この記事でわかること
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サイズ、カラー、素材、名入れ、ラッピング。この5つを1つの商品ページで選ばせたい、という要望はごく普通です。ところがShopifyの管理画面では、4つ目のオプションを追加しようとしても、そもそも追加ボタンが出てきません。
2025年10月15日、Shopifyは商品バリエーションの上限を100個から2,048個へ引き上げました。「これで解決した」と思った方も多いはずです。実際にはこの変更で解決したのは半分だけで、多くのストアが本当につまずいている壁のほうは、いまも動いていません。
この記事では、2,048バリエーション化で何が変わり、何が変わらなかったのかをShopifyの一次情報で確定させ、そのうえで商品オプションアプリ3本の課金軸がどう違うのかを整理します。調査日は2026年8月31日です。
先に結論
判断の起点は「増えたのはバリエーション数であって、オプション数ではない」という一点です。
- 色とサイズの組み合わせが100を超えて困っていた → アプリは不要になった可能性が高い。まずテーマとアプリの互換性だけ確認する
- 4つ目の選択軸(名入れ、ラッピング、追加パーツなど)が必要 → 標準機能では不可能。オプションアプリが必要
- 選択肢ごとに在庫を管理したい → オプションアプリでは原則できない。バリエーションで組む必要がある
- Shopify Plusで、色ごとに別URL・別説明文を持たせたい → 純正のCombined Listingsが選択肢になる
- できるだけ無料で始めたい → Globo Product Options, VariantとEasify Custom Product Optionsに無料プランがある
以下、それぞれの根拠を見ていきます。
2,048バリエーション化で変わったこと
Shopifyは2025年10月15日付の公式ブログで、1商品あたりのバリエーション上限を100から2,048へ引き上げたと発表しました。記事によれば、この対応はREST Admin APIの設計では扱いきれない規模のデータだったため、2024年4月にGraphQL Admin APIの商品APIを刷新し、6,500以上のアプリパートナーが新APIへ移行したうえで実現したものです。
重要なのは、この上限がプランによって変わらない点です。ヘルプセンターの「Adding variants」ページには「You can create up to 2,048 variants for a product.(1商品につき2,048個までバリエーションを作成できます)」とだけ書かれており、Basic/Grow/Advanced/Plusといったプラン別の記載はありません。
つまり「Tシャツを10色 × 8サイズ × 3プリント位置 = 240通り」といった、これまで100の壁で商品を分割せざるを得なかったケースは、標準機能だけで1ページにまとまるようになりました。ここは素直に大きな前進です。
変わらなかったこと
同じヘルプセンターのページに、こう続きます。
Each product can have up to three options.(1商品につきオプションは3つまでです)
サイズ、カラー、素材の3軸まで。4つ目は追加できません。バリエーション数の上限が20倍になっても、選択軸の数は据え置かれています。
そしてShopify自身が、同じページの注記でこう案内しています。
To create a product that has more than 2,048 variants or more than three options, you can use a third-party app from the Shopify App Store, or customize your theme code to extract line item properties.(2,048を超えるバリエーションや3つを超えるオプションが必要な場合は、Shopify App Storeのサードパーティアプリを使うか、line item propertiesを取得できるようテーマコードをカスタマイズしてください)
「アプリを使ってください」と公式ドキュメントに書かれている状態です。商品オプションアプリのカテゴリーが今も存続している理由は、ここにあります。2026年8月31日時点で、Shopify App Storeの「商品バリエーション」カテゴリーには476個のアプリが登録されています。
100を超えたときに壊れる可能性があるもの
ここが見落とされがちな部分です。ヘルプセンターには「100個を超えるバリエーションを追加する場合の考慮事項」という独立した節があり、次のような制約が列挙されています。
- 商品メディアは1商品につき250点まで。 各バリエーションに設定できるメディアは1点で、しかも商品のメディアリストにあるものに限られる。2,048バリエーションすべてに固有の画像を割り当てることはできない
- サードパーティ製テーマは100超に対応していない場合がある。 対応させるにはテーマコードの更新が必要になることがある
- theme app extension、公開アプリ、販売チャネルの一部も100超に非対応の場合がある。 対応可否はアプリ開発者に直接確認するよう案内されている
- StockyアプリとレガシーOrder Printerアプリは100超に非対応
- REST Admin APIを使っているカスタムアプリは、GraphQL Admin APIの新しい商品モデルへ移行する必要がある
さらに、ストア全体で50万バリエーション以上を保有している場合、アプリまたはCSVインポート経由のバリエーション追加に1日1万件の上限がかかります。この上限はShopify Plusのストアには適用されません。
つまり「上限が上がったから全商品を1ページにまとめよう」と一気に動かすと、POS在庫管理や帳票、既存アプリの側で問題が出る可能性があります。まず1商品で試す、という手順が現実的です。
オプションアプリが作る「選択肢」はバリエーションではない
商品オプションアプリを検討するうえで、最も理解しておくべき仕様がこれです。
Shopifyが公式ドキュメントで示している代替手段は「line item properties(明細行プロパティ)を取得できるようテーマをカスタマイズする」というものでした。多くのオプションアプリが採っているのも、基本的にこの方式です。顧客が選んだ内容は、バリエーションではなくカートの明細行に付随する情報として保存されます。
この違いが運用に効いてきます。
在庫が引き当てられません。 「刻印する文字」や「ラッピングの種類」は在庫を持たない情報なので、選択肢ごとに残数を管理する使い方には向きません。選択肢ごとの在庫が必要なら、それはオプションではなくバリエーションで組むべき軸です。
SKUが分かれません。 発注や倉庫連携をSKU単位で回している場合、オプションで分岐させた内容はSKUに反映されないため、別途ルールが必要になります。
一方で、追加料金の付与、条件分岐、ファイルアップロードといった機能は、まさにこの方式だからこそ実現できています。「バリエーションの代わり」ではなく「バリエーションとは別のレイヤー」と捉えるのが正確です。
Plusなら選択肢がもう一つある:Combined Listings
Shopify PlusとEnterpriseプランのストアは、純正のShopify Combined Listingsアプリを使えます。別々の商品を1つの商品リスティングとして束ね、ストアフロント上ではバリエーションのように見せる仕組みです。子商品それぞれが独自のタイトル、説明文、URL、画像ギャラリーを持てるため、色ごとにSEOを分けたいケースに向きます。
ただし制約も明確です。ヘルプセンターに記載されている上限と非互換は次のとおりです。
- Plusまたはエンタープライズプラン限定
- 無料Shopifyテーマはバージョン15.0.0以降が必要。それ以外のテーマはコード対応が必要になる場合がある
- 全子商品を合わせたバリエーションオプション値は最大2,000
- 1つのCombined Listingに追加できる商品は最大60点
- Combined Listing自体に追加できるオプションは3つまで(各子商品のオプションとは別枠)
- 商品バンドルに追加できず、定期購入商品にもできない
- Shopify Search & Discoveryアプリで商品オプションを絞り込むとき、Combined Listingの子商品はフィルタ結果に含まれない
- 表示されるのはオンラインストアのみ
「Plusだから上位互換」ではなく、バンドルや定期購入と併用する予定があるなら選べない、という判断になります。
商品オプションアプリ3本の課金軸
App Storeで確認できる範囲で、性格の異なる3本を同じ軸で並べます。すべて2026年8月31日時点のShopify App Storeの表示です。
| Globo Product Options, Variant | Easify Custom Product Options | Infinite Options: Product opt | |
|---|---|---|---|
| 開発元 | Globo Options(ハノイ、ベトナム) | Easify | ShopPad Inc. |
| 評価(件数) | 4.9(4,855件) | 4.9(2,964件) | 4.7(2,447件) |
| Built for Shopify | 取得済み | 取得済み | 取得済み |
| 無料プラン | あり(オプションセット・商品・注文が無制限、15種類のオプションタイプ) | あり(15種類のオプションタイプ、100種類以上のテンプレート) | なし(14日間の無料体験のみ) |
| 有料プラン | $9.90/月、$19.90/月 | $9.99/月、$19.99/月、$99.99/月 | $12.99/月の単一プラン |
| Plusの料金 | $39.9/月、$59.9/月へ上昇 | 全プラン同一料金 | 確認できず |
| 管理画面の日本語 | 日本語を含む18言語 | 日本語を含む25言語 | 英語のみ(日本語未対応と明記) |
| 追加料金オプション | 有料プランから | 有料プランから | Essentialプランに含む |
| ライブプレビュー | ADVANCEDプラン | プレミアムプラン | 確認できず |
| POS対応 | ADVANCEDプラン | 確認できず | 確認できず |
表から読み取れることが3つあります。
第一に、月額の数字だけを比べても意味がありません。 GloboとEasifyは有料プランの表示価格がほぼ同額($9.90と$9.99、$19.90と$19.99)ですが、Shopify Plusのストアでは差が開きます。GloboはPremiumが$39.9/月、Advancedが$59.9/月とプラン記載に明示されている一方、Easifyは各プランに「すべてのShopifyプランで同一料金」と書かれています。Plusで年間換算すると、上位プランで年360ドル以上の差になります。
第二に、無料プランの位置づけが違います。 Globoの無料プランは15種類のオプションタイプ、オプションセット・商品・注文が無制限、透かしなしで、Globoオプション同士の条件分岐まで含みます。ただし追加料金の付与とファイルアップロードは有料プランからです。Easifyの無料プランも15種類のオプションタイプで、100種類以上のテンプレートと24時間365日のライブチャットが含まれると記載されています。「名入れの文字を受け取るだけ」なら無料プランで足りる可能性がありますが、「名入れに500円上乗せしたい」なら有料プランが必要になります。
第三に、Infinite Optionsは日本語で運用するストアには向きません。 App Storeのリスティングに「このアプリは日本語に翻訳されていません」と明記されており、対応言語は英語のみです。無料プランもなく、$12.99/月の単一プランのみ。一方で連携先としてRecharge、Klaviyo、MESA、Order Printer、GemPagesが挙げられており、英語圏で他アプリと組み合わせて使う前提の設計になっています。
ケース別の選び方
100の壁で商品を分割していた
まず標準機能に戻せないか確認してください。色 × サイズのように軸が3つ以内なら、アプリなしで1ページに統合できます。ただしテーマ、既存アプリ、販売チャネルの100超対応を先に確認する必要があります。
4つ目以降の選択軸が必要
標準機能では不可能です。Globo Product Options, VariantまたはEasify Custom Product Optionsの無料プランから試すのが低リスクです。追加料金や条件分岐が必要になった段階で有料プランを検討します。
Shopify Plusで運用している
Easify Custom Product Optionsは全プラン同一料金、Globo Product Options, VariantはPlusで料金が上がります。同時に、色ごとに別URLを持たせたいなら純正のCombined Listingsも比較対象に入れてください。ただしバンドルや定期購入と併用する予定があるなら選べません。
選択肢ごとに在庫を持ちたい
オプションアプリではなくバリエーションで設計してください。2,048まで作れるようになったため、以前より現実的な選択肢になっています。
導入前チェックリスト
- 必要な選択軸は本当に4つ以上か。3つに収まればアプリは不要
- 選択肢ごとに在庫・SKUが必要か。必要ならバリエーションで組む
- 使用中のテーマは100超のバリエーションに対応しているか
- Stocky、旧Order Printer、その他の既存アプリが100超に対応しているか
- Shopify Plusの場合、そのアプリはPlus料金が別建てか
- 管理画面と顧客向け表示の日本語対応はどこまでか
- 無料プランで追加料金の付与ができるか
- アンインストール後、既存注文のオプション情報がどう残るか
まとめ
2025年10月の2,048バリエーション化は、100の壁で商品を分割していたストアにとっては大きな改善でした。ただし3オプションの制限は残っており、Shopify自身が公式ドキュメントでサードパーティアプリを案内しています。
判断の順番はこうなります。
- 必要な選択軸を数える。3つ以内なら標準機能で完結する
- 4つ以上なら、選択肢ごとに在庫が必要かを判断する。必要ならバリエーションの設計を見直し、不要ならオプションアプリを検討する
- Plusなら、アプリのPlus料金とCombined Listingsの制約の両方を確認する
- 無料プランのあるアプリで1商品だけ試し、テーマと既存アプリへの影響を確認してから展開する
料金と機能はいずれも2026年8月31日時点のShopify App Storeの表示にもとづきます。導入前に最新の表示を確認してください。
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。