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アプリ比較

Shopifyに「お気に入り」の標準機能は存在しない|Shopアプリのハートが管理画面から見えない理由と、ウィッシュリストアプリ7本の比較

Shopifyにウィッシュリストの標準機能はありません。しかもShopify公式の開発者ドキュメントは、ウィッシュリストを「アプリがfull-page extensionで作るもの」のユースケース例として挙げ、その実装手順を示す公式チュートリアルまで用意しています。Shopアプリのお気に入りはマーチャントから見えず、Liquidからはメタフィールドを作成できないため、アプリなしの自作も成立しません。唯一アプリ不要で機能する代替手段と、ウィッシュリストアプリ7本の料金・日本語対応・アンインストール時の残存リスクを、2026年9月1日時点のShopify App Storeで全件確認しました。

AIECアプリ研究所 AI編集部公開日 更新日 読了 18#アプリ比較#Shopifyブログ運営#初心者向け

この記事でわかること

この記事の目次Contents閉じる開く

「Shopifyにお気に入り機能はありますか」という質問への正確な答えは、「ありません。そしてShopify自身が、これはアプリが担う領域だという前提で設計している」です。

これは機能が未成熟だからではありません。Shopify公式の開発者ドキュメントは、お客様アカウントのfull-page extensionのユースケース例として、返品リクエストページやロイヤルティダッシュボード、定期購入の管理と並べてウィッシュリストを挙げています。さらに「Build new pages in customer accounts」という公式チュートリアルは、題材そのものがウィッシュリストページの実装です。標準機能として用意する代わりに、アプリが作るための手順書を用意している、という位置づけです。

一方で、Shopアプリには顧客がハートアイコンで商品を保存する機能があります。ここが最大の混乱ポイントです。顧客側には確かにお気に入り機能が存在するのに、Shopifyヘルプセンターは、ストア側が顧客の保存内容にアクセスすることも、その通知をカスタマイズすることもできないと明記しています。

この記事では、Shopify標準でどこまでできるのか、アプリなしの自作がどこで破綻するのか、そして実在するウィッシュリストアプリ7本を同じ軸で比較します。調査日は2026年9月1日、料金はすべてShopify App Store掲載のUSD表記です。

先に結論

顧客が商品を保存し、それを起点にストア側が施策を打ちたい(値下げ通知、再入荷通知、人気商品の把握、発注判断)なら、アプリ導入以外に道はありません。技術的に確定した結論です。理由は後述します。

顧客体験としての保存機能さえあればよく、ストア側のデータ活用は不要なら、Shopアプリのお気に入りが実質的な代替になります。ただし何も見えません。

顧客側のUIは不要で、関心データだけが欲しいなら、アプリは不要です。お客様セグメントの storefront.product_viewed を使えば、特定商品を閲覧した顧客をアプリなしで抽出してメール配信できます。

アプリを入れる場合、条件別の推奨は次のとおりです。

  • 予算ゼロで効果検証したい:Wishlist by Square(完全無料、日本語UI、Built for Shopify)
  • 月15ドル前後で値下げ・再入荷通知まで回したい:SE Wishlist Engine(14.99 USD/月)
  • 日本語サポートが絶対要件:UR: Smart Product Wishlist(9.99 USD/月)。ただしレビュー3件という前提を理解した上で
  • 月額固定でコストを読みたい:Swish (Wishlist King)(19〜99 USD/月、保存件数無制限)
  • 店舗POSで顧客のリストを参照したい:Swym Wishlist Plus(29.99 USD/月〜)

そして、日本語の記事で頻繁に見かける「Swym Wishlist Plusには無料プランがある」という記述は、2026年9月1日時点では誤りです。無料プランは存在せず、最低額は29.99 USD/月です。

Shopify標準でどこまでできるか

新しいお客様アカウントにも含まれない

「新しいお客様アカウントに切り替えればウィッシュリストが使えるのでは」という期待は、残念ながら外れます。

Shopifyヘルプセンターが列挙する新しいお客様アカウントのネイティブ機能は、注文履歴の閲覧、注文ステータスの確認、プロフィール編集、配送先住所の管理、セルフサービス返品、再注文、パスワードレスサインインまでです。ウィッシュリストは含まれません。

shopify.dev のCustomer account UI extensionsのターゲット一覧は、full-page targetのユースケースとしてwishlistを明記しています。つまりウィッシュリストは「アプリが追加する領域」として設計されています。

Shopアプリのお気に入りは、顧客のものであってストアのものではない

Shopアプリでは、顧客が商品を無制限に保存し、コレクションを作って共同編集し、値下がり通知や再入荷通知を自分で設定できます。機能としてはかなり充実しています。

しかし、help.shopify.com の「Shop app customer experience」ページには、次の一文があります(原文は英語、訳は筆者)。

顧客が保存した商品に関する情報にアクセスすることも、顧客が受け取る通知をカスタマイズすることもできません(原文:You can't access information about the products that a customer saves, or customize the notifications that customers receive.)

Shopチャネルの分析で取得できるのは、Shop経由の注文数、売上、送客数、送客売上、商品インプレッションの5指標だけです。「誰が何をお気に入りに入れたか」も「何件保存されているか」も見えません。

したがってShopアプリのお気に入りは、顧客体験としては成立しますが、リマインドメールの配信や人気商品の分析といったマーチャント側の施策には一切使えません。

アプリなしで唯一機能する代替手段

お客様セグメントには storefront.product_viewedstorefront.collection_viewed というフィルタがあります。商品IDやタグ、日付、閲覧回数を条件に、特定商品を見た顧客をセグメント化してメールを送れます。

「保存」ではなく「閲覧」であること、顧客側にUIが一切ないこと、データ保持が直近26か月であることが制約ですが、アプリを増やさずに関心データを扱える唯一のネイティブ手段です。再入荷やセールの案内を打つだけなら、これで足りるケースは実際にあります。

なお、Shopify Formsはリード獲得ツールであり、商品単位の保存を記録する機能はありません。「入荷したら知らせて」フォームを商品ページに置く運用は可能ですが、1顧客の複数商品保存も、顧客が自分のリストを見返すことも、保存の解除もできません。

アプリなしの自作は、どこで破綻するのか

「テーマをカスタマイズしてメタフィールドに保存すればいい」という発想は、Shopifyの仕様上そもそも成立しません。書き込み経路を整理するとこうなります。

経路顧客メタフィールドへの書き込みアプリが必要か
Liquidテーマ不可(公式に「You can't create metafields in Liquid.」と明記)
Storefront API不可(access.storefront の選択肢は nonepublic_read のみで、書き込み設定が存在しない)
Customer Account API必須(customer_write_customers スコープと保護対象顧客データの承認が要る)
Admin API必須
Shopify管理画面可(手動)不要だが顧客のセルフサービスは不可

つまり、顧客が自分でウィッシュリストに追加してサーバーに保存する仕組みは、公開アプリかカスタムアプリのどちらかがなければ作れません。

localStorageに逃げる選択肢は残りますが、三重の制約に直面します。デバイス間で同期されないこと、キャッシュクリアで消えること、そしてSafariのITPが「サイト上でユーザー操作がないままSafariが7日間使われると、LocalStorageを含むスクリプト書き込み可能なストレージをすべて削除する」と定めていることです(WebKit公式ブログ、2020年3月)。

何より、サーバーにデータが残らないため、値下げや再入荷のリマインドメールも、マーチャント側の分析も、Shopifyのセグメントやフローとの接続も永久にできません。

カスタムアプリを開発する場合も、list.product_reference 型のメタフィールドはリストの最大要素数が128なので、1顧客あたり128商品が上限になります。

ウィッシュリストアプリ7本の比較

App Storeのウィッシュリストカテゴリには2026年9月1日時点で217アプリが掲載されています。ここでは実在とリスティング内容を確認できた7本を、同じ軸で比較します。

Swym Wishlist PlusSwish (Wishlist King)Wishlist HeroWishlist by SquareGrowaveSE Wishlist EngineUR: Smart Product Wishlist
開発元Swym Corporation(米)Swish(アイルランド)Revamp(米)Square Apps(米)Growave(米)Script Engine(印)UnReact Inc.(福岡)
Built for Shopifyありありなしありありありなし
無料プランなしなしありあり(完全無料)ありありなし
無料で使える範囲月500件の追加まで上限記載なし月200注文までアイテム総数100件まで
有料最低額29.99 USD/月19 USD/月4 USD/月15 USD/月7.99 USD/月9.99 USD/月
課金の変動要因ウィッシュリスト操作数Shopifyプラン連動追加件数なし注文数固定固定
値下げ・再入荷通知29.99 USD〜対応値下げ・低在庫は4 USD〜(再入荷は記載なし)記載なしメール送信は199 USD〜14.99 USD〜記載なし
未ログインでの保存対応対応対応(無料から)対応対応対応記載なし
日本語UIありなしなしありありなしあり
日本語サポート確認できず確認できず実質なし確認できず確認できず確認できずあり
お客様アカウント連携対応対応記載なし記載なし対応対応対応
評価/レビュー数4.7/約1,350件5.0/264件4.7/373件5.0/約100件4.8/約1,170件4.8/250件2.3/3件
低評価の主論点(2025〜26年)料金と操作数上限なしサポート無応答なし不具合・データ書き出し・翻訳品質1件のみ1件のみ
アンインストール時のコード残存公式に「掃除できない」と明言確認できず複数の報告あり確認できず複数の報告あり確認できず「影響を残さない」と公式説明

表から読み取れること

「無料プランあり」という表記は比較の役に立ちません。 無料の意味が各社でまったく違うからです。Wishlist Heroは月500件の追加まで、SE Wishlist Engineはアイテム総数100件まで、Growaveは月200注文まで、Wishlist by Squareは上限の記載自体がありません。自社の規模に当てはめて初めて意味を持つ数字です。

課金の変動要因が根本的に異なります。 Swym Wishlist Plusはウィッシュリスト操作数、Growaveは注文数、Swish (Wishlist King)はShopifyのプラン、SE Wishlist EngineとUR: Smart Product Wishlistは固定です。アクセスは多いが注文が少ないストアではGrowaveが有利になり、逆に注文が多くて保存操作が少ないストアではSwymが有利になります。単純な月額比較では判断できません。

日本語UIと日本語サポートは別物です。 App StoreのLanguages欄はアプリUIの対応言語であって、問い合わせ窓口の言語を保証しません。この7本で日本語サポートが実質的に確認できるのはUR: Smart Product Wishlistだけで、App Storeに「This developer doesn't offer direct support in English.」と明記されています。

アンインストール時のリスクは、事前に確認できる数少ない項目です。 Swym Corporationはレビュー返信で「アンインストールした瞬間にアクセスを失う」と述べ、コードを自動で除去できないことを公式に認めています。除去手順は文書化されており、サポートも支援しますが、マーチャント側からの依頼と権限付与が必要です。GrowaveとWishlist Heroには残存の報告が複数あり、Growaveについては「アンインストールから3か月経ってもメタフィールドとメタオブジェクトが20〜30個残っていた」という2025年12月のレビューがあります(このケースについてGrowaveは後日「完全にクリーンアップした」と返信しています)。なお、いずれのアプリも「アンインストール時に保存済みのウィッシュリストデータをどう扱うか」の公式な記載は確認できませんでした。

各アプリの要点

Swym Wishlist Plus

2016年公開でレビュー母数が最大、POSとお客様アカウント、Shopifyフロー、Klaviyoなど連携幅も最大です。Shopify公式の日本向けアプリガイドに掲載されている唯一のウィッシュリスト専業アプリでもあります。

注意点は料金体系です。無料プランはなく、最下位のStarterでも29.99 USD/月で、月3,000ウィッシュリスト操作という上限があります。2025年5月のレビューには「Proプランの1万操作に達したらアプリが完全に停止してサイトから消えた」という報告があり、開発元も利用量ベース課金であることを認めています。予算を固定したいストアには向きません。

Swish (Wishlist King)

旧称Wishlist King、開発元も旧Appmateから改称しています。名前で検索する場合は注意が必要です。

保存アイテム数もセッション数も無制限で、月額はShopifyのプランに連動します(Basicなら19 USD、Advancedなら49 USD、Plusは99 USD)。全プランで設定代行が無料で付きます。1つ星は3件のみ、2つ星はゼロで、しかもその3件はいずれも2024年以前です。2025年以降に1つ星・2つ星のレビューが1件も付いていない点は、この調査対象の中で際立っています。日本語UIがない点だけが明確な弱点です。

Wishlist Hero

月4 USDから値下げ・低在庫リマインダーとKlaviyo連携が使えるのは、この価格帯では他にありません。無料プランでも月500件までの追加とゲストウィッシュリストが使えます。

ただし2025年から2026年の低評価はサポート無応答にほぼ集中しており、日本のストアからの指摘も2件含まれます。1つ星の比率は5パーセント(17/373件)で、レビューが100件を超える5本の中では最も高い数字です(UR: Smart Product Wishlistは3件中1件が1つ星ですが、母数が小さすぎて比率の比較になりません)。開発元は2026年6月の返信で「スパムフィルタが問い合わせを取りこぼしていた」と認め、フィルタを調整済みだと説明しています。サポートへの依存度が低く、自力で設定できるチーム向けです。

Wishlist by Square

完全無料で上限の記載がなく、Built for Shopifyバッジを取得し、日本語を含む16言語に対応しています。要求する権限も最小限で、リスティングのデータアクセス欄には商品、テーマ(閲覧のみ)、メタオブジェクト、ロケール情報しか並びません。顧客の個人情報にも注文データにも一切アクセスしません。なおWishlist HeroとSE Wishlist Engineはデータアクセス欄自体がリスティングに表示されないため、7本の厳密な横並び比較はできませんが、欄を確認できる5本の中では最も狭い権限です。

一方で機能は最小構成で、値下げ通知も再入荷通知も共有機能もリスティングに記載がありません。公開が2025年6月で、レビュー期間は約8か月しかなく、直近20件のうち11件が「利用24時間未満」のレビューです。星5.0という数字だけで判断するには材料が不足しています。まず保存機能を入れて需要を測る、という用途に向きます。

なお開発元名は「Square Apps」ですが、決済企業のSquareとの関係は確認できませんでした。

Growave: Loyalty & Wishlist

ウィッシュリスト、ポイントプログラム、商品レビューを1本で賄える統合型で、無料プランでも月200注文までその3機能すべてが使えます。

最大の落とし穴は、再入荷ウィッシュリストメールがGROWTHプラン(199 USD/月)以上でしか使えないことです。ENTRYは15 USD/月なので、通知施策を回そうとした瞬間に13倍以上の価格差にぶつかります。ロイヤルティとレビューも同時に導入するなら合理的ですが、ウィッシュリスト単体が目的で通知が必須なら過大です。

SE Wishlist Engine

正式名称は「SE Wishlist Engine」です。値下げ・再入荷アラートが14.99 USD/月のAdvancedプランで使えます。この7本の中で、再入荷通知まで含めて最も安いのがこの価格です(Wishlist Heroは4 USD/月から値下げと低在庫のリマインダーを使えますが、再入荷通知はリスティングに記載がありません)。Built for Shopifyバッジがあり、250件のレビューのうち1つ星が2件、2つ星がゼロと、低評価が極端に少ないのも特徴です。

管理画面は英語のみです。無料プランはアイテム総数100件までで実質テスト用、無料体験も5日間と短めです。

UR: Smart Product Wishlist

日本語ロケールでは「シンプル Wishlist|お手軽お気に入り」と表示されます。同じアプリのロケール別表示です。福岡のUnReact Inc.が開発しており、日本語サポートが確認できる唯一の選択肢です。

ただしレビューは3件のみで、平均は2.3です。1つ星のレビュー(2026年3月)には、テーマにブロックを設置したところページがリフレッシュし続けたという報告があります。これに対し開発元は「Theme Extensionを利用しているためアンインストール後にテーマコードへ影響を残さない仕様」と公式に説明しており、これはこの調査対象の中で唯一、残存コードについて明確に否定した回答です。

機能は最小構成で、日本語版リスティングには「一顧客あたり50商品まで」という上限が記載されています。値下げ通知、再入荷通知、共有機能、未ログインでの保存は、いずれも記載がありません。

導入前チェックリスト

  • 顧客が保存したデータを、ストア側で使う予定があるか。ないならShopアプリのお気に入りかセグメントで足りる
  • 月間のウィッシュリスト追加件数、または月間注文数を概算できているか。無料枠の判定に必要
  • 値下げ通知・再入荷通知が要件に含まれるか。含まれるならGrowaveの無料プランとWishlist by Squareは候補から外れる
  • 日本語UIと日本語サポートのどちらが必要なのかを分けて定義したか
  • 未ログインの訪問者にも保存させたいか。UR: Smart Product Wishlistはログイン前提の設計と読めます
  • 将来アプリを乗り換える可能性があるか。あるならアンインストール時のコード残存を選定基準に入れる
  • アプリが要求するデータアクセス権限を確認したか。顧客の個人情報や注文編集の権限を求めるアプリもあります
  • 本番テーマに入れる前に、テーマの複製かテストストアで動作確認する段取りがあるか

まとめ

判断の順番は3つです。

まず、本当にアプリが必要かを確認します。 ストア側でデータを使わないならShopアプリのお気に入りで足り、閲覧データだけ欲しいなら storefront.product_viewed セグメントで足ります。アプリなしのサーバー保存型の自作は、Liquidからメタフィールドを作成できない時点で成立しません。

次に、通知が要件かどうかで候補が割れます。 値下げと再入荷の両方が必要なら、実質的な最安はSE Wishlist Engine(14.99 USD/月)です。値下げと低在庫だけでよいなら、Wishlist Heroが4 USD/月で足ります。通知が不要なら、Wishlist by Squareを無料で入れて需要を測るのが最も損失の小さい選択になります。

最後に、日本語要件を分解します。 ストアフロントの日本語表示、管理画面の日本語UI、日本語での問い合わせ対応は、それぞれ別の要件です。3つすべてが必要ならUR: Smart Product Wishlistが唯一の候補ですが、レビュー3件・平均2.3という前提を理解した上で、無料体験の7日間で必ず検証してください。

料金とレビュー数は変動します。この記事の数値はすべて2026年9月1日時点のShopify App Store掲載内容に基づくもので、導入前には必ず最新のリスティングを確認してください。

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