この記事でわかること
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Shopifyの獲得系ツールの多くは「注目」に課金します。インプレッション、クリック、連絡先数、月間ユニークビジター数。それが注文につながるかはマーチャント側のリスクです。Shop Campaignsはこれを反転させ、獲得1人あたりの上限コストを設定し、注文が計上されたときだけ課金します。実際の違いですが、料金モデルばかり語られてカバー範囲は語られません。落とし穴はそちらにあります。
何に対して課金されるのか
キャンペーン作成時に目的(Grow sales / Acquisition / Win back)を選び、Customer acquisition cost(CAC)、Target order value、Daily budget、対象国、チャネルを設定します。CACは、オファーを利用して注文した顧客、または広告を見たあとにストアで注文した顧客1人あたりに課金される金額です。
見落とされがちな点が2つあります。CACの最小値と推奨値はそのストアの平均注文額(AOV)にもとづいて決まり、自由入札ではありません。また注文によっては設定額の一部だけが課金されますが、そのセグメントの上限を超えることはありません。
セグメント別に上限を変えるsegment overrideもあり、新規獲得と離脱顧客の掘り起こしを別単価で同時に走らせられます。ただしどの条件で「新規」と判定するかの正確なルールは公開されていません。マーチャントが定義できるものではない、と理解しておくのが安全です。
予算は週単位の枠で動きます。使い残した日次予算は繰り越され、繰り越し分は毎週日曜に$0 USDへリセットされます。日次$100なら週$700が上限です。
広告が出る場所と、選べないもの
すべてのキャンペーンはShop app、Web版のShop、Shopify Product Networkに配信されます。編集画面でShopとShopify Product Networkは自動的に含まれ、外せません。
Shop上の広告はオファーの形をとり、特別価格かShop Cashの追加獲得のいずれかです。Shop Cash自体はShopifyが原資を負担する米国・カナダのShop appユーザー向けリワードで、通常のShopify Payments手数料以外の追加費用なくチェックアウトで自動的に受け付けられ、受け入れの拒否はできません。キャンペーンのインセンティブは、もともと受け入れている残高の上に乗る形になります。
サードパーティ配信は任意ですが、オプトインすると全媒体が対象になります。Shopifyが挙げるのはBing、ChatGPT、Facebook、Google、Instagram、Microsoft Monetize(Open Web)、Pinterest、Snapchat、Xで、個別チャネルのオプトアウトはできないと明記されています。配信はShop自身の広告アカウント経由で、マーチャントのアカウントは使われません。表示対象は米国の顧客のみで、MetaとGoogleだけが配信対象の全対応国に出ます。停止も即時ではなく、最大3営業日かかります。
もう1つがbranded keyword adsです。GoogleとBingで自社ブランド名を含む検索にShop側が入札する設定で、既定はオフ。自前でブランドワード広告を運用しているなら、最も慎重に判断すべき箇所です。
計算を変える4つの制約
CACのスライダーより、次の4点のほうがフィットするかを左右します。
Product Networkの掲載は必須で、いくつかの機能が使えません。 自社商品が他のShopifyストアに掲載されるとき、設定済みのcheckout extensionsは非対応で、サブスクリプション、バンドル、予約販売もサポートされません。注文は「Shopify Product Network」販売チャネルに計上されます。この面を外せない以上、サブスクリプション中心のカタログは構造的に相性が悪いということです。
注文が返金されてもCACは返りません。 Shopifyは計上された注文がキャンセル・返金されてもCACは返金しないと明記しています。返品率30%なら、$25設定でも残った注文あたりの実質CACは$36前後です。
請求先が変わりました。 2026年1月以降、費用はShopifyの請求書に計上され、Shopify Paymentsの入金から差し引かれる方式ではなくなりました。事前入金は不要です。入金差引を前提に経理フローを組んでいたなら、突き合わせ手順が変わります。
主要設定は開始後に変更できません。 変えられるのはdaily budgetと終了日だけで、CAC、target order value、対象国は変更不可。作り直しになります。レポートはキャンペーン単位(Sales / Customers / ROAS / 平均注文額 / Spend)で、2026年8月10日からShopifyQL経由でも取得できます。
やらないこと
クリエイティブは制御できません。Shopifyがクリエイティブ、配信面、オーディエンスを最適化し、作成画面のプレビューは例示です。メールやSMS、サイト上の体験も対象外で、自社ピクセルによるリターゲティングも守備範囲外です。計上された注文にはShop Cash offers acquiredタグが付き、表示まで最大8時間かかります。
利用資格も限定的です。2024年12月から全プランで使えますが、事業所所在地が対応国であること、Shopify PaymentsがAUD / CAD / EUR / GBP / USDのいずれかを扱うこと、ShopチャネルでSell directly on Shop with direct checkoutとShopify Network Intelligenceが有効なこと、有効な請求用支払い方法があることなどが条件です。
課金単位が違うアプリ
以下は代替品ではありません。課金の単位が根本的に違うか、Shop Campaignsが触れないファネルを担当しているという理由で選んでいます。料金はShopify App Storeの2026年9月2日時点の表示です。
AdRoll Marketing & Advertising

出典: Shopify App Store(2026-09-02時点)
AdRoll Marketing & Advertisingは最も直接的な対比です。同じ有料広告ですが、課金対象は顧客ではなく広告配信。インストール無料、広告キャンペーンには最低$5/日の予算が必要で、AdRoll側の費用はShopifyの請求とは別になる場合があります。ディスプレイ、ネイティブ、動画、CTV広告に対応。評価は4.4(288件)。クリエイティブを自分で決められる代わりに、成果が出なくても配信分は支払います。
Klaviyo: Email Marketing & SMS

出典: Shopify App Store(2026-09-02時点)
Klaviyo: Email Marketing & SMSが担当するのは、Shop Campaignsがまったく触れない自社チャネルです。課金は連絡先数とメッセージクレジット数に連動します。Freeプランはメール250連絡先、SMS 150クレジットまで無料。SMSは$15/月(1,250クレジット、キャリア費用込み)、Emailは$20/月(251〜500連絡先)から。評価は4.7(3,260件)。Shop Campaignsは1回目の注文を作れますが、2回目は範囲外です。
Pop‑Ups & Spotlight by Justuno

出典: Shopify App Store(2026-09-02時点)
Pop‑Ups & Spotlight by Justunoの課金単位は月間ユニークビジター数で、獲得課金の裏返しです。10k UVまで$59/月、20kまで$99/月、50kまで$199/月、100kまで$299/月。14日間の無料体験付き、年払いで約10%引き。評価は4.6(587件)。扱うのはポップアップやSpotlightによる匿名訪問者の特定など、Shop Campaignsが届かない自社ストア上の面です。
Triple Whale

出典: Shopify App Store(2026-09-02時点)
Triple Whaleは広告ではなく計測で、定額課金です。Freeプランのほか、Foundationが$219/月または$2,190/年、Automateが$749/月または$7,490/年。評価は4.1(84件)。Shopifyの2026年8月のchangelogは、Triple Whale、Northbeam、ElevarがShopifyQL経由でShop Campaignsの広告費、売上、ROAS、CACを取り込めるようになったと述べ、提供時期は各社に確認するよう付記しています。
参考: Shopify Audiences

出典: Shopify App Store(2026-09-02時点)
Shopify Audiencesは無料で、Shopifyが生成したオーディエンスをMeta、Google、TikTok、Pinterest、Snapchat、Criteoへ書き出します。広告費は各媒体に支払います。対象は米国・カナダのShopify Plusストアで、Shopify Payments利用が条件。評価は3.7(19件)。Shop Campaignsをサードパーティ配信にオプトインすると、未設定の場合にセットアップを促されることがあります。
課金単位の一覧
| 選択肢 | 課金対象 | 開始料金(USD) | 守備範囲の穴 |
|---|---|---|---|
| Shop Campaigns | 計上されたコンバージョン | 固定費なし。CACは自分で設定 | クリエイティブ制御・自社チャネル・媒体個別の除外がない |
| AdRoll Marketing & Advertising | 配信された広告 | インストール無料、広告は最低$5/日 | 成果リスクは自己負担 |
| Klaviyo: Email Marketing & SMS | 連絡先数とクレジット | SMS $15/月、Email $20/月 | 有料獲得は扱わない |
| Pop‑Ups & Spotlight by Justuno | 月間ユニークビジター数 | $59/月 | 集客そのものはしない |
| Triple Whale | 定額プラン | Foundation $219/月 | 計測であり需要は作らない |
| Shopify Audiences | アプリ利用料なし | 無料 | Shopify Plus、米国・カナダ限定 |
どう判断するか
先に試す価値があるのは、シンプルな物販で、AOVと粗利から上限CACを説明可能な形で決められ、返品率が低く「返金されないCAC」が計算を歪めないケースです。このリストで唯一、成果ゼロなら費用もゼロになります。
見送るか範囲を絞るべきなのは、サブスクリプション・バンドル・予約販売が軸のカタログです。必須配信面であるProduct Networkが対応していません。ブランドセーフティ上、特定媒体を外したい場合も向きません。9媒体すべてかゼロかの二択です。
予算を伸ばす前に、Klaviyoのような自社チャネルのツールと組み合わせるのが順当です。Justunoのようなサイト内CROツールは「来たトラフィックが離脱している」場合に足せば十分。Triple Whaleのような計測は、他の有料チャネルを2つ以上回していて管理画面のレポートで足りなくなってからで構いません。有料チャネルがShop Campaignsだけなら、Shopify標準のレポートとShopifyQLで用は足りる可能性が高いです。クリエイティブの制御が重要なら、AdRollや自前の広告アカウントは選択肢に残ります。
参考・出典
- Shop Campaigns(Shopify Help Center)
- Understanding Shop Campaigns
- Creating and managing Shop Campaigns
- Paying for Shop Campaigns
- Shop Campaigns requirements and compliance guidelines
- Shopify Product Network
- Shopify Audiences
- Shop Cash
- Shop Campaigns is now available on all Shopify plans(Shopify Changelog)
- See Shop Campaigns performance in your analytics tools(Shopify Changelog)
- Shop Campaigns 製品ページ
- Shopify App Store: AdRoll Marketing & Advertising / Klaviyo: Email Marketing & SMS / Pop‑Ups & Spotlight by Justuno / Triple Whale / Shopify Audiences
Shop Pay Installmentsは有効化無料、アプリ不要、そしてShopifyは手数料を公開していません。レートを見られるのは自社の管理画面の中だけです。加えてCapital OneとChaseのクレジットカードを受け付けず、月次プランはデビットカード限定、ギフトカードとサブスクリプション商品は対象外で、商品ごとにオン・オフを切り替えることもできません。Affirmはパスワード保護中のストア、英語以外の主要言語、主にB2Bという理由でアカウントを停止します。さらにShopifyの「Getting paid」ページは「disputeは管理画面に通知される」と書き、FAQは「管理画面には通知されない」と書いています。適格性を満たせない場合の代替はKlarna、Afterpay、Sezzle、Zip、PayPalのon-site messagingアプリで、このカテゴリーの評価は1.0〜3.2です。調査日は2026年9月2日です。