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Shopifyはlocal delivery(地域配送)とpickup in store(店頭受取)をアプリなしで無料提供しています。設定は10分で終わり、ちゃんと動きます。そして顧客がApple Payを押した瞬間、配送の選択肢が消えます。
これは不具合ではありません。Shopifyは明記しています。
Local delivery works with Shop Pay, but doesn't work with other accelerated checkouts such as Apple Pay, Google Pay, Amazon Pay, or PayPal.(local deliveryはShop Payでは動作しますが、Apple Pay、Google Pay、Amazon Pay、PayPalなど他のaccelerated checkoutでは動作しません)
Shopify自身がヘルプセンターで提示している対処法は、「local deliveryが事業の大半を占めるなら、accelerated checkoutsを一時的に無効化する」です。ベーカリーやフラワーショップにとってこれは実質的な二択です。コンバージョンするボタンを切るか、事業の土台にしている受け渡し方法を諦めるか。
これは、ほとんどのマーチャントが読まずに設定している十数個の制約のうちの1つにすぎません。この記事では、local deliveryとpickup in storeの標準制約を全部並べ、Shopifyの2つのヘルプページが食い違っている箇所を示し、5本の実在するスケジューリングアプリがそれぞれ違う単位で課金していることを整理します。調査日は2026年9月2日、料金はShopify App Store掲載のUSD表記です。
隣り合った2機能の、まったく違う実力
local deliveryとpickup in storeは、管理画面の設定 > 配送と配達 > Additional delivery methodsに並んで置かれています。中身は似ていません。
pickup in storeには、オンライン注文をフルフィルメントするロケーションが最低1つと、最新版のcheckoutが必要です。PlusストアはShopify Extensionsへの移行が前提になります。store transfersに対応しており、受取ロケーションに在庫がなければ、Shopifyが他ロケーション(在庫がある中で最も近い場所を優先)から自動的に在庫を移動させ、それを織り込んだ受取予定を顧客に表示します。転送から除外できるのはコレクション単位で、個別商品は指定できません。
local deliveryはロケーションごとに、半径か郵便番号で設定します。半径を使う場合、ロケーションの住所が検証済みである必要があります。
local deliveryの上限はすべて公開されていて、しかもすべて現実的に到達します。
- 最大半径は160キロメートル / 100マイル。
Include neighboring states or regionsを有効にしても、半径が国境を越えることはありません。 - 1ロケーションあたり配送ゾーンは10まで。
- 1ゾーンあたり追加の価格ベースルールは3つまで。
- 郵便番号ゾーンの入力は合計3,000文字まで。
- 「Local delivery」という配送オプション名は変更できません。英語以外のストアではcheckoutのShippingセクションでは翻訳されますが、Paymentsセクションではストアの言語に関係なく英語表示のままです。
そして見落とされがちな価格の挙動があります。複数の条件付き価格を持つ複数ゾーンに顧客が該当する場合、Shopifyは常に最も安い価格を適用します。半径ゾーンを3段重ねて条件付きルールを足していくと、気づかないうちに「ほぼ全員が最安レート」という構成ができあがります。
誰も見ていない、顧客側の適格性テスト
local deliveryが選択肢として表示されるには、次のすべてが成立している必要があります。
- カート内のすべての物理商品が1つのロケーションから配送可能であること。
- そのロケーションに注文全体を満たす在庫があること。
- 顧客の住所がGoogleで検証できること。実務上は、サジェストされた住所候補から選んでもらう必要があります。
- 住所が半径内かつ同一の州・県にあるか、指定した郵便番号内かつ同一国内にあること。
- Shop Pay以外のaccelerated checkoutでcheckoutを開始していないこと。
1つでも欠けると、選択肢は黙って表示されません。理由を説明するメッセージは出ません。
計画に織り込むべき帰結がもう2つあります。local deliveryでは顧客に電話番号の入力が必須です。任意ではありません。そして顧客は「一部を配送、一部をlocal delivery」という1注文を作れません。Shopifyの案内は「2件の注文に分けて発注してください」です。
食い違い: 配送と店頭受取は1注文に混ぜられるのか
ここでShopifyのドキュメントが自分自身と矛盾します。
pickup in storeのページには、考慮事項としてこう書かれています。「A customer can choose to have some items shipped and some items picked up in the same order.(顧客は同一注文内で、一部を配送、一部を店頭受取にできます)」
Ship and pickup in one orderのページは、冒頭のplan requirementでこう書いています。この機能はShopify PlusとEnterpriseの組織向けのfeature test driveとしてのみ提供されており、「will release for all organizations on Shopify Plus on July 1, 2027(Shopify Plusの全組織へのリリースは2027年7月1日)」。
両方のページが今日時点で公開されています。Basic / Grow / Advancedのストアがpickupページだけを読むと、持っていない機能を前提にフルフィルメント設計を組むことになります。しかもPlus向けページが示している一般提供日は1年半以上先で、Plus未満のプランについては日付そのものが公開されていません。
混在機能が適用される場合の制約も具体的です。混在checkoutではpickup pointsとlocal deliveryはサポート対象外、1注文につき受取ロケーションは1つのみ、分割は顧客起点のみで在庫起点は非対応。ストアフロントのページ(商品ページやカート)では商品ごとの受け渡し方法を指定できず、選択できるのはcheckout内だけです。混在注文は管理画面で別々のfulfillmentとして生成されるため、Shopifyはサードパーティ製のOMS、配送保険、割引、メール、購入後アップセルの各アプリが正しく動かない可能性があると警告しています。
配送通知メールは飛ばない
これは静かにコストになる制約です。
The Out for delivery and Delivered notifications in your notification settings are triggered by carrier tracking events. Local delivery orders don't generate carrier tracking events in Shopify, so these notifications don't apply to local delivery.
設定 > 通知には作り込んだ「Out for delivery」テンプレートが置かれていて、local deliveryの注文では一度も送信されません。顧客が自動で受け取るのは、こちらが手動でMark as deliveredを押したときの配達完了メールだけです。押し忘れれば、顧客には何も届きません。
ここから運用上の制約が出てきます。配送準備をする人、配達完了を記録する人は、全員Shopify管理画面へのアクセス権が必要です。ドライバー専用のビューはありません。スタッフアカウントが0のBasicプランでは、ここが壁になります。
取り消せない仕様も2つあります。local delivery注文は、注文後にフルフィルメントロケーションを変更できません。pickup注文も、顧客がcheckoutで選んだ受取ロケーションを変更できません。できるのは商品を手動で転送することだけです。
標準機能に一切ないもの: 日付と時間
ここまでのリストに何が無いかに注目してください。標準のlocal deliveryには配送日がありません。時間枠もありません。締切時刻も、休業日設定も、準備時間も、商品ごとのリードタイムも、時間枠ごとの受注上限もありません。
pickup in storeにあるのは、ロケーションごとのExpected pickup date(処理時間)が1つだけです。ドロップダウン1つ、ストア全体に一律です。
ケーキ、生花、ミールキットなど生鮮を扱うなら、これがアプリカテゴリーの存在理由そのものです。App Storeで「local delivery」を検索すると1,107件が返り、その圧倒的多数が日時スロットのピッカーです。
アプリ5本、課金している5つの異なる単位
| アプリ | 開発元 | 無料プラン | 開始価格 | 価格が連動する単位 |
|---|---|---|---|---|
| Zapiet ‑ Pickup + Delivery | Zapiet | なし(14日トライアル) | $29.99/月 | 月間注文数とロケーション数 |
| Pickup Delivery Date Pickeasy | Logbase | あり(月10注文) | $9.99/月 | 機能階層とロケーション数 |
| EasyRoutes Local Delivery | Roundtrip.ai | あり(月50注文) | $39/月 | ドライバーのシート数 |
| CR ‑ Store Pickup/Delivery | CreativeR | なし(14日トライアル) | $6.90/月 | pickupだけかdeliveryも要るか |
| Delivery Date Time Slot Pickup | one8 | あり(月200注文) | $4.99/月 | 月間注文数と機能階層 |
評価と料金は2026年9月2日時点のShopify App Storeの表示です。「どれが安いか」は、自社がどの単位に当たるかで完全に変わります。
Zapiet ‑ Pickup + Delivery

出典: Shopify App Store(Zapiet ‑ Pickup + Delivery、2026-09-02時点)
このカテゴリーの古参です。掲載開始は2015年2月17日、1,810件のレビューで4.9、Built for Shopifyバッジ取得、2026 Shopify Build Award受賞。ストアフロントは12言語、POS連携、CSV / Google Calendar / Zapier / Klaviyo / Shopify Flowへのエクスポートに対応します。
課金単位は月間注文数で、刻みが大きいのが特徴です。Essentialは月29.99ドルで1ロケーション・月250注文。Advancedは月79.99ドルで1〜10ロケーション・月1,000注文、商品ごとの準備時間、商品ごとの日付制限、CSVエクスポート、受注上限が付きます。Professionalは月179.99ドルで1〜100ロケーション・月2,500注文、リアルタイム在庫、生産レポート、商品ごとの1日上限が加わります。年払いで15%割引です。
帰結として、1ロケーションで月300注文のストアは29.99ドルではなく79.99ドルを払い、使わないロケーション枠を9つ持つことになります。もう1点、ベーカリーにとって中核要件といえる商品ごとの準備時間が79.99ドルの階層からである点も見ておいてください。
Pickup Delivery Date Pickeasy

出典: Shopify App Store(Pickup Delivery Date Pickeasy、2026-09-02時点)
Logbase提供、Built for Shopify、1,288件のレビューで5.0。無料プランは検証用として実用に耐えます。受注上限付きの日時スロット、準備時間と締切時刻、休業日、郵便番号検証、1ロケーションまで。ただし月10注文が上限で、開発ストアでは上限なしです。
有料階層は注文量ではなく機能とロケーション数で刻まれます。Starter 9.99ドルで商品別の受け渡し方法と準備時間、POS連携。Smart 19.99ドルで最大4ロケーション、Google MapsとCalendar、トップページの郵便番号チェッカー。Premium 29.99ドルで5〜20ロケーションと多条件レートです。
Premiumプランで読み落とせないのが**「Checkout page widget (Shopify Plus)」**という記載です。これより下のプランでは、日付ピッカーはcheckoutの中ではなくカートページに表示されます。この違いは、顧客が住所入力後に配送日を変更できるかどうか、そしてaccelerated checkoutのボタンがピッカーを飛ばしてしまわないかどうかを左右します。checkout内に置きたいなら、それはアプリ選定の前にプラン選定の話になります。
EasyRoutes Local Delivery

出典: Shopify App Store(EasyRoutes Local Delivery、2026-09-02時点)
EasyRoutesが解いている問題は他の4本と違います。主眼はcheckoutのウィジェットではなく、ルート最適化、ドライバーへの配車、ドライバー用モバイルアプリ、リアルタイム追跡、写真・電子署名・バーコードスキャンによる配達証明です。Roundtrip.ai提供、Built for Shopify、280件のレビューで4.9。
「ドライバー全員にShopify管理画面のアクセス権が必要」という標準機能の弱点に対する直接の回答でもあります。iOS / Android向けの専用ドライバーアプリを持っています。Freeプランでルート最適化、ドライバー割り当て、ドライバーアプリが月50注文まで使えます。Standardは月39ドルで注文数無制限、Premiumは月59ドルで配達証明、ドライバー位置のリアルタイム追跡、カスタムメール・SMSが付きます。
コストを決めるのはドライバーのシート数で、単価はプラン料金と同額です。Standardで1シート月39ドル、Premiumで月59ドル。Premiumでドライバー3人なら59ドルではなく、59ドルに追加シート分が乗ります。Enterpriseは15シート込みで月1,125ドルから。リスティングにはZapietと併用できる旨の記載があり、実際の使われ方もそのとおりです。checkoutの選択はアプリ側、その後の配達はEasyRoutes側という分担になります。
CR ‑ Store Pickup/Delivery

出典: Shopify App Store(CR ‑ Store Pickup/Delivery、2026-09-02時点)
CreativeR提供、掲載開始は2017年7月14日、341件のレビューで5.0。価格構成が独特で、pickupとdeliveryが別商品のように刻まれています。Lite ‑ Pickupは月6.90ドルで1ロケーションの受取と日時ピッカー。Pickupは月11.90ドルでロケーション無制限、時間枠ごとの受注上限、CSVエクスポート。Pickup + Deliveryは月17.90ドルで、ここで初めてlocal deliveryが登場します。Advancedは月49ドルでPOS連携、注文受領後の配送先住所編集、ロケーション別のサーチャージが付きます。
標準機能の穴を直接埋める機能が2つあります。特定コレクションを受取必須にして配送を無効化できること、ロケーション別のサーチャージを設定できること。どちらも標準ではできません。受取のスケジューリングだけが必要なら、月6.90ドルはこの5本で最安の入口です。
Delivery Date Time Slot Pickup

出典: Shopify App Store(Delivery Date Time Slot Pickup、2026-09-02時点)
one8提供、Built for Shopify、33件のレビューで5.0。レビュー母数は他より大幅に小さく、その点は割り引いて読む必要があります。無料プランはこの5本で最も気前がよく、月200注文、ロケーションはShopifyの上限まで、締切・準備時間、休業日、ウィジェットのカスタマイズが含まれます。
有料は4.99ドル(注文数とロケーション無制限、休業日、配送・近隣配送・受取)と8.99ドル(リアルタイムのスロット予約、受注上限、郵便番号チェッカー、ロケーション別の提供可否、カスタムフィールドと条件が無制限)。リスティングには、ウィジェットの表示先はカートページまたは商品ページと記載されています。
選び方
1ロケーションで、スケジューリング不要の受取だけ。 標準のpickup in storeで足ります。無料でstore transfersにも対応し、Dawn、Horizonファミリー、いくつかの有料テーマでは商品ページに在庫状況も出せます。
配送日または時間枠が必要。 標準機能には一切ありません。このカテゴリーで唯一、アプリ導入が本当に避けられない要件です。まずPickeasyまたはDelivery Date Time Slot Pickupの無料プランで、ウィジェットがカートページに出る前提を受け入れられるか確かめてから課金してください。
顧客のApple PayやPayPal利用が多く、local deliveryに依存している。 Shopifyの公式回答は「accelerated checkoutsを無効化する」です。その前に、アプリ側の配送手段(Shopify Functionsやcheckout extensionで実装されたもの。標準のlocal deliveryとは別物)がaccelerated checkoutの流れで生き残るかを検証し、アプリのサポートから書面で確認を取ってください。
ドライバーがいる。 標準機能はドライバー全員にShopify管理画面のアクセス権を要求し、Basicのスタッフアカウントは0です。EasyRoutesはドライバーアプリを持ち、シート単位で課金します。プラン料金ではなくシート数で予算を立ててください。
1ロケーションで月250注文を超えている。 Zapietの29.99ドルから79.99ドルへの段差がここにあります。古参だから既定、と決める前に、注文量ではなく機能で刻むアプリと比較してください。
日付ピッカーをカートページではなくcheckout内に置きたい。 まずプラン要件を確認してください。Pickeasyではこれが明示的にShopify Plus指定です。
PlusまたはEnterpriseで、配送と受取を1カートに混ぜたい。 feature test driveとして今日から使えますが、local deliveryとpickup pointsは対象外で、サードパーティのフルフィルメント・メール・アップセル系アプリを壊す可能性があります。本番投入の前にステージングストアで検証してください。
最後に全体に関わる注意点を1つ。Shopifyは、サードパーティの配送アプリが標準のlocal deliveryと競合する可能性があると明記しています。アプリ側の配送スケジューリングと標準のlocal deliveryを同時に有効にすることが、checkoutにレートが二重表示される最も一般的な原因です。どちらか一方の仕組みに寄せて、もう一方は切ってください。
参考・出典
- Setting up local delivery for online orders — Shopifyヘルプセンター
- Setting up pickup in store for online orders — Shopifyヘルプセンター
- Fulfilling local delivery orders — Shopifyヘルプセンター
- Ship and pickup in one order in Shopify Checkout — Shopifyヘルプセンター
- Delivery methods — Shopifyヘルプセンター
- Shopify App Storeの各リスティング(Zapiet ‑ Pickup + Delivery、Pickup Delivery Date Pickeasy、EasyRoutes Local Delivery、CR ‑ Store Pickup/Delivery、Delivery Date Time Slot Pickup)、2026年9月2日取得
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。