、Sezzle、Zip、PayPalのon-site messagingアプリで、このカテゴリーの評価は1.0〜3.2です。調査日は2026年9月2日です。