この記事でわかること
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卸売、受注生産、カスタム製品を扱っていると、欲しい業務フローは一言で説明できます。価格が出ていない商品を見た訪問者が「いくらですか」と聞き、こちらが金額を返し、相手が受け入れたら注文になる。ところが管理画面には、この導線を作る設定がありません。
似たものはあります。draft ordersは交渉価格で注文を組み立てられ、B2B on Shopifyには承認フローがあり、Shopify Formsは無料で問い合わせを受けられます。どれも見積依頼ではありません。
調査日は2026年9月2日。料金はすべてUS(英語)App Store表示のUSDです。
先に結論
Shopifyには買い手が起票する見積オブジェクトがありません。draft ordersを作れるのはShopify admin、Shopify POS Pro、GraphQL Admin APIからのマーチャント側だけで、Storefront APIに作成手段はありません。見積の有効期限もなく、時限的な要素は在庫を確保するreserveInventoryUntilと、2025年4月1日以降に作成されたdraft orderが1年間の非活動で自動削除される仕様の2つだけです。
B2B on ShopifyはShopify Plus限定ではありません。 Help Centerは "You can use Shopify B2B on the Basic, Grow, Advanced, and Shopify Plus plans." と明記しています。Plus限定と書いている記事は情報が古いままです。
B2BのSubmit all orders as drafts for reviewもRFQではありません。ログイン済みのcompany contactにSubmit for approvalボタンを出す機能で、価格はすでに見えています。注文の承認であって、価格の問い合わせではありません。
Shopify標準でできること
draft orders:買い手が起票できない以外はほぼ揃っている
Shopifyのドキュメントは、draft ordersを "on behalf of customers"(顧客に代わって)作るものだと説明しています。この一言がすべてです。管理画面から明細ごとのcustom price、カタログに無いcustom itemsの追加、割引、custom shipping rate、税のon/off、期限を指定した在庫確保、secure checkout link付きのinvoice送付ができます。payment termsはDue on receipt、Due on fulfillment、Net 7から90、fixed termまで。提示価格を守るLock product pricingもあります(値下がりも止まり、product bundlesは非対応)。
つまり「卸価格で合意済みの取引先に見積兼請求を送りたい」だけなら、アプリは要りません。できないのは買い手側から始めることです。draftOrderCreateはGraphQL Admin APIのミューテーションで、Storefront APIに同等のものはありません。RFQアプリというカテゴリが存在する理由は、この一点に尽きます。
B2B on Shopifyのプラン別の差
競合記事がいちばん間違えているのがここです。見積の文脈で効く項目だけを抜き出します。
| 機能 | Basic | Grow | Advanced | Plus |
|---|---|---|---|---|
| B2B on Shopify(companies / catalogs / net terms) | 可 | 可 | 可 | 可 |
| Draft order to invoice | 可 | 可 | 可 | 可 |
| Checkout to draft(Submit for approval) | 可 | 可 | 可 | 可 |
| Quantity rules / quantity price breaks | 可 | 可 | 可 | 可 |
| Net terms / payment reminders / ACH(US)/ vaulted cards | 可 | 可 | 可 | 可 |
| B2Bオブジェクトを使うShopify Flow | 可 | 可 | 可 | 可 |
| B2B marketsに割当可能なcatalog数 | 3 | 3 | 3 | 無制限 |
| Contextual checkout / contextual storefront | 不可 | 不可 | 可 | 可 |
| B2B context向けのテーマエディタ編集 | 不可 | 不可 | 可 | 可 |
| Direct company catalogs | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
| Deposit requirements | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
| Partial payments | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
| Payment requests per fulfillment | 不可 | 不可 | 不可 | 可 |
Basic / Grow / AdvancedでB2B catalog機能を使うには、ストアがnew Shopify Marketsを使っている必要があります。
Basicプランでもcompanies、catalogs、quantity price breaks、Net 30まで運用できます。できないのはdepositとpartial payments、そしてAdvanced未満でのB2B context向けテーマ編集です。最後のひとつは、標準機能だけで「call for price」を作ろうとしたときにまさに必要になる場所です。
Submit for approvalは注文承認であって見積ではない
company locationにSubmit all orders as drafts for reviewを設定すると、その買い手のチェックアウトには支払いの代わりにSubmit for approvalが出ます。注文はdraft orderとしてDraftsに入り、価格は既定でロックされます。
これがRFQでない理由は2つ。買い手はcompany contactとしてログインしている必要があるため見込み客は使えず、しかも送信前にカタログ価格を見ています。RFQはその逆から始まります。価格が出ておらず、買い手がそれを聞いている状態です。
Shopify FormsはB2B機能付きの問い合わせフォーム
Shopify FormsはShopify製の無料アプリで、別途インストールして使います。制約はドキュメントに明記されていて、この用途には厳しいものです。ストアあたり25フォームまで、"Multi-step forms aren't supported."、"Conditional logic isn't supported on forms."。まともなRFQフォームは商品カテゴリごとに項目を変え、仕様入力を2ステップ目に置くので、どちらも必要になります。さらにFormsには、明細・数量・見積金額・ステータスという概念がありません。
見積と混同されやすい標準機能がもうひとつあります。company account request formです。送信するとcompany、company location、customerが自動生成され、承認するまでOrdering not approvedに置かれます。卸アカウントの申請受付であって、見積ではありません。
判定。 見込み客がストアから価格の相談を始める必要があるなら、アプリが必須です。そうでなければ入れる必要はありません。
比較の前提
このカテゴリを本格的にカバーしているBuilt for Shopifyのアプリは6本です。数値はすべて2026年9月2日の英語App Storeリスティングから読み取ったものです。
| アプリ | 評価(レビュー数) | 本番ストアの無料プラン | 有料エントリー | 最上位 | トライアル | 見積の有効期限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| QS Request a Quote, Hide Price | 4.8(686) | あり(月10件) | $16.99/month | $96.99/month | 3-day | 記載なし |
| SA Request a Quote, Hide Price | 4.9(619) | あり(hide price無し) | $16.99/month | $36.99/month(Plusは$69) | 7-day | 記載なし |
| SB Request a Quote, Hide Price | 4.7(191) | あり(50件・ロゴ付き) | $7.99/month | $19.99/month | 7-day | 記載なし |
| Q:Request a Quote & Hide Price | 4.9(103) | なし | $17/month | $34/month または$700買い切り | 7-day | 記載なし |
| S:Request a Quote & Hide Price | 5.0(127) | あり(draft order変換なし) | $12.99/month | $36.99/month | 7-day | ADVANCEDであり |
| BSS B2B Order, Request a Quote | 4.9(177) | なし(開発ストアのみ) | $19/month | $79/month | 14-day | 記載なし |
「記載なし」はリスティングに記述が無いという意味で、機能が無いことの証明ではありません。6本ともShopify Flowを「Works with」に挙げていない点も同じです。ただしFlowにはDraft order createdトリガーがあるので、draft orderを作るアプリなら間接的に自動化できます。
6本の個別解説
QS Request a Quote, Hide Price

出典: Shopify App Store(QS Request a Quote, Hide Price、2026-09-02時点)
開発元はQuote Snap。Built for Shopifyバッジと2024 Build Awardの表示があり、レビュー数686はこの6本で最大です。slugはrequest-for-quote-by-omegaですが現在の開発元表記はQuote Snapで、「Omegaのアプリ」ではありません。
プランはFREE(月10件)、STARTER $16.99/month(月50件、convert quote to order)、PRO $36.99/month(無制限、粗利とprofit-leakアラート、CRM sync)、SHOPIFY PLUSプランが$96.99/month。差別化は最上位にあります。discount caps付きのライブ交渉、つまり担当者が値引き上限の範囲で即答し、超える分はマーチャント承認へ回す仕組みは、SHOPIFY PLUSプランの機能です。交渉機能が目的なら$96.99/monthを前提に予算を組むことになります。見積単位の粗利可視化も他の5本には無い要素です。
制約はトライアル3日(最短)と、管理画面が英語のみであること。1〜2★で複数件にわたって重なるのは、多言語見積と国際案件の税・送料計算の弱さです。SMTP通知が動かなかったという指摘と、Chrome DevToolsでアプリのスクリプトによるパフォーマンス低下を検証したという報告は、それぞれ1件です。
SA Request a Quote, Hide Price

出典: Shopify App Store(SA Request a Quote, Hide Price、2026-09-02時点)
開発元はSamita。619件で4.9。複数のレビューがGloboからSamitaへの譲渡に言及していますが、Shopifyの一次情報では確認できていません。
設計思想は買い手が希望価格を出すことです。suggested priceと明細ごとのremarksを送れるので、交渉の初手が自由記述になりません。対応言語は15、連携先はこの6本でも広いほうで、Klaviyo、HubSpot、Mailchimp、ActiveCampaign、Omnisend、Zapierなどが並びます。
料金の落とし穴が2つ。BASIC(無料)にはhide priceが含まれず、PREMIUM $16.99/monthからです。そしてPROは通常$36.99/monthですが、Shopify Plusストアでは$69/monthになります。PROのストレージ上限は2GBで、図面や仕様書を添付する業種では効いてきます。
複数のマーチャントで重なる1〜2★の論点はhide priceの実装です。2022年のレビューはアプリが "only editing out the price with CSS" であるためロード時に価格が見えると指摘し、2023年にはUSの開発者が一部のOnline Store 2.0テーマでhide priceが効かないと報告しています。いずれも2022〜2023年に集中しており、現行の不具合と断定せず検証項目として扱うのが正確です。
SB Request a Quote, Hide Price

出典: Shopify App Store(SB Request a Quote, Hide Price、2026-09-02時点)
開発元はSetuBridge。有料エントリーはこの6本で最安で、STARTUP $7.99/month、GROWTH $12.99/month、無制限のPREMIUMが$19.99/month。ただし見積件数の無制限自体は珍しくなく、SAのPREMIUM($16.99/month)、QuotifyのPremium($17/month)、StoreifyのSTARTUP($12.99/month)も無制限を掲げています。SBが独自なのは、同じ価格帯で見積対象商品数の上限も外れる点です。
課金は見積件数と見積対象商品数の2軸で切られています。Lite(無料)は50件・50商品で「Powered by」ロゴ付き、STARTUPは月50件・100商品、GROWTHは500件・500商品。SKUが絞られた高単価カタログに有利です。
Convert Quote to OrderはGROWTH($12.99/month)からで、STARTUPには含まれません。GROWTHではquote stages / labels、private notes、AI lead quality scoring、BIダッシュボードも入り、この6本で最もCRMのパイプラインに近い作りです。WhatsAppや電話経由の受付とSlack / Microsoft Teams通知は、引き合いが音声で来る建材・カスタム製造系に合います。
管理画面は英語のみ。1〜2★は191件中9件とこの6本で最も比率が高く、2人のマーチャントがサポートの音信不通に言及しています。
Q:Request a Quote & Hide Price

出典: Shopify App Store(Q:Request a Quote & Hide Price、2026-09-02時点)
開発元はAppHive。2021年3月9日ローンチで、103件中1〜2★はわずか2件、USのマーチャントから1〜2年の継続利用レビューが複数あります。この6本で最も古いリスティングというわけではなく(SAは2017年、QSは2019年)、レビュー母数は少ないものの長期利用の声が目立ちます。
無料プランはありません。 Premium $17/month、Pro $34/month、そしてこのカテゴリで唯一の買い切りPro Lifetime $700(Proとの分岐は約21か月)。
見るべき理由は承認後の自動化です。Auto draft orderとauto-approveで、承認された見積が人手を介さずdraft orderになります。B2B CatalogsとMarket selectionに対応し、Proでは担当営業を商品カテゴリや地域で振り分けるconditional email routing rules、REST APIとWebhooksが加わります。ただしQuote PDF、email templates、顧客データのpre-fill、APIはすべてPro $34/monthが必要です。
S:Request a Quote & Hide Price

出典: Shopify App Store(S:Request a Quote & Hide Price、2026-09-02時点)
開発元はStoreify。この比較で唯一、リスティングにquote expiration timeとreminder emailを明記しています。古い価格がそのまま通ることがリスクになる業種、たとえば原材料・金属・木材・化学品のように仕入値が週単位で動く商材なら、候補は1プランに絞られます。
そのプランはADVANCED $36.99/month。下位との段差が大きく、FREEは見積フォームと送信管理までで提供元表記が付き、hide priceもdraft order変換もありません。STARTUP $12.99/monthでhide price、Login to see price、Convert Quote to DraftOrder、multi market / multi currency。PRO $24.99/monthでauto approve、auto create draft order、Quote to PDF。ADVANCEDで割引、送料、言語別・国別のフォーム出し分け、expiryが入ります。年払いの記載はありません。
評価は127件で5.0、1〜2★はゼロ件。ただし低評価が無いことは欠点が無いことではなく、マーチャント発の判断材料が存在しないということです。管理画面は英語のみです。
BSS B2B Order, Request a Quote

出典: Shopify App Store(BSS B2B Order, Request a Quote、2026-09-02時点)
開発元はBSS B2B Suite。RFQとCall for Priceに加えてQuick Order form、CSV一括発注、ワンクリックreorderまで入り、見積ツールというよりB2B購買ポータルです。対応言語は20、トライアルは14日と最長です。
プランはGROWTH $19/month(月100件、5 logics、Quick Order Page 5枚)、BUSINESS $39/month(無制限、reorder、Email Approval & Auto Convert。買い手がメール上で承認するだけで注文になります)、ENTERPRISE $79/month(company customerごとの見積ロジック、company / location情報のautofill、Shopify Plus catalogsとの価格同期)。本番ストア向けの無料プランはありません。「Free to install」は開発ストア向けです。
連携先はBSS自社のB2B LockとB2B Solution、テーマ、ページビルダーが中心。tag / vendor / collection単位のhide price条件分岐も専業アプリより手薄です。1〜2★は3件で、サポートの無反応、有料ゲーティング、トライアルの制約が各1件ずつです。
hide priceを入れる前に確認する5か所
このカテゴリが本番で壊れるのはhide priceです。CSSで隠しているだけの実装だと価格は漏れます。実際、この6本のうち2本でその指摘がレビューにあります。自分のテーマにアプリを入れた状態で、次を確認してください。
- 商品ページの初期ロード時、スクリプト実行前
- コレクションページと検索結果
- 関連商品・レコメンド枠
- recently viewed
- ページソース内のstructured data(検索エンジンが読む場所)
このどれかに価格が出るなら、そのアプリは「見えにくくしている」だけです。
どれを選ぶか
アプリが不要なケース。 価格合意済みの取引先に見積兼請求を送るだけ(draft orders、Lock product pricing、Send invoice、Net terms)。ログイン済みcompany buyerの注文を出荷前にレビューしたいだけ(Submit all orders as drafts for review)。卸アカウントの申請フォームが欲しいだけ(Shopify FormsとFlowの自動承認テンプレート)。
アプリが必要になるのは、未ログインの見込み客が価格の相談を始める必要が出た瞬間です。
- 予算最優先、SKUが少ない、電話やWhatsAppの引き合いが多い — SB Request a Quote, Hide Price($7.99〜$19.99/month)。注文変換は$12.99/monthから。
- 買い手に希望価格を出させ、見積データをKlaviyoへ流したい — SA Request a Quote, Hide Price。自テーマでhide priceを先に検証し、Plusなら価格差を確認すること。
- 値引き権限の委譲と案件粗利の管理が必要 — QS Request a Quote, Hide Price。discount capsは$96.99/monthのSHOPIFY PLUSプラン、トライアルは3日という前提で。
- 承認後を自動化し、Webhookで自社システムへ流したい — Q:Request a Quote & Hide Price($17または$34/month、あるいは$700の買い切り)。
- 見積の有効期限が業務要件 — S:Request a Quote & Hide PriceのADVANCED $36.99/month。確認できた範囲で唯一の選択肢です。
- 見積だけでなくB2B購買ポータル一式が欲しい — BSS B2B Order, Request a Quote($19〜$79/month)。company単位の見積ロジックはENTERPRISE。
もう2本あります。SP Request a Quote (RFQ)は完全無料でbuyer portalと見積内チャットを持ち、24件で5.0ですが、2025年11月14日ローンチで実績は浅めです。YouQuote: Request a Quote Formは、今回確認した中で唯一「Works with」にShopify Flowを明記していました。
App Storeの料金・評価も、ShopifyのB2Bプラン別機能表も予告なく変わります。ここに書いたものはすべて2026年9月2日時点です。予算を確定する前に、Help Centerの最新表と該当リスティングを見直してください。
参考・出典
- Draft orders and invoices — Shopify Help Center
- Creating draft orders — Shopify Help Center
- Sending invoices for draft orders — Shopify Help Center
- Shopify B2B features by plan — Shopify Help Center
- Creating B2B orders using draft orders — Shopify Help Center
- Allowing new B2B customers to request access to your store — Shopify Help Center
- Shopify Forms app — Shopify Help Center
- Create forms — Shopify Help Center
- Triggers in Shopify Flow — Shopify Help Center
- Use draft orders (B2B) — shopify.dev
- DraftOrder object, GraphQL Admin API — shopify.dev
- QS Request a Quote, Hide Price — Shopify App Store
- SA Request a Quote, Hide Price — Shopify App Store
- SB Request a Quote, Hide Price — Shopify App Store
- Q:Request a Quote & Hide Price — Shopify App Store
- S:Request a Quote & Hide Price — Shopify App Store
- BSS B2B Order, Request a Quote — Shopify App Store
- SP Request a Quote (RFQ) — Shopify App Store
- YouQuote: Request a Quote Form — Shopify App Store
Shop Pay Installmentsは有効化無料、アプリ不要、そしてShopifyは手数料を公開していません。レートを見られるのは自社の管理画面の中だけです。加えてCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けず、月次プランはデビットカード限定、ギフトカードとサブスクリプション商品は対象外で、商品ごとにオン・オフを切り替えることもできません。Affirmはパスワード保護中のストア、英語以外の主要言語、主にB2Bという理由でアカウントを停止します。さらにShopifyの「Getting paid」ページは「disputeは管理画面に通知される」と書き、FAQは「管理画面には通知されない」と書いています。適格性を満たせない場合の代替はKlarna、Afterpay、Sezzle、Zip、PayPalのon-site messagingアプリで、このカテゴリーの評価は1.0〜3.2です。調査日は2026年9月2日です。