この記事でわかること
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アプリを入れる前に1つ確認してください。Shopify純正のOnline Store 2.0テーマ(Dawn、Horizonなど無料テーマ)を使っているなら、テーマエディタを開き、歯車アイコンの「テーマ設定」から Cart を開き、Cart type のドロップダウンを見てください。Shopifyの公式ドキュメントはこう書いています。「the cart can be displayed as a drawer, a page, or a pop-up notification」。ここで Drawer を選べば、どのShopifyプランでも、月0円で cart drawer が手に入ります。サードパーティ製テーマでは、この設定の出し方が違うか、そもそも無い場合があります。
それだけが目的でアプリを探していたなら、ここで終わりです。以下は「もう1つの理由」、つまりドロワーの中に入れる売上ロジックの話です。こちらは確かにアプリの領域で、6つのアプリが構造の違う4種類の分母で課金しています。
以下の評価・プラン名・料金は、Shopify App Storeの en(US)ロケール表示で2026年9月3日に確認した値です。この記事は米国市場を対象にしているためen表示を採用しています。日本語ロケールでは表示が異なる場合があるため、導入前にご自身のロケールで確認してください。すべてUSD建てです。
テーマ設定でできる範囲
テーマ設定の Cart セクションで提供されるのは、次の範囲です。
- Cart type — Drawer / Page / Popup notification
- Cart drawer > collection — カートが空のときに表示するコレクション
- Cart drawer > Color scheme
- Enable cart note と Show vendor
加えて自動割引はそのまま適用され、テーマ設定の Custom CSS でドロワーの見た目も調整できます。ただしShopifyは Custom CSS について「affects all pages in your online store, except your checkout」と注記しています。
標準はここまでです。リストに無く、テーマ設定では実現できないのが次のものです。
- カート内のアップセル/クロスセル/よく一緒に購入される商品
- 送料無料までのプログレスバー、購入金額ティアによるリワード
- 無料ギフトの自動投入。 これは「無い」だけでなく明文化されています。標準の Buy X get Y についてヘルプセンターは「Customers must add all items to their cart manually. The free or discounted 'get' item is never automatically added to the cart.」と書いています。GWPアプリが存在する理由はこの一文に尽きます。
- カート内の割引コード入力欄。標準では「customers need to add all applicable products to their cart, and then enter the discount code at checkout」です。2025年5月21日の開発者向けchangelogで Cart AJAX API の
/cart/update.jsにdiscountパラメータが追加され、カート段階でのコード適用が技術的に可能になりましたが、これはアプリ側の実装であってテーマ設定ではありません。 - カート内のカウントダウンタイマー、トラストバッジ、決済アイコン
- sticky add-to-cart bar(商品ページで追従するカート追加ボタン)。 これは cart drawer とは別物です。Shopifyのテーマ設定ドキュメントに該当する設定項目は載っておらず、Shopify CommunityにはDawnへの追加方法を尋ねるスレッドが継続的に立っています。「無料テーマに標準で付いている」と書いている比較記事があったら、設定名がどこにあるのか確認してみてください。
早めに1つ整理しておきます。ここまでの話はすべてカート段階のもので、チェックアウトには触れません。cart drawerのアップセルに Checkout Extensibility も Shopify Plus も不要ですし、checkout upsell や post-purchase upsell はまったく別のサーフェスの話です。
課金の分母は4種類ある
以下の6アプリはすべてBuilt for Shopifyバッジを持っています。それでも料金の仕組みは揃っていません。
| アプリ | 本番ストアで使える無料枠 | 有料の下限 | 課金の分母 |
|---|---|---|---|
| Amp Slide Cart Upsell Drawer | あり(機能制限型) | $29.99/月 | 定額。注文数と無関係 |
| Upcart—Cart Drawer Cart Upsell | なし(開発/パートナーストア専用) | $29.99/月(200注文) | 月間注文数 |
| Kaching CartDrawer Cart Upsell | なし(開発ストア専用) | $9.99/月(99注文) | 月間注文数 |
| Essent Cart Drawer Cart Upsell | あり(毎月30注文まで) | $8.99/月(99注文) | 月間注文数 |
| Cartly Slide Cart Drawer | あり。ただし 累計20注文まで | $16.99/月(100注文) | 無料は累計注文数/有料は月間注文数 |
| EA • カートに追加アップセル Cart Drawer | あり(アプリ全体が無料) | — | 掲載なし |
このうち2行は読み直す価値があります。
「Free plan available」はバッジであって約束ではありません。 UpCartの無料プランには「ONLY For Development & Partner Stores」と書かれています。Kachingも「Free for all development stores.」です。どちらも本番ストアでは最初の1件目から有料です。ライブストアで毎月リセットされる無料枠を持つのはEssentだけです。
Cartlyの無料枠は月間ではなく累計です。 リスティングの表記は「Up to 20 total store orders」。ストアの累計注文が20件に達した時点でこの枠は終わります。Essentの「月30件」と同じ「Free」列に並べる比較表は、読者を誤らせます。
Amp Slide Cart Upsell Drawer

出典: Shopify App Store(Amp Slide Cart Upsell Drawer、2026-09-03時点)
評価5.0(761件)。この6件で唯一の定額課金です。リスティング自身が明示しており、$29.99/月のGrowthは「with a flat fees」、$49.99/月のProは「with no variable pricing」と書かれています。月2,000注文を扱うストアにとって、これは従量課金とはまったく別のコストカーブになります。
無料枠は注文数ではなく機能で区切られており、見た目まわりは意外に寛容です。割引コード欄、トラストバッジ、決済アイコン、express checkoutボタン、カウントダウン付きのアナウンスが$0で使えます。含まれないのは売上ロジックのほうで、アップセルとプログレスバーはGrowth以上、無料ギフトとBOGOはPro限定です。GWPのために$49.99を払うのは、この6件で最も高い入口になります。
なお「解約したつもりが月$40の課金が続き、返金を断られた」というレビューが1件あります。1件であり、$40という金額は現行のどちらのプランとも一致しないため旧プランの可能性がありますが、解約手順は書面で確認しておく価値があります。
Upcart—Cart Drawer Cart Upsell

出典: Shopify App Store(Upcart—Cart Drawer Cart Upsell、2026-09-03時点)
評価4.7(875件)。開発元はRoktで、AfterSell製と書いている第三者記事は古い情報です。UpCartはこの6件で最もデザインの自由度が高く、HTML・CSS・JSXでカートのテンプレートを書けます。アナリティクスには最適化の提案も含まれます。ティア差は注文数上限だけで、機能のゲーティングはありません。
導入前に効く制約が2つあります。1つは英語のみであること。スイスのマーチャントのレビューは「has no translation possibilities included」と明言しています。US単一市場なら無関係ですが、Shopify Marketsで多言語運用しているなら選外です。もう1つは1★が38件(4%)とこの6件で最多で、その論点が課金に集中していること(アンインストール後の請求、トライアル後のusage charge、解約場所が分からない)。開発元はShopifyの30日課金サイクルの仕様だと回答しています。
Horizonテーマ非対応を訴えるレビューが1件ありますが、開発元は「Horizon should work with Upcart out of the box」と反論しています。未決着なので、複製テーマで先に検証してください。
Kaching CartDrawer Cart Upsell

出典: Shopify App Store(Kaching CartDrawer Cart Upsell、2026-09-03時点)
評価5.0(1,226件)でこの6件では最多のレビュー数ですが、ローンチは2024年12月です。つまり2年足らずでこの数を集めています。入口は$9.99/月(99注文)で、アナリティクスにA/Bテストを掲げている唯一のアプリです。ドロワーの構成を一度決めて終わりにせず、回して磨きたいならここが効きます。
注意点が2つ。リスティングにデモストアが無く、入れる前に実挙動を見られません。そしてデータアクセス欄でView customersを要求しているのはこの6件でこのアプリだけです。CCPA/CPRAの観点で社内レビューがある組織は確認してください。一方でテーマへのアクセスはViewのみで、編集権限は求めていません。
レビュー上はネガティブがほぼ見当たりませんが、2024年12月ローンチのため複数年のBFCM実績はまだありません。「レビュー上は問題が見えない」と「問題がない」は別の主張です。
Essent Cart Drawer Cart Upsell

出典: Shopify App Store(Essent Cart Drawer Cart Upsell、2026-09-03時点)
App Storeのタイトルは Essent Cart Drawer Cart Upsell ですが、開発元のEssential Appsは Essential Cart Drawer とも呼んでいます。評価5.0(912件)。
小規模な米国ストアにとって現実的な出発点になる理由が2つあります。1つは無料枠が毎月リセットされる30注文で、ライブストアで使えること。リスティングは「Every feature included, no gating」「No per-order or overage fees」と明記しています。もう1つは、cart drawerとsticky add-to-cart bar(商品画像・バリアント選択・数量つき)を1アプリで賄えること。アプリを2本入れずに済む=ページに載るスクリプトが1本減ります。有料の入口$8.99/月はこの6件で最安です。
トレードオフは権限です。データアクセス欄を掲載している3件のうち、Edit Online Store: Theme(テーマの編集)を要求しているのはEssentだけで、UpCartとKachingはViewのみです。Amp・Cartly・EAはデータアクセス欄そのものが掲載されていないため、権限スコープを比較できません。Essentの注文へのアクセスは読み取りのみ・直近60日に限定されていますが、テーマへの書き込み権限は実質的な差です。ローンチも2025年3月と新しく、実績の蓄積はこれからです。
Cartly Slide Cart Drawer

出典: Shopify App Store(Cartly Slide Cart Drawer、2026-09-03時点)
評価4.9(84件)。この6件で最も母数が小さいので、平均値ではなく個別のレビューを読むべきアプリです。Cartlyは Affirm / Afterpay / Klarna を連携先として明示している唯一のアプリで、カート内でBNPLを訴求したいなら直接効きます。他社が掲げていない機能も2つあり、空カート時の商品推奨(推奨商品・カゴ落ち商品・直近閲覧商品)と、カート内での配送予定日表示です。
公開のchangelogを持っているのもこのアプリだけです。
ドイツのマーチャントのレビューには、スライドカートがテーマ標準のカートと競合した報告があります。「When closing the slide cart underneath the so-far (theme) cart became visible.」開発元は、最初はapp embedを無効にしておく運用を勧めています。1ページにcart drawerが2つ存在すれば当然起きうる症状で、非公開の複製テーマで検証すべき理由そのものです。
EA • カートに追加アップセル Cart Drawer

出典: Shopify App Store(EA • カートに追加アップセル Cart Drawer、2026-09-03時点)
評価4.8(205件)。リスティングの料金欄に書かれているのは一語、Freeだけです。注文数の上限も、有料ティアも、アップグレードの導線も掲載されていません。sticky add-to-cart barをドロワーの付随機能ではなく主機能として設計している唯一のアプリで、ストアフロントの対応言語は90を超えます。この6件で群を抜いた広さです。
なお英語ロケールでの正式名称は EA • Sticky Add to Cart Drawer です。日本語ロケールでは上記の名称で表示されます。
正直な注意点は、リスティングが触れていない部分にあります。収益モデルが公開されておらず、データアクセス欄も掲載されていません。主要な購入導線を、ビジネスモデルが非開示の無料アプリに載せるかどうかは、なんとなくではなく意識的に決めるべき判断です。
選び方
- ドロワー表示だけが目的 → テーマ設定の Cart type を Drawer に。アプリ不要、費用ゼロ。
- 送料無料バーや無料ギフトの自動投入がしたい → アプリが必要です。標準のBuy X get Yではギフトがカートに入りません。最安はEssent(月30注文まで無料、以降$8.99)かKaching($9.99)。
- 主目的がsticky add-to-cart bar → EAが無料かつ専用設計。ドロワーも欲しいならEssentかCartlyで1本にまとめられます。
- 注文数が多い → Ampの定額$29.99/$49.99なら成長に追随されません。月1,000件を超えるあたりから有利になりますが、従量アプリの上位ティア価格はリスティングに載っていないため、各社に個別確認して試算してください。
- ドロワーをデザインシステムに完全一致させたい → UpCart(HTML/CSS/JSX)かAmp Pro(callback API)。
- Shopify Marketsで多言語展開している → UpCartは避ける。EA、Kaching、Amp、Essentを検討。
- ドロワーをA/Bテストしたい → 掲げているのはKachingのみ。
- カートでBNPLを訴求したい → Cartly。
ライブテーマへ入れる前にやることが2つあります。まず非公開の複製テーマでインストールすること。前述のCartlyのレビューは、ドロワーが二重になるとどう見えるかの実例です。そして公開テーマを切り替えるとアプリは引き継がれません。Shopifyのドキュメントは「you'll need to re-activate those apps in your new theme as they won't be active by default」と書いています。テーマ移行のチェックリストに必ず入れてください。プログレスバーが黙って消えている状態は、非常に見落としやすい種類の事故です。
アンインストールについては良い知らせがあります。theme app extensionとして作られたアプリは何も残しません。Shopifyの開発者ドキュメントは「when merchants uninstall apps, blocks associated with the apps are automatically and entirely removed from online store themes」と明記しています。ただしこの保証は、テーマコードに直接コードを注入するタイプのアプリには及びません(ヘルプセンターは別カテゴリとして記載しています)。インストール手順でLiquidファイルへのスニペット貼り付けを求められたら、その保証の外にいると考えてください。
参考・出典
- Shopify ヘルプセンター — テーマ設定のカスタマイズ
- Shopify ヘルプセンター — Buy X get Y ディスカウント
- Shopify ヘルプセンター — アプリの管理
- shopify.dev — Theme app extensions
- Shopify developer changelog
- Shopify App Store — Amp Slide Cart Upsell Drawer
- Shopify App Store — Upcart—Cart Drawer Cart Upsell
- Shopify App Store — Kaching CartDrawer Cart Upsell
- Shopify App Store — Essent Cart Drawer Cart Upsell
- Shopify App Store — Cartly Slide Cart Drawer
- Shopify App Store — EA • カートに追加アップセル Cart Drawer
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