この記事でわかること
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「Shopify POSは日本で使えますか」という質問には、二段階の答えが必要です。
アプリとしてのShopify POSは日本でも動きます。iOSとAndroidの両方で提供され、在庫も注文も管理画面と同期します。ここまでは問題ありません。
問題はその先です。Shopifyヘルプセンターは、Shopify POSでShopifyペイメントによる対面決済を利用できる国を明示的にリスト化しています。そこに日本はありません。つまり日本のストアは、Shopify純正のカードリーダーをPOSアプリに繋いでカード決済を完結させる、という構成が取れません。
さらに厄介なことに、この対応国リストはShopify公式ドキュメントの2か所で内容が食い違っています。片方は18か国、もう片方は15か国です。どちらにも日本は入っていないので結論は変わりませんが、公式情報を1か所だけ見て判断するのが危険であることは示しています。
この記事では、POS Proが月13,000円で何を追加するのかを全項目確認したうえで、日本のストアではそのうち何が実質的に機能しないのかを整理します。調査日は2026年9月1日、料金はすべてShopify公式サイトの日本向けページ(JPY表記)とグローバルページ(USD表記)を確認しています。
先に結論
実店舗のレジをShopify POSで完結させたい日本のストアは、その前提が成立するかを先に確認してください。Shopifyペイメントの対面決済対応国に日本は含まれていないため、カード決済は別の決済端末で行い、その結果をShopify POS側にカスタム決済として記録する二重運用になります。POS Proの月13,000円は、この二重運用を前提にしても回収できるかで判断することになります。
在庫と顧客だけを実店舗と繋ぎたいなら、Shopify POS本体ではなく国内POSとの連携アプリが選択肢になります。実在するものとしては「スマレジ連携アプリ V3」(開発元:Hiyaku Inc)がShopify App Storeに掲載されています。
ポップアップや催事だけで年に数回売るなら、全有料プランに含まれる対面販売機能で足ります。POS Proは不要です。むしろトライアル終了後に自動でこちらへ戻る設計になっています。
Shopify Plusを契約しているなら、POS Proの最初の20ロケーションは追加費用なしで含まれます。ここを知らずに個別課金していると、20店舗分で年間300万円以上の差になります。
全プランに含まれる対面販売機能の範囲
Shopify POSは、Shopify App Storeで配布されるアプリです。使うには、まずストア設定で複数ロケーションを有効にする必要があります。ここでつまずくケースがあります。
有料プランなら追加費用なしで使える機能は、Shopifyヘルプセンターの機能比較表で確認できます。主なものは次のとおりです。
- カスタマイズ可能なスマートグリッド(レジ画面のボタン配置)
- 顧客プロフィールの追加・編集
- Customer Viewアプリ(客側ディスプレイ)
- 複数ロケーションの在庫・注文・顧客管理
- メール/SMSでのレシート送信
- ディスカウントコードと手動ディスカウント(金額・%)
- ギフトカードの販売と利用
- カメラでのバーコードスキャン
- カスタム販売(商品登録していないものをその場で売る)
- オフラインでの現金決済
- 返金
- レジ現金の追跡
- 在庫数の変更
つまり「商品を選んで、現金またはカスタム決済で会計し、レシートを送り、在庫を減らす」という一巡は、追加費用なしで回ります。小規模な催事販売なら、これで十分成立します。
POS Proが追加する20項目
一方、Shopifyヘルプセンターの比較表でPOS Proのみに丸が付いている項目は、次の20項目です。
- カスタム印刷レシート
- 自動ディスカウント
- 小売スタッフの権限管理
- POS専用スタッフの無制限追加
- 販売担当スタッフの記録
- 注文のキャンセル
- 交換
- カートの保存・呼び出し
- カートのメール送信
- 自宅への配送(Ship to home)
- 一部持ち帰り・一部配送(Ship and carry out)
- 店舗受け取り(オンライン注文の店頭受取)
- ローカルデリバリーのフルフィルメント
- 在庫の追跡と調整
- 在庫移動の受け取り
- 在庫移動の出荷と受け取り
- 日次売上レポート
- アプリ内の小売店舗分析
- チェックアウトの必須入力情報
- ハードウェア保証(1年 → 2年)
ここで注目すべきは、返金は全プランで可能なのに、交換と注文キャンセルはPOS Pro限定である点です。店頭でサイズ違いを交換する運用が日常的にあるなら、この1行だけでPOS Proが必要になります。
同様に、在庫の追跡と調整、在庫移動の受け取りがPOS Pro限定であることも見落とされがちです。比較表には「在庫数の変更」という別項目があり、そちらは全プランで可能とされています。名称が近いため同じ機能に見えますが、公式が別行として扱っている以上、棚卸しや店舗間移動の受け入れといった複数店舗運営で必要になる作業はPro側にある、と読むのが妥当です。
日本のストアで前提が崩れる場所
ここからが本題です。
Shopifyヘルプセンターの機能比較表では、最初の行が「Shopifyペイメントによる統合決済ハードウェア」で、その直後に対応国が括弧書きされています。オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、シンガポール、スペイン、イギリス、アメリカの15か国です。
一方、Shopify POS向けShopifyペイメントの設定ページには18か国が並びます。上記15か国に、チェコ共和国、ルクセンブルク、スイスが加わります。ページによって3か国ぶんの差があるわけですが、どちらにも日本は入っていません。
この意味を具体的に言うと、日本のストアでは次のようになります。
まず、Shopify純正のカードリーダーをPOSアプリに接続してカード決済を完了させる構成が取れません。カード決済は別の決済端末で処理し、Shopify POS側では「カスタム決済」として金額を記録することになります。売上の総額と在庫は合いますが、決済手数料や入金サイクルはShopifyの外側で管理する必要があります。
次に、Shopifyの日本向け料金ページには、そもそも対面決済のカード手数料が1行も記載されていません。米国向けページには「対面:2.6% + 10¢」と明記されているのに対し、日本向けページに載っているのは「オンライン:3.55%」と「外部決済サービス:2%」(いずれもBasicプラン)だけです。対面のレートが書かれていないのは、提供していないからだと読むのが自然です。
なお、レシートプリンター、バーコードスキャナー、キャッシュドロワーといった決済以外のハードウェア連携は、比較表で全プラン対応となっています。日本で使えないのは決済ハードウェアの統合であって、周辺機器全部ではありません。
スマレジ連携アプリ V3という選択肢
Shopify POSで決済まで完結できないなら、国内のPOSレジを主役にしてShopifyと在庫・顧客を同期する、という構成が現実解になります。
Shopify App Storeに掲載されている「スマレジ連携アプリ V3」(開発元:Hiyaku Inc、2022年2月4日公開)は、クラウドPOSのスマレジとShopifyの間で商品・在庫・注文・顧客を同期するアプリです。カテゴリーは在庫同期に分類されています。
2026年9月1日時点でApp Storeに掲載されている料金は4段階です。
| プラン | 月額 | 連携範囲 | 無料連携枠 | 超過単価 |
|---|---|---|---|---|
| Inventory | $39 | 在庫のみ | 3,000回 | $0.08/回 |
| Light | $145 | 在庫・顧客・取引・商品 | 5,000回 | $0.08/回 |
| Basic | $290 | 在庫・顧客・取引・商品 | 10,000回 | $0.06/回 |
| Premium | $995 | 在庫・顧客・取引・商品 | 50,000回 | $0.02/回 |
課金の分母が「連携回数」である点は、注文数や商品数で課金する多くのアプリと構造が違います。App Storeの説明によれば、Inventoryプランはセットアップ費用が発生しませんが、Light以上はセットアップおよびオプション費用が別途発生し、それらはShopifyの請求書とは別にHiyaku Incから請求される可能性があると明記されています。Shopifyの請求書だけを見ていても総額が分からない構造です。
対応言語は日本語のみで、英語のサポートは提供されていないとApp Storeに記載されています。国内運用に振り切った設計です。
注意点として、2026年9月1日時点でこのアプリのレビューは0件、評価も0.0です。レビュー数が多いことが品質を保証するわけではありませんが、他ユーザーの実運用報告から判断材料を得ることは現状できません。導入判断は、開発元への直接確認と自社要件の擦り合わせに依存します。
契約前に知っておくべき課金の癖
POS Proの料金は、日本向けページで1ロケーションあたり月13,000円(年払いで請求)、グローバルページで$89 USDです。契約前に確認しておく点が複数あります。
Plusの無償枠。Shopifyヘルプセンターは、すべてのShopify Plusプランで最初の20ロケーション分のPOS Proが含まれると明記しています。さらに20ロケーションを超える場合でも、Shopifyペイメントでいずれかの店舗で月1件以上の対面取引を処理していれば、プラン上限までのロケーションでPOS Pro料金が免除されます。ただし後半の条件はShopifyペイメントの利用が前提なので、日本のストアでは満たせません。
請求サイクルが本体と別。POS Proはサブスクリプションを有効化した時点から30日周期で回る、Shopifyプラン本体とは別の請求サイクルを持ちます。途中でロケーションを追加すると日割りになります。Plusプランの場合は30日周期しか選べません。
返金が効く期間が短い。月払いなら請求サイクル開始から7日以内、年払いなら年次請求日から30日以内にダウングレードした場合のみ返金対象です。この期間を過ぎると日割り返金もありません(ブラジル拠点のストアのみ90日)。
ロケーション間の付け替えができない。自分でロケーションAのPOS Proを解約してロケーションBで有効化すると、両方に課金されます。付け替えたい場合はShopifyサポートへの連絡が必要です。
トライアル終了後は自動で戻る。トライアルが終わったあとに明示的にPOS Proを選択しなければ、各ロケーションは追加費用なしの対面販売機能へ自動的に戻ります。放置して課金され続ける構造にはなっていません。ただしトライアル終了後に新規追加したロケーションには、別途トライアルは付きません。
解約前にダウングレードが必要。POS販売チャネル自体をアンインストールしたい場合、先にすべてのPOS Proロケーションをダウングレードしておく必要があります。
導入前チェックリスト
- 対面のカード決済をどの端末で処理するかが決まっているか
- その端末の売上をShopify POSへ記録する運用手順が決まっているか
- 店頭での「交換」が日常業務にあるか(あればPOS Pro必須)
- 棚卸しや店舗間の在庫移動をPOS上で行う必要があるか(あればPOS Pro必須)
- ロケーションが複数ある場合、Proが必要な店舗と不要な店舗を分けられているか
- Shopify Plusなら20ロケーションの無償枠を使い切っているか
- 複数ロケーション設定を有効化済みか
- 連携アプリを使う場合、課金の分母(連携回数か注文数か)を確認したか
- Shopify以外から請求される費用がないか
まとめ
判断の順序は次の3つに圧縮できます。
- 決済の前提を先に確認する。Shopifyペイメントの対面決済対応国に日本は含まれていません。ここが成立しない前提でシステム構成を設計します。
- 交換と在庫移動が必要かでPOS Proを判断する。返金は全プランで可能ですが、交換・注文キャンセル・棚卸し・在庫移動の受け入れはPOS Pro限定です。この4つが日常業務にあるかが分岐点になります。
- ロケーション単位で契約を分ける。POS Proはストア単位ではなくロケーション単位の契約です。旗艦店だけProにして、催事用ロケーションは標準機能のままにする、という組み方ができます。
料金と対応国はいずれも変更される可能性があります。契約前に、Shopify公式の料金ページとヘルプセンターの対応国リストの両方を確認することをおすすめします。冒頭で触れたとおり、この2か所は現時点で内容が一致していません。
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。