この記事でわかること
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商品ページの下に並んでいる「あなたへのおすすめ」。あれがアプリなのか標準機能なのか、はっきり答えられるでしょうか。
答えは標準機能です。Shopifyには Product Recommendations API が標準で用意されていて、テーマに関連商品セクションを置くだけで動きます。追加費用はかかりません。Shopify Search & Discoveryアプリを入れていなくても、自動生成された関連商品は表示されます。
問題は、その標準機能の天井がどこにあるかです。公式ドキュメントには数値がはっきり書かれています。返却上限は10件。intentは2値のみ。あわせ買いは自動生成されない。そして日本語ストアには、英語ストアにはない構造的な弱点があります。
この記事では、標準機能の仕様を公式ドキュメントの記述で確認したうえで、レコメンドアプリに月額を払う価値が生まれる境界線を4つに整理します。調査日は2026年9月1日、料金はすべてUSD表記です。
先に結論
商品ページの関連商品だけが目的で、注文データが十分に蓄積していて、コレクション設計が整っているなら、アプリは不要です。標準機能で完結します。追加コストはゼロです。
あわせ買い(Pair it with)を出したい、あるいは関連商品の中身をコントロールしたいなら、無料の Shopify Search & Discovery で手動設定できます。1商品あたり最大10件までです。
商品数が多くて手動設定が回らない、バンドル割引を付けたいなら有料アプリの検討に入ります。月間注文数が50件以下で日本語UIが必要なら Wiser AI ‑ Upsell & Cross Sell(無料枠が月50注文)、500件以下でバンドル割引が主目的なら Frequently Bought Together CBB($14.99〜)、500件を大きく超えるなら Also Bought CBB($19.99の定額)です。
カート・チェックアウト・サンクスページ・メールに出したい、パーソナライズしたい、A/Bテストしたい、レコメンド経由の売上金額を追いたい── この4つのどれかに該当したときが、標準機能を離れる境界線です。
標準機能の仕様を、数値で確認する
返却上限は10件
Ajax APIの /{locale}/recommendations/products.json には limit パラメータがあります。公式リファレンスに書かれている範囲は1から10、デフォルトは10です。
Storefront APIの productRecommendations に至っては limit 引数そのものが存在せず、「最大10件のProductオブジェクトを返す」と定義されています。つまりどちらのAPIでも、1商品あたり11件目は存在しません。
Shopify自身の実装ガイドラインは、これよりさらに保守的です。関連商品については「1商品あたり最大10件を関連度順に紐づけるため、商品ページあたり4件に絞ることを推奨」、あわせ買いについては「デフォルトで2〜3件表示し、追加分はページネーションすることを推奨」と書かれています。
intentは2値だけ
intent パラメータが受け付ける値は related(関連商品)と complementary(あわせ買い)の2つだけで、デフォルトは related です。それ以外の値を渡すと422エラーが返り、エラーメッセージにも「The intent parameter must be one of related, complementary」と出ます。
この2値構成は2022年9月20日のchangelogで追加されたもので、以来増えていません。
あわせ買いは自動生成されない
ここは誤解が多い箇所です。公式ドキュメントには「Shopifyが自動生成するのは related のみ。complementary は手動設定が必要」と明記されています。
あわせ買いを出したい場合、Shopify Search & Discoveryアプリで商品ごとに設定します。1商品あたり最大10件です。関連商品の手動指定も同じく最大10件で、「手動指定のみを表示する」か「手動指定を自動生成より前に出す」かを選べます。
さらに、表示側にも条件があります。あわせ買いは商品情報セクションのブロックとして追加する必要があり、互換性のあるテーマでのみ利用できます。1つの商品ページにつき1ブロックまでです。
レコメンドから外れる商品は7条件
Help Centerには「おすすめ商品の要件」として次の条件が挙げられています。
売り切れでないこと、商品ステータスが「非掲載」でないこと、価格が0を上回っていること、ギフトカードでないこと、オンラインストア販売チャネルで公開されていること、訪問者のカートに現在入っていないこと、商品が「有効」であること。
在庫の扱いだけ、relatedとcomplementaryで挙動が違います。関連商品は「在庫切れでも販売を続ける」がオンなら表示されますが、あわせ買いは在庫数が0を上回っている必要があります。「あわせ買いだけ出ない」という現象の原因の多くはここです。
日本語ストアは、アルゴリズムが1本足りない
ここが、この記事で最も重要な部分です。
関連商品の自動生成には3つの戦略があります。購入履歴(過去に一緒に購入された商品)、商品説明(商品説明が類似する商品)、関連コレクション(その商品が属するコレクション内の商品、フォールバック用)。
Shopify Help Centerには、各戦略の前提条件が書かれています。そして商品説明戦略についてはこう書かれています。
商品説明:英語のストアフロントを持つマーチャントのみが利用できます
これは日本語版のヘルプページにも同じ記述があります。つまり日本語ストアフロントのストアでは、3本ある戦略のうち1本が最初から使えません。
この制約が効いてくるのは、次のような場面です。
販売実績がまだ積み上がっていない新規商品や新規ストアでは、購入履歴戦略が使えません。日本語ストアではそこに商品説明戦略も使えないため、**実質的に「関連コレクション」だけがレコメンドの根拠になります。**結果として、同じコレクションの他商品がただ並ぶだけの状態になりやすくなります。
さらに、公式ドキュメントにはもう1つ見落としやすい制約があります。**他のストアや他のECプラットフォームからインポートされた注文は、レコメンドの生成に使われません。**他カートからShopifyへ移行した直後のストアは、過去の購買データを持っていても、購入履歴戦略はゼロから積み上げ直しになります。
移行直後の日本語ストアは、この2つが重なります。標準レコメンドの精度を最初から期待するのは無理があり、コレクション設計と手動指定でしばらく補うという前提で運用したほうが現実的です。
なお、生成結果そのものについても公式に注意書きがあります。「ある商品について生成されるおすすめは頻繁に変更される」「Search & Discoveryアプリでプレビューされるおすすめが、ストアフロントの表示と異なる場合が多い」。プレビューと本番が一致しないのは仕様です。
効果測定は標準でできる。ただし金額は出ない
意外に知られていませんが、レコメンドの効果測定は標準レポートで可能です。2本あります。
Product recommendation conversions over time は、日別のセッション数、クリックが発生したセッション数、カート追加が発生したセッション数、購入が発生したセッション数、そしてクリック率・カート追加率・購入率を出します。
Product recommendations with low engagement は、直近30日の売上上位商品のうち、レコメンドのクリック率が平均を下回っているものを抽出します。
ただし、この2本のレポートの列に**売上金額はありません。**出るのはセッション数と率だけです。「レコメンド経由でいくら売れたか」を金額で追いたい場合、標準機能では答えが出ません。
計測にはいくつか前提もあります。テーマがAPIの指定するURLパラメータ(pr_choice、pr_prod_strat など)を使っている必要があり、**Buy Buttonやサードパーティアプリ経由のカート追加・購入はレポートに含まれません。**アプリでレコメンドを出している場合、標準レポートには何も出ないということです。
Shopify Search & Discoveryは無料。ただし評価は2.7
標準レコメンドを上書き・追加するための無料アプリが Shopify Search & Discovery です。開発元はShopify自身、料金は無料、対応言語に日本語が含まれます。
できることは、関連商品の手動追加(最大10件)、あわせ買いの設定(最大10件)、手動指定と自動生成の表示順制御、商品ごとの自動生成レコメンドの非表示、組み合わせリスティングの親子の出し分け。設定はメタフィールド経由なので、一括編集ツールやShopify Flowからも操作できます。商品点数が多いストアではここが効きます。
利用にはプライバシー設定で「Shopify Network Intelligence」を有効にしておく必要があります。
一方で、2026年9月1日時点のApp Storeでの評価は**2.7(464件)**で、1つ星が19%(90件)を占めます。ただし直近のレビューを読むと、不満の中心は検索結果の関連性やフィルター上限(ストア全体で25個)といった検索・フィルター側で、レコメンド機能そのものへの言及は今回確認した範囲では見当たりませんでした。評価の数字だけでレコメンド機能を判断しないほうがよさそうです。
アプリが必要になる4つの境界線
標準機能で「できない」ことは、機能の細かさではなく次の4カテゴリに集約されます。
1. 配置。Product Recommendations APIは product_id が必須の商品スコープAPIです。カートの中身やセッション履歴を入力にする仕組みがありません。したがってカート・チェックアウト・サンクスページ・メール内のレコメンドは、標準機能の守備範囲外です。
2. パーソナライズ。公式に列挙されているアルゴリズムの入力は「ストア全体の購入履歴」「商品説明」「関連コレクション」だけです。訪問者個人に依存する挙動として公式に記載されているのは「カート内の商品を除外する」ことだけで、閲覧履歴に応じた出し分けは含まれません。
3. A/Bテスト。Search & Discoveryの機能一覧にもHelp Centerにも記載がありません。
4. 売上金額の計測。前述のとおり、標準レポートには金額の列がありません。
この4つのどれにも当てはまらないなら、月額を払う理由は薄いはずです。
課金の分母は3種類。表示回数課金は見つからなかった
レコメンドアプリを比較するとき、月額だけを並べても意味がありません。分母が違うからです。今回6アプリを確認した範囲では、分母は3種類に集約されました。
| アプリ | 開発元 | 評価/件数 | 課金の分母 | 料金 | 日本語UI |
|---|---|---|---|---|---|
| Shopify Search & Discovery | Shopify | 2.7/464 | なし(無料) | $0 | あり |
| Wiser AI ‑ Upsell & Cross Sell | Expert Village Media Technologies | 4.9/513 | 月間注文数 | 0〜50注文=無料/51〜100=$9/101〜300=$19/301〜500=$49 | あり |
| Frequently Bought Together CBB | Code Black Belt | 4.8/1,044 | 月間注文数 | 〜50注文=$14.99/〜500=$19.99/無制限=$39.99 | なし |
| Also Bought CBB | Code Black Belt | 4.8/314 | 月額定額 | $19.99(商品数・注文数・トラフィック無制限) | なし |
| LimeSpot AI Bundles & Upsells | LimeSpot | 4.6/391 | Turboは月間注文数/Maxはストア売上 | Turbo $9.99〜(〜250注文=$19.99)/Max $50〜(〜$50k売上=$150) | なし |
| Rebuy Personalization Engine | Rebuy | 4.7/748 | 月間注文数(OPM) | パッケージ$25/月〜、Platform One $534/月〜 | なし |
今回調査した範囲では、表示回数(インプレッション)で課金するアプリは1つも見つかりませんでした。「レコメンドは表示回数で課金される」という前提で探すと、比較軸を間違えます。
この表から読み取れることを3点。
注文数課金と定額課金には、計算可能な損益分岐点があります。 Also Bought CBB は $19.99 の完全定額です。同じ開発元の Frequently Bought Together CBB は月500注文まで $19.99、それを超えると $39.99 になります。同一開発元の2アプリの間ですら、月500注文を超えると定額型のほうが安くなります。 Wiser は月301〜500注文で $49 なので、月300注文あたりが Wiser($19)から Also Bought($19.99)へ乗り換える分岐点になります。
**注文数課金は、1注文の金額を見ていません。**したがって少注文・高単価のストア(月80注文・客単価3万円など)は注文数課金が有利、多注文・低単価のストア(月2,000注文・客単価2,000円など)は定額が有利、という逆転が起きます。
売上連動課金は、成功するほど固定費が上がります。 LimeSpot Max は30日の売上$50,000で$150/月です。なお同社の旧「Pay as You Grow」プランについては、請求額をめぐるレビューに対して開発元が「driven revenueの約2.5%」と公開返信しており、成果売上ベースの課金は請求額の予測が難しいことを示す実例になっています。これは個別のレビュー1件と開発元の返信であり、一般的な評価として扱うべきものではありませんが、分母の性質を理解する材料にはなります。
プランの制約が2つある
LimeSpot Turbo は Shopify Plus では使えません。 App Storeと開発元公式サイトの両方に「Turbo is not available for Shopify Plus stores」と明記されています。Plusストアは自動的に売上連動の Max($50/月〜)になります。安いプランを想定してPlusで契約しようとすると、ここで前提が崩れます。
**Rebuy の Checkout Extensions は Shopify Plus 限定です。**公式料金ページに「Shopify Plus exclusive」と書かれています。チェックアウト内のレコメンドが目的なら、Plusかどうかが最初の分岐になります。
日本語UIが必要なら選択肢は2つ
App Storeの掲載言語で日本語が確認できたのは、Shopify Search & Discovery と Wiser AI ‑ Upsell & Cross Sell の2つだけでした。LimeSpotとRebuyは英語のみ、Code Black Beltの2アプリは日本語が掲載言語に含まれず、Nostoは英語・フランス語・ドイツ語です。
なお、日本語UIと日本語サポートは別の話です。今回の調査では、いずれのアプリについても日本語サポートの有無は確認できませんでした。
Wiser AI については補足があります。無料プラン(月0〜50注文)と有料プランの機能一覧が完全に同一で、違いは注文数レンジだけです。月50注文以下のストアなら、商品ページ・カートドロワー・サンクスページ・購入後アップセルまで無料で試せます。500注文を超えるプランの料金はApp Storeページに記載がなく、外部ページ参照となっているため今回は確認できませんでした。
Nostoについては、料金が完全に非公開です。App Storeには「Free to install. Additional charges may apply.」とあり、「Nostoアカウントが必要で、それは無料ではない」と明記されています。比較表に数値を載せられないため、検討する場合は見積もりが前提になります。
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 関連商品を出すにはアプリが必要 | 標準機能。テーマにセクションを追加するだけ |
| Search & Discoveryを入れないと関連商品が出ない | 自動生成は同アプリなしで動く。アプリは上書き・追加のためのもの |
| あわせ買いも自動で出る | complementary は自動生成されない。手動設定が必須 |
| limitを増やせば20件出せる | 上限10件。Storefront APIには limit 引数すらない |
| アルゴリズムは日本語ストアでも同じ | 商品説明戦略は英語ストアフロント限定。日本語ストアは1本少ない |
| 他カートから移行しても過去の注文が効く | インポートされた注文はレコメンド生成に使われない |
| レコメンドの効果は標準では測れない | 標準レポートが2本ある。ただし売上金額の列はない |
| Search & Discoveryのプレビューがストアフロントの表示 | 公式に「異なる場合が多い」と明記されている |
| レコメンドアプリは表示回数で課金される | 今回調査した6アプリの分母は注文数・定額・売上のみ |
| LimeSpotはPlusでも安いプランが使える | Turboは Shopify Plus 非対応 |
導入前チェックリスト
- 自店の関連商品が標準機能で出ているのか、アプリが出しているのか確認したか
- あわせ買いが出ないのは「未設定」なのか「在庫0」なのか切り分けたか
- 日本語ストアで商品説明戦略が使えないことを踏まえ、コレクション設計を見直したか
- 他プラットフォームから移行した直後なら、購入履歴が積み上がるまでの期間を織り込んだか
- 標準レポート2本でクリック率・購入率を確認したか(アプリ導入前のベースライン)
- アプリが必要な理由が「配置・パーソナライズ・A/Bテスト・売上計測」のどれか特定できたか
- 自店の月間注文数から、注文数課金と定額課金のどちらが有利か試算したか
- Shopify Plusの場合、検討中のアプリにPlus制限(LimeSpot Turbo)やPlus限定機能(Rebuy Checkout Extensions)がないか確認したか
- 日本語UIが必須なら、選択肢が2つに絞られることを許容できるか
- テーマにあわせ買いブロックを追加できるか(互換性のあるテーマか)確認したか
まとめ
判断基準を4つに絞ります。
- **関連商品は標準で動いています。**まず自店の表示が標準機能なのかアプリなのかを確認してください。アプリを入れる前に、無料のSearch & Discoveryで手動指定とあわせ買いを設定するだけで解決する要件は多くあります。
- **標準の天井は10件・2値・手動設定です。**この3つが分かっていれば、「もっと出したい」「自動で出したい」という要望がアプリの領域なのかどうかを即座に判断できます。
- **日本語ストアは、標準アルゴリズムが構造的に1本少ない状態です。**特に移行直後や新規商品では、コレクション設計と手動指定で補う前提を持ってください。
- **アプリに月額を払う理由は4つに集約されます。**配置、パーソナライズ、A/Bテスト、売上金額の計測。どれにも当てはまらないなら、標準機能のままで構いません。
次にやることは、管理画面のAnalytics → Reportsから「Product recommendation conversions over time」を開き、現状のクリック率と購入率を控えることです。ベースラインがないと、アプリを入れた効果も判断できません。
料金・評価・アプリの正式名称はいずれも変動します。この記事の数値は2026年9月1日時点で公式ドキュメント、Shopify App Store、各開発元の公式ページを直接確認したものです。導入前に最新の表示をご確認ください。
Shop Pay Installmentsは有効化無料、アプリ不要、そしてShopifyは手数料を公開していません。レートを見られるのは自社の管理画面の中だけです。加えてCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けず、月次プランはデビットカード限定、ギフトカードとサブスクリプション商品は対象外で、商品ごとにオン・オフを切り替えることもできません。Affirmはパスワード保護中のストア、英語以外の主要言語、主にB2Bという理由でアカウントを停止します。さらにShopifyの「Getting paid」ページは「disputeは管理画面に通知される」と書き、FAQは「管理画面には通知されない」と書いています。適格性を満たせない場合の代替はKlarna、Afterpay、Sezzle、Zip、PayPalのon-site messagingアプリで、このカテゴリーの評価は1.0〜3.2です。調査日は2026年9月2日です。