この記事でわかること
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Shopifyは、メッセージングアプリを冷遇しているわけではありません。LINEだけが外れています。
Shopifyヘルプセンターは、Shopify Messagingについてこう書いています。
Shopify管理画面から直接、メール、SMS、WhatsAppのマーケティングキャンペーンを作成して送信できます
WhatsAppには専用のヘルプページまで用意されています。一方でLINEは、Shopify Messagingの子ページにも、Campaign Autopilotの対応チャネル(Shopify Messaging・Shop Campaigns・Meta広告・Microsoft Advertising)にも、販売チャネル一覧(Facebook・Instagram・TikTok・Google・Amazon・Temu・Shop・Collective)にも、一度も出てきません。
つまり日本のマーチャントにとっては、LINEヤフーが国内月間利用者数1億人超と公表しているコミュニケーション基盤に対して、Shopify標準の接点がゼロという状態です。すべてサードパーティのアプリに委ねられています。
さらに厄介なのが、日本語記事で繰り返される「Shopify Plusなら外部IDプロバイダーを繋げばLINEログインを標準ログインにできる」という説明です。これは、素のLINE Loginをそのまま接続する形では成立しません。ShopifyとLINEの公式ドキュメントを突き合わせると、要件が2か所で仕様レベルにぶつかります。
この記事では、Shopify標準の境界を公式ドキュメントで確定させ、LINEログインの3つの実装レイヤーを分離し、実在する連携アプリ5本を比較します。調査日は2026年9月1日です。
先に結論
LINEでメッセージを配信したいだけなら、アプリ1本で始められます。友だち50〜300人の規模なら、アプリもLINE公式アカウントも無料の組み合わせが実在します。
ID連携をして顧客データで配信を絞りたいなら、これがアプリの主戦場です。全プランで可能で、Shopify Plusは不要です。
LINEログインをストアの正規ログイン手段にしたいなら、Shopify Plusが必須です。しかも「Plusにすれば外部IdPで繋がる」という話ではありません(後述)。
コストを見積もりたいなら、アプリの月額だけを見ると必ず外します。LINE公式アカウントの月額と従量課金が別に乗る2階建てだからです。
条件別の推奨は次のとおりです。
- 日本語と英語の両方で運用したい/海外チームがいる:CRM PLUS on LINE | LINE連携で売上UP(無料インストール、ID連携100人まで無料)
- メールとLINEを1つのアプリで回したい:StoreCRM | LINE連携 | メール+LINE配信(無料プランはアクティブ顧客300人まで)
- 実店舗のPOSとLINE会員証を繋ぎたい:Lipify(LINE連携アプリ)(POS連携プランは18ドル/月〜)
- 費用を発生させずに試したい:おみせコネクト(LINE連携)(ID連携50人まで無料、以降は成果報酬)
Shopify標準でどこまでできるか
LINEは3つの公式ページのどこにも存在しない
「標準機能がない」ことを証明するのは本来難しいのですが、この件は3か所の公式ページで独立に確認できます。
| 確認したページ | 掲載されているチャネル | LINE |
|---|---|---|
| Shopify Messaging | メール、SMS、WhatsApp | なし |
| Campaign Autopilot | Shopify Messaging、Shop Campaigns、Meta広告、Microsoft Advertising | なし |
| 販売チャネル一覧 | Facebook、Instagram、TikTok、Google、Amazon、Temu、Shop、Collective ほか | なし |
販売チャネル一覧のページは、最後をこう締めています。
その他の販売チャネルは、Shopify App Storeのサードパーティ開発者から提供されています。
Shopifyは理由を公表していません。ここで書けるのは「存在しない」という事実までです。
お客様アカウントのソーシャルログインはGoogle・Facebook・Appleだけ
新しいお客様アカウントの既定の認証は、メール宛のワンタイムコードです。ヘルプセンターの記述は次のとおりです。
お客様はメールアドレスを入力し、6桁のワンタイム認証コードを受け取ります。サインインにパスワードは不要です。
ここに追加できる認証方式は3種類です。Shop Payを有効にしている場合の「Shopでサインイン」、Google・Facebook・Appleのソーシャルサインイン、そしてShopify Plus限定の独自IDプロバイダー接続です。
ソーシャルサインインのページに接続手順として用意されている子ページは「Googleを接続する」「Facebookを接続する」の2つだけで、いずれにしてもLINEはありません。
LINEログインの3つのレイヤーを分けて考える
日本語記事で「LINEログイン」と一括りにされているものは、実装が3層に分かれています。ここを混ぜると、必要なプランと実現可能性を読み違えます。
レイヤー1:ID連携(全プランで可能)
顧客がLINEログインを経由してLINEのユーザーIDを取得し、それをShopifyの顧客レコードに紐づける方式です。Shopifyへのログイン自体は従来どおりメール認証で行います。
アプリの主戦場はここです。Shopifyの顧客オブジェクトには外部SNSのIDを保持する標準フィールドがないため、各アプリがメタフィールド等で自前管理しています。だから全社が「ID連携済みユーザー数」を課金の分母にしています。 CRM PLUS on LINEは100/300/1,000/2,001人、StoreCRMは300/500/6,000/65,000人、Lipifyは120/350人、おみせコネクトは50人。設計思想がすべて同じです。
レイヤー2:Multipassによるログイン置換(Plus限定かつレガシーアカウント限定)
Shopifyの開発者ドキュメントは、Multipassについて2つの条件を明記しています。
Multipassログインはレガシーお客様アカウントでのみ利用できます ストアがShopify Plusプランである必要があります
つまり二重の壁です。Plusであっても、新しいお客様アカウントに移行した時点でMultipassは使えなくなります。「PlusならMultipassでLINEログインできる」という説明は、アカウント方式を移行していないストアにしか当てはまりません。
レイヤー3:外部IDプロバイダー接続(Plus限定、素のLINE Loginでは要件未達)
ここが本記事で最も重要な部分です。
Shopifyの「独自のIDプロバイダーをお客様アカウントに接続するための要件」ページと、LINEの「IDトークンからプロフィール情報を取得する」ページを突き合わせると、次のようになります。
| Shopifyの要件 | LINEの実装 | 判定 |
|---|---|---|
| OAuth 2.0 認証コードフロー | 対応 | 満たす |
| PKCE(S256) | 対応 | 満たす |
| ディスカバリエンドポイント | 提供あり | 満たす |
email クレーム | emailスコープの申請・審査後に取得可 | 条件付き |
email_verified クレーム(値は true 必須) | IDトークンのペイロード仕様に存在しない | 満たさない |
| RP-Initiated Logout 1.0 | ディスカバリに end_session_endpoint の掲載なし | 確認できない |
| HS256で署名されたトークンは非対応 | ウェブログインでは HS256 が返される | 満たさない |
決定的な2点は、どちらもLINE公式ドキュメントの記述そのままです。
IDトークンのヘッダーについて、LINEはこう書いています。
IDトークンの署名アルゴリズム。ネイティブアプリやLINE SDK、LIFFアプリに対しては
ES256(ECDSA using P-256 and SHA-256)が、ウェブログインに対してはHS256(HMAC using SHA-256)が返されます。
対してShopifyの要件ページはこうです。
HS256(共有シークレットを使用したHMAC)で署名されたトークンはサポートされていません。
さらにShopifyは必須クレームとして email_verified を挙げ、「email_verified の値は true である必要があります」と明記しています。LINEのIDトークンのペイロード仕様表に載っているのは iss sub aud exp iat auth_time nonce amr name picture email の11項目で、email_verified はありません。
結論として、LINE LoginをそのままShopifyの外部IdPとして接続することはできません。 実現するなら、Auth0のようなOIDCブローカーを間に挟み、LINEを上流の認証元にしたうえで、ブローカー側が email_verified を発行し直し、対応アルゴリズムで署名し直す設計になります。日本語記事でこの構成に触れているものは見当たりませんでした。
なお、CRM PLUS on LINEのApp Storeページも、ソーシャルログイン関連の機能を「▼Shopify Plusでご利用可能になる追加機能です▼」という見出しの下、月額200ドルのAdvancedプランにまとめています。この整理は上記の技術的制約と整合しています。
コストは必ず2階建てになる
ここも見落としが多い部分です。LINE Messaging APIそのものは無料ですが、Push・Multicast・Broadcast・Narrowcastで送ったメッセージはすべてLINE公式アカウントの通数を消費します。カウント対象外なのは、LINEチャットの送受信、応答メッセージ、あいさつメッセージ、そしてMessaging APIのReply APIの4種類です。
LINE公式アカウントの料金(2026年9月1日時点、いずれも税別)は次のとおりです。
| プラン | 月額固定費 | 無料メッセージ | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーションプラン | 0円 | 200通 | 不可 |
| ライトプラン | 5,000円 | 5,000通 | 不可 |
| スタンダードプラン | 15,000円 | 30,000通 | 従量課金で可 |
通数のカウントは「メッセージを送った回数 × 送った友だちの数」です。1回の配信で吹き出しを3つ使っても1通換算ですが、友だち3,000人に月2回配信すれば6,000通になり、ライトプランの枠を超えてスタンダードプランが必要になります。
この構造で試算すると、次のようになります。
| 友だち数 | 月の配信回数 | 消費通数 | LINE公式アカウント | アプリの想定 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 80人 | 2回 | 160通 | 0円 | 無料プラン | 0円 |
| 800人 | 4回 | 3,200通 | 5,000円 | 10〜30ドル | 約6,500〜9,500円 |
| 3,000人 | 2回 | 6,000通 | 15,000円 | 100〜200ドル | 約30,000〜45,000円 |
(ドル建てのアプリ料金は1ドル150円で換算。App Storeの請求は全アプリUSD建てです)
3,000人規模では、アプリ料金と同額かそれ以上がLINE側にかかります。「アプリは月100ドルだから」で予算を組むと、実際は倍になります。しかも友だちが増えれば、アプリ側の階段(ID連携ユーザー数)とLINE側の階段(通数)を同時に上がります。
2026年10月1日に追加メッセージの単価が変わる
もう1つ、日本語の比較記事がまだ反映していない変更があります。LINEヤフーは2026年2月16日付のお知らせで、追加メッセージ料金の改定を告知しています。
2026年10月1日に追加メッセージ料金の改定を行いますので、お知らせいたします。今回の追加メッセージ料金改定適用のサービス対象国・地域は、日本のみとなります。 20万通/月までのご利用は1通3円、20万通を超えたご利用分からの追加メッセージは1通2.5円でご利用頂けます。
現行は5万通まで3円、次の5万通が2.8円、その次の10万通が2.6円という逓減テーブルです。改定後は20万通まで一律3円になるため、月5万〜20万通のレンジは実質的な値上げになります。
あわせて上限値も変わります。上限引き上げの申請が承認された場合の最大値が359万通になり、現在359万通を超える上限が設定されているアカウントは2026年10月から359万通へ引き下げられます。公式のお知らせは「同じ通数設定でも利用料金の上限額が変更前より高くなる可能性があります」とも注意喚起しています。
大量配信をしているストアは、10月を待たずに配信設計を見直す価値があります。
LINE連携アプリ5本の比較
2026年9月1日時点で、各アプリのShopify App Storeページから取得した値です。5本ともBuilt for Shopifyバッジはありません。
| アプリ名 | 開発元 | 無料プラン | 有料最低額 | 最高額 | 評価(件数) | 対応言語 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CRM PLUS on LINE | LINE連携で売上UP | Social PLUS Inc. | あり(ID連携100人) | 10ドル/月 | 200ドル/月+従量 | 5.0(37) | 日本語・英語 |
| StoreCRM | LINE連携 | メール+LINE配信 | GroovyMedia Inc. | あり(アクティブ顧客300人) | 9ドル/月 | 100ドル/月+従量 | 5.0(16) | 日本語のみ |
| Lipify(LINE連携アプリ) | d2c-square.com | あり(ID連携120人) | 9ドル/月 | 27ドル/月 | 4.7(3) | 日本語のみ |
| おみせコネクト(LINE連携) | FreakOut Holdings, inc. | あり(ID連携50人) | 成果報酬 | 成果報酬 | 3.0(1) | 日本語のみ |
| Smartarget Line ‑ Contact Us | Smartarget | あり(トップページのみ) | 9ドル/月 | 9ドル/月 | 4.7(6) | 日本語なし |
CRM PLUS on LINE
プランはID連携ユーザー数で区切られています。無料インストール(100人)、Entry 10ドル(300人)、Growth 30ドル(1,000人)、Advanced 200ドル(2,001人以上は従量)。全プランで会員IDとLINE IDの連携、チェックアウトリマインド、顧客・購買データによるセグメント配信、ステップ配信、Shopify Flow連携、タブ型リッチメニューが使えます。
Advancedの200ドルで開くのは、Shopify Plus環境でのソーシャルログイン、LINEログインによる自動友だち追加、LINEミニアプリ会員証の3つです。この3機能はShopify Plusが前提とリスティングに明記されています。
対応言語が日本語と英語の2つあるのは5本中このアプリだけで、海外チームが日本市場向けストアを運用する場合の実質的な選択肢になります。Shopify公式のストーリー「日本のビジネス拡大に役立つアプリを見つける」にも掲載されています。
StoreCRM
メールCRMにLINEを載せた構造で、25以上のシナリオ配信、セグメント配信、再入荷通知を1アプリでカバーします。無料プランは「マーケティング許可が有効の顧客数、またはLINE ID連携済みの顧客数」が300人までです。
プランは4段階で、無料、StoreCRM for LINE 9ドル(LINE ID連携500人まで)、スタンダード 15ドル(アクティブ顧客500人まで)、プロ 100ドル(同6,000人まで)。65,001人以上は自動的にエンタープライズへ移行します。9ドルのプランと15ドルのプランで、数える対象が「LINE ID連携済み」と「アクティブ顧客」で違う点は見積もり時に注意してください。
注意点として、9ドルのプランには「ID連携済みの顧客数が5,000人未満の場合でも、再入荷通知などの機能は65ドル以上から利用可能です」という注記があります。再入荷通知が目的なら、9ドルではなく65ドル以上が実際の入口です。
Lipify
Shopify POSとスマレジに対応している点が他社にない特徴です。店頭でQRコードを読み取り、Shopifyアカウント登録からLINE上の会員バーコード発行までを1ステップで通せると説明されています。リスティングには「ShopifyPlus以外でもご利用頂けます」と明記されています。
プラン体系が「オンラインストア」系と「POS連携」系の2系統に分かれており、POS連携ーエントリー(18ドル)はオンラインストアースターター(9ドル)よりID連携枠が少ない(120人対350人)という逆転があります。POS連携が要件でなければ、安いほうが枠は広いことになります。
レビューは3件で、いずれも2024年のものです。
おみせコネクト
App Storeに掲載されているプランは1つだけで、「ID連携数50人まで全ての機能を無料でお使いいただけます。50人を超えた場合でも、ターゲティングメッセージ経由で注文があった場合のみ費用が発生する」という成果報酬型です。料率はApp Storeページには記載されていません。
唯一のレビュー(2025年3月、評価3)は、再入荷通知が全ロケーションの総在庫で判定されるため店舗とECを分けて管理しているストアでは使えない、と指摘しています。開発元も返信で仕様を認め、ロケーション別対応のアップデートを検討中と回答しています。2026年9月時点で改善済みかどうかは確認できませんでした。OMO運用をしているストアは、導入前にこの点を直接確認してください。
Smartarget Line ‑ Contact Us
「LINE連携アプリ」で検索すると出てきますが、機能はストアにLINEチャットへの導線アイコンを置くだけです。ID連携も配信も自動化もありません。対応言語に日本語がなく、海外ベンダーがLINEを「アジア圏の連絡手段」として扱っている例です。日本のマーチャントが期待する機能とは別物なので、比較表で並べる際は注意が必要です。
まとめ
ShopifyとLINEの関係は、2026年9月1日時点で次のように整理できます。
標準機能はゼロです。メッセージングもソーシャルログインも販売チャネルも、LINEだけが対象外になっています。WhatsAppが標準化されている分、この非対称は今後も自然には解消しません。
ID連携とメッセージ配信は、アプリで全プラン対応できます。課金の分母は全社がID連携ユーザー数なので、比較する数字は月額ではなく「自店の連携見込み人数で、どのプランに入るか」です。
LINEログインを正規のログイン手段にするのは、Shopify Plusでも簡単ではありません。Multipassはレガシーお客様アカウント限定、外部IdP接続は素のLINE Loginでは email_verified と署名アルゴリズムの2点で要件を満たしません。ここを目的にする場合は、アプリ側の対応範囲とShopify Plusの要否を、契約前に開発元へ書面で確認することを勧めます。
そして予算は必ず2階建てで見積もってください。10月の料金改定を含めると、配信規模の大きいストアほど、アプリ選定よりも配信設計の見直しのほうが効きます。
本記事の数値は2026年9月1日時点でShopifyヘルプセンター、Shopify開発者ドキュメント、LINE Developers、LINEヤフー for Business、Shopify App Storeの各掲載ページを確認したものです。料金・評価・レビュー数は変動します。導入前に必ず最新の情報をご確認ください。
Shop Pay Installmentsは有効化無料、アプリ不要、そしてShopifyは手数料を公開していません。レートを見られるのは自社の管理画面の中だけです。加えてCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けず、月次プランはデビットカード限定、ギフトカードとサブスクリプション商品は対象外で、商品ごとにオン・オフを切り替えることもできません。Affirmはパスワード保護中のストア、英語以外の主要言語、主にB2Bという理由でアカウントを停止します。さらにShopifyの「Getting paid」ページは「disputeは管理画面に通知される」と書き、FAQは「管理画面には通知されない」と書いています。適格性を満たせない場合の代替はKlarna、Afterpay、Sezzle、Zip、PayPalのon-site messagingアプリで、このカテゴリーの評価は1.0〜3.2です。調査日は2026年9月2日です。