この記事でわかること
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「Shopifyの背景削除アプリ おすすめ」で検索すると、比較記事がずらりと並びます。そのほとんどが触れていないことが1つあります。
Shopifyの管理画面には、背景削除が最初から入っています。
ヘルプセンターのメディアエディタのページには、こう書かれています。
You can use Shopify Magic to remove or replace the background of an image in the media editor.(メディアエディタでShopify Magicを使って、画像の背景を削除または置換できます)
しかも料金の扱いはこうです。
Shopify Magic tools and experiences are available for free, regardless of your subscription plan.(Shopify Magicのツールと機能は、サブスクリプションプランに関係なく無料で利用できます)
では、なぜ背景削除アプリの市場が成立しているのか。答えは同じヘルプページの、もっと下にある技術的な注意事項に書かれています。
The default resolution for generated images is 1 megapixel (MP) resolution based on your image's aspect ratio.(生成画像の既定の解像度は、元画像のアスペクト比に基づく1メガピクセルです)
そしてShopifyが商品画像に許容する上限は、別のヘルプページによれば 25メガピクセルです。25倍の開きがあります。
この記事では、標準機能の境界線を公式ドキュメントの記載だけで確定させ、そのうえでアプリを入れるべき条件と、背景削除アプリ5本のクレジット単価を実際に計算します。調査日は2026年9月1日です。
先に結論
商品点数が数十点で、1枚ずつ確認しながら仕上げるなら、標準のメディアエディタで足ります。追加費用はかかりません。
数百点以上の画像を一括処理したいなら、そこが標準機能の限界です。Shopifyの生成は「一度に1シーン」で、メディアエディタは1ファイル単位です。一括処理はアプリが売っている機能そのものです。
**元画像の解像度を維持したいなら、Shopify Magicの生成機能は使えません。**1MPに正規化されるためです。背景を消すだけならエディタの背景削除機能を、生成AIで背景を作り替えるなら解像度の低下を受け入れることになります。
そして生成画像には不可視のウォーターマークが入ります。商用利用は制限されませんが、除去はできません。
Shopify標準でできること
Shopify Magicの提供範囲は、ヘルプセンターに整理されています。
Shopify Magic is integrated with the Shopify admin's media editor, so that you can leverage AI to help you with professional image adjustments or asset creation without requiring additional software or design expertise.
具体的にできることとして列挙されているのは次の3つです。
背景の削除・置換です。メディアエディタから、デスクトップでもモバイルでも実行できます。被写体の自動検出があり、必要なら手動で補正できます。単色背景への置換も可能です。
プロンプトによる画像変換です。ヘルプの表現は「Transform your image using simple natural language prompts to change backgrounds, lighting, or other aspects of the image」で、背景や光の当たり方を自然言語で指示できます。
**アウトペインティング(画像の拡張)**です。「You can extend image backgrounds beyond their original borders.」とあり、元画像の枠を超えて背景を広げられます。ただし「Outpainting images isn't available on the Shopify mobile app.」とあり、モバイルアプリでは使えません。
加えて、メディアエディタは代替テキスト(alt text)の候補もAIで提案します。
プランの条件は2つに分かれている
ここは読み違えやすい箇所です。ヘルプには2つの別々の記述があります。
1つ目は、料金についてです。
For a limited time, media generation in the file editor is available on all Shopify plans at no additional cost.(期間限定で、ファイルエディタでのメディア生成は全Shopifyプランで追加費用なく利用できます)
**「期間限定(For a limited time)」という条件が付いています。**将来的に有料化または制限される可能性が公式に示唆されている状態です。
2つ目は、Sidekick経由の場合です。
Media generation with Sidekick is only available for stores on the Basic plan, Grow plan, Advanced plan, and Shopify Plus plan.(Sidekickでのメディア生成は、Basic・Grow・Advanced・Shopify Plusのストアでのみ利用できます)
つまりSidekick経由の生成だけはStarterプランが対象外です。ファイルエディタからの生成とは別の話なので、混同しないようにしてください。Sidekickそのもののプラン条件は別記事で扱っています。
なお、**月間の生成回数上限を示す記述は、ヘルプセンター上に見つかりませんでした。**回数制限がないという意味ではなく、公式に明示されていないという意味です。
標準機能の3つの制約
比較記事がアプリを勧める根拠は、たいてい「無料の標準機能より高機能だから」という漠然としたものです。公式ドキュメントを読むと、実際の差分は3点に絞られます。
制約1:生成画像は1MPに正規化される
すでに引用したとおり、生成画像の既定解像度は1MPです。そしてヘルプは、その挙動をはっきり書いています。
Images larger than 1 MP are scaled down, whereas images under 1 MP are scaled up.(1MPより大きい画像は縮小され、1MP未満の画像は拡大されます)
一方、Shopifyが商品画像・コレクション画像に許容する仕様は別ページにあります。
Your product and collection images can be any size up to 5000 x 5000 px, or 25 megapixels.
**5000×5000px(25MP)まで許容されるプラットフォームで、AI生成の出力は1MPに固定される。**この非対称が、標準機能で完結できるかどうかの最大の分かれ目です。
たとえば4000×3000px(12MP)の商品写真をMagicの生成機能に通すと、返ってくるのは約1MP相当、おおよそ1150×860px程度の画像です。商品ページのズーム表示を前提にしているストアでは、ここで品質要件を満たさなくなる可能性があります。
ただし注意点として、この1MP正規化は「生成(generate)」の話です。背景を単純に削除・単色置換する操作についても同じ扱いになるかは、ヘルプの記載からは明確に切り分けられませんでした。高解像度の原本を扱っている場合は、実際に1枚通して出力サイズを確認することを勧めます。
制約2:一度に1シーンしか作れない
The Shopify AI image editor creates 1 AI-generated scene at a time. Additional sets can be generated, but any unused scenes are deleted when you close the editor unless you save the images to your device.
追加のセットは生成できますが、**エディタを閉じると未使用のシーンは削除されます。**端末に保存していない限り残りません。
そしてメディアエディタ自体が1ファイル単位のUIです。**商品100点分の画像をまとめて処理する導線は標準機能にありません。**これがアプリ側の訴求ポイント(「1クリックで250点以上」「1,000枚以上を一括処理」)とちょうど裏表になっています。
制約3:不可視ウォーターマークが入る
An invisible watermark is applied to all generated images, which doesn't restrict commercial use but can't be removed.(すべての生成画像に不可視のウォーターマークが適用されます。商用利用を制限するものではありませんが、除去はできません)
権利関係については、Shopifyは明確に手を引いています。
Shopify doesn't claim ownership over images merchants create using media generation, nor restrict where they can use those images.
**所有権を主張せず、利用場所も制限しない。ただしウォーターマークは消えない。**Amazonや楽天など他モールへ同じ画像を転用する予定がある場合、この点を把握したうえで判断してください。
判定:アプリが必要になる条件
以上を踏まえると、アプリを検討すべき条件は明確です。
- 一括処理したい画像が数百枚以上ある
- 元画像の解像度を落とせない
- 生成物にウォーターマークを入れたくない
- 白背景・特定サイズなど、外部モールの規定に合わせた出力が必要
逆に、**商品点数が数十点で、1枚ずつ確認しながら進める運用なら、標準機能で完結します。**この場合、アプリの月額は純粋な追加コストです。
背景削除アプリ5本の比較
2026年9月1日時点のShopify App Store掲載情報です。料金はすべてUSD建てです。
| アプリ | 開発元 | 評価(件数) | 課金形態 | 一括処理の上限 | 日本語UI | BFS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Pxl ‑ Photo Background Remover | Axel Hardy | 5.0(31) | クレジット買い切りのみ | 記載なし | なし | あり |
| Pix ‑ Photo Background Remover | SAGE Apps | 5.0(5) | 月額+クレジット | 20〜250点 | なし | なし |
| Background Remover: Bulk Pics | Apporia | レビューなし | 月額+クレジット | 50〜1,000点 | なし | なし |
| Pixc: AI Image Editing | Pixc | 4.7(35) | 従量またはメンバー$79/月 | 記載なし | なし | なし |
| Cutout bulk background remover | cutout.pro | レビューなし | クレジット従量 | 同時10枚 | なし | なし |
まず全体として、**5本とも日本語UIに対応していません。**Cutoutに至ってはUIが簡体字中国語のみで、英語にも対応していません。日本語での操作やサポートを前提にした運用は、この分野では選択肢がありません。
Built for Shopifyバッジを取得しているのはPxlだけでした。
クレジット単価を割り算するとどうなるか
このカテゴリの比較で最も重要なのに、どの比較記事も書いていないことがあります。**「クレジット」という単位はアプリ間で共通ではありません。**実際に単価を計算すると、100倍以上の開きが出ます。
| アプリ | パック | 1クレジットあたり |
|---|---|---|
| Background Remover: Bulk Pics | $29 / 3,000クレジット | 約$0.0097 |
| Background Remover: Bulk Pics | $149 / 10,000クレジット | 約$0.0149 |
| Pix | $80 / 5,000クレジット | $0.016 |
| Pix | $179 / 10,000クレジット | 約$0.0179 |
| Pxl | $50 / 250クレジット | $0.20 |
| Pixc(従量) | $20 / 10クレジット | $2.00 |
| Pixc(従量) | $2,000 / 1,000クレジット | $2.00 |
ここから2つのことが分かります。
**第一に、パックが大きいほど単価が安いとは限りません。**Background Remover: Bulk Picsでは$29の3,000クレジットパック(約$0.0097)のほうが、$149の10,000クレジットパック(約$0.0149)より1クレジットあたり5割以上安くなります。Pixでも$80の5,000クレジットのほうが$179の10,000クレジットより安いです。**両アプリとも、最上位のパックが最も割高です。**まとめ買いを反射的に選ばず、必要枚数で割ってから決めてください。
第二に、Pixcのクレジットは他社と同じ単位ではありません。1クレジット$2.00という水準は、他社の100倍以上です。Pixcは2014年公開の老舗で、もともと人手によるレタッチサービスでした。App Storeページには「20-day image storage and backup」「2-day order review period(2日間の注文レビュー期間)」といった、自動処理では出てこない項目が並びます。「クレジット」が指しているものが違うと考えるのが自然です。
そしてPixcには、もう1つ読み解きが必要な点があります。掲載されているレビューは2019年10月が最新で、それ以前のものしかありません。説明文には「Rebuilt as a fully automated AI app.(完全自動のAIアプリとして再構築)」とあります。つまり評価4.7(35件)は、人手レタッチ時代に付いた評価であり、現在のAI版の品質評価ではない可能性が高いです。星の数だけで比較する際の典型的な落とし穴です。
Pxl ‑ Photo Background Remover
今回唯一のBuilt for Shopify取得アプリです。2020年4月3日公開、評価5.0(31件)。
料金構造が他社と異なり、月額サブスクリプションが存在しません。「Free to install」で、5クレジット無料、以降は$5で10クレジット、$10で30、$25で100、$50で250というクレジット買い切りのみです。使わない月の固定費がゼロになります。
背景色を任意に選べる点、写真をアップロードして背景除去し商品に紐付ける導線を持つ点が説明されています。
2026年3月の米国ストアのレビューには「唯一うまくいかなかったのは、暗い影の中に黒い要素がある画像だった」という具体的な指摘があります。被写体と背景のコントラストが低い商材では限界があるという、率直な情報です。2026年5月・6月のレビューは品質とUIを評価しています。
向いているのは、処理枚数が読めず、月によって0枚のこともあるストアです。
Pix ‑ Photo Background Remover と Background Remover: Bulk Pics
この2本は構造がよく似ています。どちらも「無料インストール+クレジット買い切り」と「月額サブスクリプション」を併用でき、月額プランの差別化軸が一括処理できる商品点数です。
Pixは、BASIC $10/月(500クレジット、20点一括)、STANDARD $99/月(5,000クレジット、100点一括)、PRO $199/月(無制限クレジット、250点一括)です。2025年3月25日公開、レビュー5件。
Background Remover: Bulk Picsは、BASIC $9/月(500クレジット、50点一括)、GROWTH $29/月(3,000クレジット、250点一括)、PRO $149/月(無制限クレジット、1,000点一括)です。2026年6月8日公開でレビューは0件、公開から3か月弱の新しいアプリです。
同じ$29〜$99の帯で比べると、Background Remover: Bulk PicsのGROWTH($29、3,000クレジット、250点一括)は、PixのSTANDARD($99、5,000クレジット、100点一括)より一括点数が多く安価です。ただしレビューが0件である点をどう評価するかが判断の分かれ目になります。
Pixの説明文には「AI Image Generation – Create product images using DALL·E & MidJourney.」という記述もあり、背景削除以外に画像生成も含みます。2026年1月の米国ストアのレビューには「メタフィールドにURLを入れられるので、白背景画像が必須のAmazon出品を作るときに便利」という具体的な使い方が書かれています。外部モールの画像規定に合わせる用途では、標準機能にない実務価値がある例です。
Cutout bulk background remover
料金は「first 2 credits for free, then starts at $0.997 per credit, and as low as $0.14 per credit」で、2クレジット無料、以降は1クレジット$0.997から、最安$0.14という表記です。同時に10枚処理できると記載されています。
ただし**このリスティングは情報が古い可能性があります。**ページ内のナビゲーションが「2025 Shopify Build Awards」を表示しており、他4本が「2026」を表示しているのと食い違っています。レビューは0件、UIは簡体字中国語のみです。現在値として扱う前に、開発元サイトでの再確認が必要です。
ケース別の選び方
商品点数が数十点、1枚ずつ仕上げる
標準のメディアエディタで完結します。アプリは不要です。
処理枚数が月によって大きく変動する
Pxlです。月額固定費がなく、使った分だけのクレジット買い切りです。Built for Shopifyバッジもあります。
数百点をまとめて処理し、コストを抑えたい
Background Remover: Bulk PicsのGROWTH($29/月、250点一括)が単価上は最も有利です。ただしレビュー0件なので、無料クレジットで出力品質を確認してから月額に進んでください。
Amazonなど外部モールの白背景規定に合わせたい
Pixです。メタフィールドへのURL格納を実際の運用で使っているレビューが確認できます。
日本語で運用したい
**条件を満たすアプリは今回の5本にありませんでした。**日本語UIが必須要件なら、標準のメディアエディタ(管理画面は日本語表示)で運用するのが現実的です。
導入前チェックリスト
- 標準のメディアエディタで、実際に1枚処理して出力解像度を確認したか
- 元画像の解像度要件(商品ページのズーム表示など)を数値で決めているか
- 生成画像の不可視ウォーターマークが、他モールへの転用に支障がないか確認したか
- 一括処理したい枚数を数え、各アプリの一括点数上限と突き合わせたか
- クレジット単価を「パック価格 ÷ クレジット数」で実際に割り算したか
- 最上位パックが最安とは限らないことを確認したか
- 表示されている星評価が、現行バージョンに対する評価かどうか確認したか
- 日本語サポートが必要か。必要なら選択肢がないことを許容できるか
- 「期間限定で無料」というShopify Magicの条件が変わった場合の代替を想定しているか
まとめ
2026年9月1日時点の整理は次のとおりです。
**背景削除はShopifyの標準機能です。**メディアエディタから全プランで使えます。アプリを検討する前に、まず1枚通して結果を確認してください。それで足りるストアは少なくありません。
**標準機能の限界は「一括処理」と「解像度」の2点です。**Shopifyは一度に1シーンしか生成せず、生成画像は1MPに正規化されます。商品画像の上限が25MPであることを踏まえると、この差は無視できません。アプリが売っているのは、ほぼこの2つです。
**クレジット単価は必ず自分で割り算してください。**今回の5本では1クレジットあたり$0.0097から$2.00まで、200倍以上の開きがありました。しかも2本のアプリで、最上位パックが最も割高でした。
そして今回の5本には日本語UIがありません。日本語での運用が要件なら、標準機能を軸に組み立てるのが現実的な選択になります。画像最適化(圧縮・配信)については別の論点があり、画像最適化アプリとCDNの制約を扱った記事で整理しています。
本記事の数値は2026年9月1日時点でShopifyヘルプセンターおよびShopify App Storeの各掲載ページを確認したものです。料金・評価・レビュー数は変動します。導入前に必ず最新の情報をご確認ください。
自分が所有する2つのShopifyストアの間を、Shopifyは何も同期しません。ロケーションは1ストアの中の概念、Marketsは1ストアから多国を売る機能、Shopify Collectiveはドロップシップの関係で、1商品100バリエーションの上限があり、アンインストールすると取り込んだ在庫が0になります。つまりマルチストア同期は完全にアプリの領域なのですが、実在する6本のアプリは6種類の別々の単位で課金しています。Syncioは宛先ストアに商品数、供給元に注文数。Tipoは宛先ストアの全バリエーション数(同期していない分も含む)。Synkroの月25ドルプランは接続ストアごとに25ドル。Trunkは全チャネル合計の直近3か月平均注文数。同一条件の2ストア構成で見積もると、月額はおよそ10ドルから119ドルまで開きます。2026年9月2日にShopify App Storeで確認しました。