この記事でわかること
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「Shopifyの標準機能だけで配送追跡はどこまでできるのか」。この問いに、日本語の記事はたいてい「追跡番号を入れればリンクになります」あるいは「アプリが必要です」のどちらかで答えます。どちらも部分的には正しいのですが、実際のShopifyの挙動はもう少し複雑です。
Shopifyは注文追跡について、性質のまったく異なる配送業者リストを2つ持っています。片方に載っている業者と、両方に載っている業者では、顧客に届く通知の数が変わります。そして日本の主要3社は、片方にしか載っていません。
この記事では、Shopifyヘルプセンターとshopify.devの記載を根拠に2つのリストの違いを整理し、そのうえで注文追跡アプリ4本を同じ軸で比較します。調査日は2026年9月1日です。
先に結論
海外の主要キャリアで発送していて、追跡リンクさえ出れば十分なら、標準機能で足ります。追跡番号を入力すればリンクが生成され、注文状況確認ページとShopアプリで顧客が追えます。
日本国内のヤマト運輸・佐川急便・日本郵便で発送していて、「配送中」「お届け済み」の自動通知を期待しているなら、標準機能だけでは条件を満たしません。理由は後述します。
自社ドメインの追跡ページを持ちたい、複数キャリアを1画面で管理したいなら、アプリの領域です。
管理画面を日本語で使いたいなら、選択肢は絞られます。4本のうち日本語UIを提供しているのはCWILL Order Trackingと17TRACK Order Trackingの2本です。
課金単位に注意してください。同じ「月200件」でも、注文数で数えるアプリと配送数で数えるアプリがあります。分割発送が多いストアでは実質コストが倍近く変わります。
Shopifyの配送業者リストは2つある
ここが本題です。
リスト1: 追跡URLを自動生成する業者
shopify.devの FulfillmentTrackingInfo のドキュメントには、「supported tracking companies」という一覧が掲載されています。この一覧にある業者名を company に指定すると、Shopifyが追跡番号から追跡URLを自動的に組み立て、管理画面や顧客向けメールでクリック可能なリンクになります。
この一覧は「どの国のストアでも表示される業者」と「特定の国のストアだけに表示される業者」に分かれています。前者には次の表記が含まれます。
- Japan Post (EN) / Japan Post (JA)
- Sagawa (EN) / Sagawa (JA)
- Yamato (EN) / Yamato (JA)
日本語表記と英語表記が別項目として登録されている点が特徴的です。さらに日本のストア向けには、エコ配、西濃運輸、西濃スーパーエキスプレス、福山通運、日本通運、名鉄運輸、第一貨物が追加で表示されます。
つまり追跡リンクの生成に関しては、日本の主要キャリアは標準対応済みです。「Shopifyは日本の配送業者に対応していない」という説明は、この点については正確ではありません。
リスト2: 配送ステータスを自動更新する業者
同じドキュメントには、続けてこう書かれています。追跡会社のうち「Shipping Carriers ヘルプページに掲載されている業者」については、Shopifyがフルフィルメントの shipment_status フィールドを配送過程で自動更新する、と。
そこで参照先のヘルプページを見ると、Shopifyのキャリアアカウント経由で配送ラベルを購入できる国は次のとおりです。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン。
日本は含まれていません。
この差が通知の挙動を分ける
Shopifyの顧客通知には、配送に関するものが4種類あります。
| 通知 | 発火タイミング |
|---|---|
| Shipping confirmation(発送確認) | 注文をフルフィルメントしたとき |
| Shipping update(配送情報の更新) | 発送済み注文の追跡情報を追加・更新したとき |
| Out for delivery(配達中) | 対応するステータスの追跡イベントを受信したとき |
| Delivered(お届け済み) | 対応するステータスの追跡イベントを受信したとき |
上2つは、ストア側の操作がトリガーです。ヤマト運輸でも佐川急便でも、追跡番号を入力すれば発送確認メールは飛びます。
問題は下2つです。ヘルプセンターは「これらの通知は、配送業者またはフルフィルメントアプリから対応するステータスの追跡イベントを受信したときに送信されます。追跡イベントのソース、精度、タイミングは配送業者によって異なります」と明記しています。
日本のキャリアはリスト2に載っていないため、Shopify自身が配送業者から追跡イベントを取得する経路がありません。したがってこの2通知を機能させたい場合、追跡イベントを供給するフルフィルメントアプリまたは追跡アプリ側が必要になります。Shopifyヘルプセンターの「日本での配送」ページが、Plus Shippingのようなサードパーティアプリを前提に「注文状況の自動追跡」を挙げているのも、この構造と整合します。
なお「配達中」「お届け済み」通知は、ローカルデリバリー(店舗からの自社配送)注文では利用できません。ローカルデリバリーには別の配達確認メールがあり、注文を配達済みとしてマークしたときに送信されます。
標準機能で顧客が追跡できる経路
念のため、標準で用意されている顧客側の導線も整理しておきます。
顧客は注文状況確認ページで配送状況を確認できます。到達経路は3つです。顧客アカウントにログインする、発送確認メールの追跡リンクをクリックする、注文確認番号を入力してメールアドレスまたは電話番号で本人確認する。
Shopアプリを使う顧客には、注文ステータスの更新、配送マイルストーンのプッシュ通知、ライブマップ追跡、配達予定日が提供されます。Shopアプリ側の配達予定日は、キャリアの提示日と異なる場合に「Predicted by Shop」と表示されます。
ここで一点、運用上の注意があります。Shopアプリから送信される追跡更新・注文ステータス通知は、マーチャント側で無効化も編集もできません。顧客がShopアプリの設定で切るしか止める方法がない、とヘルプセンターに明記されています。ブランド体験を完全にコントロールしたい場合は、この制約を前提に設計する必要があります。
アプリを検討すべき条件
以上を踏まえると、追跡アプリが効いてくるのは次のような場合です。
自社ドメイン配下にブランド追跡ページを置きたい。複数キャリアの配送を1つのダッシュボードで管理したい。配送遅延や例外を問い合わせが来る前に検知したい。配達予定日を商品ページやチェックアウトに表示したい。追跡ページの閲覧トラフィックを再購入につなげたい。そして日本キャリアで「配達中」「お届け済み」相当の通知を出したい。
逆に、月の注文数が少なく、追跡リンクさえ出れば運用が回っているストアは、アプリを入れる合理的な理由が薄いままです。
注文追跡アプリ4本の比較
2026年9月1日時点のShopify App Storeで確認した情報です。金額はすべて米ドル表記で、料金は変更される可能性があります。
| 項目 | CWILL Order Tracking | 17TRACK Order Tracking | Track123 Order Tracking | AfterShip Order Tracking |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | CWILL INC | 17TRACK | Track123 | AfterShip |
| 評価(件数) | 5.0(約2,900件) | 4.9(約3,950件) | 4.9(約1,600件) | 4.7(約1,300件) |
| Built for Shopify | 取得 | 取得 | 取得 | 取得 |
| 無料プラン | 20注文/月 | 50配送/月 | 50注文/月 | 50配送/月(無料インストール) |
| 課金単位 | 注文数 | 配送数 | 注文数 | 配送数 |
| 最安の有料プラン | $11/月(200注文) | $9/月(200配送) | $9/月(300注文) | $11/月(100配送) |
| 中位プラン | $59/月(2,000注文) | $49/月(1,000配送) | $49/月(2,000注文) | $70/月(500配送) |
| 超過課金 | $0.05/件 | 記載なし | $0.05/件 | $0.08〜$0.12/件 |
| 対応キャリア数(公称) | 1,600社以上 | 3,300社以上 | 記載を確認できず | 1,100社以上 |
| 日本語UI | あり | あり | なし | なし |
| Shopify Flow | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 公開年 | 2019年 | 2021年 | 2022年 | 2012年 |
比較表から読み取れること
まず名称の変更があります。 かつてParcelPanelとして知られていたアプリは、現在CWILL Order Trackingという名称でリスティングされています。App Storeの説明文にも「Formerly ParcelPanel & ParcelWILL」と明記されています。日本語・英語を問わず既存の比較記事の大半は旧名称のままなので、検索して見つからない場合はこの点を疑ってください。アプリURLは parcelpanel のまま維持されています。
次に課金単位です。 ここが実務上もっとも効きます。CWILL Order TrackingとTrack123は「注文数」で数え、17TRACKとAfterShipは「配送数」で数えます。1注文を2箱に分けて発送するストアでは、後者は消費量が2倍になります。在庫を複数ロケーションに分散していて分割発送が常態化しているストアほど、この差は無視できません。逆に1注文1配送が基本なら、実質的な差はほぼなくなります。
無料プランの中身も揃っていません。 17TRACKの無料プランは50配送に加えて3,300社以上のキャリアアクセスとブランド追跡ページが含まれます。CWILL Order Trackingの無料プランは20注文と枠は小さいものの、ブランド追跡ページ、リアルタイム同期、顧客アカウント対応まで含みます。Track123の無料プランは50注文で、Shopifyネイティブのメール通知、顧客アカウント注文ページのウィジェット、注文状況確認ページのウィジェットが使えます。AfterShipは「無料インストール」型で、無料枠は50配送、初回インポート500配送まで無料と案内されています。
日本語UIは2本のみです。 App Storeの対応言語欄では、CWILL Order Trackingと17TRACKに日本語が含まれています。Track123とAfterShipの対応言語欄に日本語の記載はありません。ここで注意したいのは、アプリ管理画面の言語と、顧客向け追跡ページの言語は別物だという点です。4本とも追跡ページの多言語表示や翻訳機能を備えており、顧客に日本語の追跡ページを見せること自体は日本語UIがなくても可能です。日本語UIの有無が効くのは、あくまで運用担当者の管理画面体験です。
CWILL Order Tracking
かつてのParcelPanel。日本語UIがあり、注文数課金で、無料プランでもブランド追跡ページが使える構成です。有料プランは$11/月(200注文)、$59/月(2,000注文)、$479/月(25,000注文)で、超過分は$0.05/件。上位プランで独自ドメインではなく「CWILLブランディングの除去」やAPI・Webhookが解放されます。
App Storeの評価は5.0で、5つ星が97%を占めます。直近のレビューでは、キャリアのマッピングが誤っていた事例と、それがサポート対応で短時間に解決された旨の記述が確認できます。
分割発送が少なく、日本語で管理したい中小規模ストアに向きます。
17TRACK Order Tracking
公称3,300社以上と、4本の中で最大のキャリアカバレッジを掲げています。日本語UIあり。無料プランが50配送と比較的大きく、$9/月(200配送)からと最安クラスです。
制約として押さえておきたい点があります。2026年8月のレビューで、注文データの同期が過去180日分に限られるため、それ以降の返品・保証請求の自動化が成立しないという指摘があり、これに対して開発元が「180日の保持期間はシステム性能とデータ管理効率の総合判断によるもの」と回答し、返品機能は3年分の注文に対応する別システム(17RETURNS)へ移行済みであること、同期期間のカスタマイズ要望はロードマップに含まれることを説明しています。これは1件のレビューとその回答であり、一般的な評価として扱うべきものではありませんが、長期保証を扱うストアは事前に確認する価値があります。
対応キャリアの広さを重視する越境ストア、コストを抑えたいストアに向きます。
Track123 Order Tracking
注文数課金で、$9/月(300注文)と単価あたりの枠が広めです。Apple Wallet追跡、AI商品レコメンド、地図ベースの追跡ページが特徴として挙げられています。無料プランでも注文状況確認ページと顧客アカウント注文ページのウィジェットが使えます。
対応言語欄に日本語の記載はありません。管理画面を日本語で使いたい場合は候補から外れます。
分割発送が少なく、英語運用が問題ないストアに向きます。
AfterShip Order Tracking
2012年公開と4本で最も歴史が長く、Klaviyo、Gorgias、Zendesk、ShipStation、Attentiveといった周辺SaaSとの連携が明示されています。AIによる配達予定日(AI EDD)を商品ページとチェックアウトに表示する機能を打ち出しています。
一方で、評価は4.7と4本の中で最も低く、1つ星が6%(77件)を占めます。2026年6月のレビューには、特定キャリア(Royal Mail)を使うにはPremium以上が必要でコストが見合わないという内容が確認できます。料金体系も他3本と異なり、$70/月で500配送、超過は$0.12/件と、中位プランの単価が高めです。
既存のSaaSスタックとの連携を最優先し、予算に余裕がある中〜大規模ストアに向きます。
ケース別の選び方
まずアプリなしで運用したい
海外キャリア中心で、追跡リンクが出れば十分なら標準機能で足ります。日本キャリアでも、発送確認メールと注文状況確認ページまでは標準で機能します。
日本キャリアで配達完了通知まで出したい
標準機能の「配達中」「お届け済み」通知を機能させるには、追跡イベントを供給する側の仕組みが必要です。追跡アプリまたはフルフィルメントアプリの導入を前提に設計してください。
日本語の管理画面で運用したい
CWILL Order Trackingか17TRACK Order Trackingの2択です。
分割発送が多い
注文数課金のCWILL Order TrackingまたはTrack123が有利です。配送数課金のアプリでは想定より早く枠を消費します。
とにかくコストを抑えたい
17TRACKの無料プラン(50配送)または$9/月プランが最安クラスです。ただし注文データ保持期間の制約を事前に確認してください。
周辺SaaSとの連携が最優先
AfterShipの連携先が最も明示的です。ただし中位プランの単価は他より高くなります。
導入前チェックリスト
- 自社のキャリアがshopify.devの「supported tracking companies」一覧に載っているか
- 「配達中」「お届け済み」通知が本当に必要か、発送確認メールで足りないか
- 課金単位が注文数か配送数か、自社の分割発送率と照らして確認したか
- 無料プランの枠を超えた月の実費を計算したか
- 管理画面の言語と顧客向け追跡ページの言語を区別して要件を整理したか
- Shopアプリからの通知を止められない前提で顧客体験を設計したか
- 注文データの保持期間が、自社の返品・保証期間より長いか
- アンインストール後に追跡ページのURLがどうなるか確認したか
まとめ
判断の順番は次の4つに圧縮できます。
- shopify.devの一覧で自社キャリアの追跡リンク対応を確認する。日本の主要3社は対応済みです
- ヘルプセンターの統合キャリア表に自社の国が含まれるか確認する。日本は含まれていないため、「配達中」「お届け済み」通知は標準だけでは成立しません
- 必要要件を「ブランド追跡ページ」「日本語UI」「連携先」「コスト」から3つに絞る
- 課金単位(注文数か配送数か)を自社の分割発送率と突き合わせ、無料プランで実データを流して検証する
料金とプラン内容は変更される可能性があります。導入前にShopify App Storeの各リスティングで最新の記載を確認してください。
出典
- Order tracking at Shopify — Shopify Help Center
- Setting up customer notifications — Shopify Help Center
- Understanding shipping carriers — Shopify Help Center
- Shipping in Japan — Shopify Help Center
- FulfillmentTrackingInfo — Shopify GraphQL Admin API
- CWILL Order Tracking — Shopify App Store
- 17TRACK Order Tracking — Shopify App Store
- Track123 Order Tracking — Shopify App Store
- AfterShip Order Tracking — Shopify App Store
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。