この記事でわかること
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「Basicプランでスタッフを追加しようとしたら、ボタンが押せなかった」という相談は、設定ミスでも不具合でもありません。Shopifyヘルプセンターの「Maximum number of users for each pricing plan」は、Basicプランのユーザー上限を 0人 と明記しています。Starterプランも0人です。
日本語の解説記事には「Basicは2人まで」という記述が今も残っていますが、現在のヘルプセンターの表とは一致しません。Shopifyがこの上限を改定した正確な時期については、公式文書で明記された記述を確認できませんでしたが、2026年9月1日時点のヘルプセンターはBasic・Starterともに0人と記載しています。
そして、この問題でもっとも多い誤解が「権限管理アプリを入れれば枠を増やせるのではないか」というものです。結論から言うと、これは技術的に不可能です。理由は本文で示します。
一方で、上限にまったくカウントされないユーザー種別が4つ存在し、うち2つは実務で使えます。この記事では、プラン別の正確な上限、アプリが担える領域と担えない領域、そしてBasic/Starterのまま外部パートナーや店舗スタッフにアクセスを渡す方法を、2026年9月1日時点の公式情報で整理します。
先に結論
Shopify管理画面にログインする人を増やしたいなら、プラン変更以外に公式な手段はありません。アプリでは1人も増えません。
制作会社やフリーランスにテーマだけ触ってもらいたいなら、Shopify純正の無料アプリ「Theme Access」で解決します。スタッフアカウントを消費せず、日本語UIもあり、Basic/Starterでも使えます。
外注先に管理画面全般を触ってもらいたいなら、コラボレーターアカウントが無料で使えます。ただし相手がShopify Partnerアカウントを持っていることが前提で、POSは使えず、90日間ログインがないと自動失効します。
実店舗のアルバイトにレジだけ使わせたいなら、POS専用スタッフが無制限に追加できます。ただし該当ロケーションがPOS Pro(13,000円/月/ロケーション)であることが前提です。
すでにいるスタッフの権限を、担当する注文だけに絞りたいという要望は、標準機能でもアプリでも実現できません。Shopifyの権限は機能単位であり、個別のレコード単位には絞れないことが公式に明記されています。
プラン別のユーザー上限
Shopifyヘルプセンターが示している上限は次のとおりです。
| プラン | 管理画面ユーザー上限 |
|---|---|
| Pause and Build | 1人 |
| Starter | 0人 |
| Basic | 0人 |
| Grow | 5人 |
| Advanced | 15人 |
| Shopify Plus | 無制限 |
日本語の料金ページでも、Growに「最大5件のスタッフアカウント」、Advancedに「最大15件」、Plusに「スタッフアカウント数無制限」と記載されており、数字は一致しています。Basicのプランカードにはスタッフアカウントの記載自体がありません。
さらに同じ料金ページの「すべての機能を比較」表では、Basicの「スタッフアカウントの追加」が明示的に「含まない」と表示されています。曖昧な表現ではなく、機能として提供されていないという整理です。なお同じ表で、Basicでも「外部のコラボレーターを招待」は「含む」と表示されています。
なお、プランをダウングレードした場合、上限を超えたユーザーは自動的に停止されます。停止の順序も公式に定められており、まず保留中のユーザーを新しく招待された順に、次にアクティブなユーザーを最終ログインが古い順に停止していきます。
改定前から運用しているストアの枠が据え置かれているかどうかについては、Shopifyの公式文書で明記された記述を確認できませんでした。マーチャントの証言はコミュニティ上にありますが、Shopify側は肯定していません。自ストアの実際の枠は、管理画面の設定 > ユーザー で確認してください。
上限にカウントされない4種類のユーザー
ここが実務上もっとも重要な部分です。0人という上限は「スタッフアカウント」にのみ適用され、次の4種別は別枠として扱われます。
| 種別 | 上限 | 実質的な前提条件 |
|---|---|---|
| ストアオーナー | 1人 | — |
| 組織オーナー | 1人 | 組織(Plus・マルチストア) |
| コラボレーター | 無制限 | 相手がShopify Partnerアカウントを持つこと |
| POS専用スタッフ | 無制限 | 該当ロケーションがPOS Proであること |
この表の右列が、日本語の解説記事でほとんど触れられていない部分です。「無制限」という言葉だけを見て運用計画を立てると、前提条件のところで詰まります。
コラボレーターアカウントは「無料の裏技」ではない
コラボレーターアカウントは、ストアや組織へのアクセスを許可したShopify Partnersを指します。ユーザー上限にカウントされないため、Basic/Starterでも人数制限なく招待できます。
ただし制約が4つあります。
第一に、申請できるのはShopify Partnerアカウントの保有者だけです。shopify.devのCollaborationsページは、要件として「A Shopify Partner account」を明記しています。無料でPartnerアカウントは作れますが、社内のアルバイトに配る仕組みではありません。
第二に、申請には4桁のコラボレーターリクエストコードが必要です。ヘルプセンターは「コードを共有した相手のPartnerだけがアクセスを申請できる」としており、コードの共有が申請の前提になります。コードは管理画面の設定 > ユーザー > セキュリティ で確認でき、新しいコードを生成すると旧コードは無効になります。なお、自社アプリを当該ストアにすでにインストールしているPartner組織は、コードなしで申請できるという例外があります。このコードが全マーチャントで既定になった時期については、公式文書で明記された記述を確認できませんでした。
第三に、コラボレーターはShopify POSアプリおよびPoint of Saleチャネルにアクセスできません。公式に「Collaborator accounts can't be granted POS permissions.」と記載があります。加えて、Administratorストアロールを付与することも、ストアや組織のオーナー権限を移譲することもできません。
第四に、90日間ログインがないとアクセスが自動的に失効します。復帰は「ユーザーと権限」の Actions > Reactivate user から可能です。
なお、コラボレーター側がShopify Partnerで2段階認証を有効化していないとログインできない仕様になっており、この点はセキュリティ上の利点と言えます。
POS専用スタッフの「無制限」にはPOS Proが必要
POS専用スタッフは、Shopify POSアプリだけにアクセスするユーザーです。メールアドレスは不要で、PINでログインします。管理画面には一切アクセスしません。
ここで注意が必要なのは、公式ページ間で表現に揺れがあることです。ユーザー上限のページは「Point of Saleチャネルがあれば追加できる」と読める書き方をしていますが、招待手順のページには利用条件として「現在Shopify POS Proサブスクリプションのロケーション」と明記されています。POS料金ページの機能比較表でも、「POSにアクセスできるスタッフ数無制限」はPOS Pro側にのみ記載があり、日常的な対面販売(POS Lite相当)の側は「POSにアクセスできるスタッフ数に制限あり」となっています。さらにPOSスタッフ管理の解説ページには「POS app only staff are only available to merchants using Shopify POS Pro and can only log in to POS Pro locations.」とあります。
複数の公式ページがPOS Pro必須と読める記述をしている以上、実務上はPOS Proが前提と考えるべきです。POS Proは日本の料金ページで1ロケーションあたり月額13,000円(英語版の料金ページでは $89/月/ロケーション)で、いずれも年払いでの請求と記載されています。なお「Shopify Plusには一定数のロケーション分のPOS Proが含まれる」という説明は、日本語・英語どちらのPOS料金ページでも確認できませんでした。
POSの権限(ロール)機能自体もPOS Pro限定です。POS Liteのロケーションでは、管理画面ユーザーがPOSにアクセスする場合、常にフルアクセスになり制限できません。POS Proのロールでは、値引き・返品・レジ現金管理などを「許可 / 拒否 / 承認が必要(マネージャーのPIN承認)」の3段階で設定できます。
ここからコストの分岐点が見えてきます。店舗スタッフにレジだけ使わせたいなら、Basic(3,650円・年払い)+POS Pro(13,000円)=16,650円で、POS専用スタッフを無制限に追加できます。Grow(10,100円)+POS Pro=23,100円と比べると、オンライン業務を任せる必要がないかぎりBasicのままの方が安く済みます。
なぜアプリではスタッフ枠を増やせないのか
「Staff permissions」という機能タグを持つアプリはApp Storeに複数存在します。しかしそれらが扱っているのは、アプリ内部の従業員レコードに対する権限であって、Shopify管理画面へのログイン権限ではありません。
技術的な根拠は明確です。Admin GraphQL APIの StaffMember オブジェクトには、currentStaffMember / staffMember / staffMembers というクエリしか存在せず、ユーザーを作成・追加するミューテーションが一切定義されていません。さらに read_users スコープは読み取り専用であるうえ、「finance embedded app、またはShopify Plus/Advancedストアにインストールされている必要があり、Shopifyサポートによる有効化が必要」というゲートまでかかっています。
つまりアプリには、Shopifyのユーザー枠に書き込む手段がそもそも与えられていません。プラン契約に紐づくものである以上、これは仕様として一貫しています。
アプリが担えるのは、管理画面ユーザー枠の外側にある領域です。具体的には次の3つです。
枠の外側を埋めるアプリ
Theme Access(Shopify、無料)
Shopify自身が提供する無料アプリです。スタッフアカウントを作らずに、テーマ開発者へテーマ限定のパスワードを発行できます。発行したパスワードはShopify CLIやTheme Kitで使います。
App Storeの対応言語には日本語を含む21言語が含まれており、日本語UIで運用できます。パスワードの共有リンクは7日で失効し、アクセス保有者の一覧管理と即時失効にも対応しています。
編集できるのはテーマだけで、注文や設定の変更はできません。裏を返せば、テーマ改修だけを外注しているBasic/Starterのストアにとっては、追加コストゼロで完結する現実的な手段です。
2026年9月1日時点の評価は4.1、レビュー4件です。母数が小さいため、レビューから品質を語れる状態ではありません。
POSスタッフの勤怠・シフト管理アプリ
Shopify POSを使う実店舗で、打刻やシフト、歩合を管理するアプリ群です。いずれもShopify管理画面のユーザー枠は増やしませんが、店舗スタッフに管理画面を触らせずに労務データを扱えます。
Easyteam POS Time Clock In(Easyteam®)は、2026年9月1日時点で評価4.9、レビュー299件、Built for Shopifyバッジを取得しています。料金は無料プラン(スタッフ1名まで)、Retail $30/月+追加スタッフ1名につき$5(最大6名、14日間トライアル)、Enterprise $490/月〜という構成です。UIは英語のみで、日本語サポートの有無は確認できませんでした。給与連携先として挙がっているサービスは米国系が中心です。
POS Staff Time Clock In(Zon Staff)は評価4.8、レビュー39件、Built for Shopifyバッジあり。Starter無料(1名)、Small Business $24.99/月(5名)、Workforce $39.99/月+$4/名(10名)、Enterprise $199.99/月+$2/名(100名)。2025年3月公開と新しく、長期運用の実績はまだ読み取れません。UIは英語のみです。
POS Time Tracker by ATeam Apps(A Team Apps LLC)は評価4.8、レビュー48件で、Built for Shopifyバッジを取得しています。料金はStarter $15/月(5名まで、7日間トライアル)、Plus $25/月(10名)、Pro $40/月(30名)、Enterprise $40/月+スタッフ1名につき$1(人数無制限)という構成です。Shopify POS上での打刻と休憩記録、シフト作成、給与計算向けのレポート、ロケーション数無制限が全プラン共通で、EnterpriseではAPIアクセスとADP Workforce Now・Paychex向けのエクスポートが加わります。給与計算そのものは外部で行う前提の構成のため、日本の給与ソフトと併用する運用とは切り分けて検討しやすい設計です。UIは英語のみです。
監査ログアプリ
権限をレコード単位に絞れないという標準の制約は、事後の可視化で部分的に緩和できます。
Logify: Activity & Staff Logs(Tabgraf.com)は、商品・注文・在庫の変更履歴を記録し、Slack・メール・Webhookでアラートを送るアプリです。料金はStarter $19/月からUltimate $99/月までの4段階で、ログ保持は基本60日、全プラン7日間の無料トライアルがあります。
ただし2026年9月1日時点の評価は2.5、レビュー4件です。母数が小さすぎるため導入判断の材料としては不足しており、必ずトライアルで検証すべきアプリです。またスタッフの画面録画機能を持つため、日本の労務実務と個人情報保護の観点から、社内規程の整備と同意取得を先に検討する必要があります。
「アクセス制御アプリ」との混同に注意
App Storeで「アクセス制御」を検索すると Locksmith(Lightward、評価4.7・レビュー286件、Built for Shopifyバッジあり)が上位に出てきます。2014年公開で運用歴が長く、料金はShopify Basic $12/月からShopify Plus $199/月までのプラン別構成、15日間の無料トライアルがあります。なおリスティング上は「Pay what feels good」という方針のもとで各金額が「推奨価格」と表記されているため、固定料金として読まないほうが安全です。
しかしこのアプリはスタッフ権限管理アプリではありません。Online Storeチャネル、つまり顧客が見るストアフロント側のコンテンツアクセス制御アプリです。顧客タグ・パスコード・地域などを鍵にして、商品やページを出し分けます。
会員限定商品や卸売価格の出し分けには有効ですが、Shopify管理画面のスタッフ権限には一切関与しません。「アクセス制御」という同じ言葉が、まったく別のレイヤーを指しているだけです。スタッフ枠の解決策として導入すると、月$12以上が無駄になります。
権限をどこまで絞れるか
すでにスタッフがいる場合、権限設定でできることとできないことは次のとおりです。
できることは機能単位の制御です。注文だけでも「閲覧」「注文情報の管理」「注文の編集」「割引の適用」「支払いの記録」「支払いの獲得」「フルフィルメントと配送」「返品」「返金」「キャンセル」「エクスポート」「削除」など19種類の権限に分かれています。
アプリと販売チャネル単位の指定も可能です。「すべてのアプリとチャネルを管理・インストールする」権限のほかに、特定のアプリだけをチェックして許可できます。ただし特定指定した場合、そのユーザーはアプリのインストールと削除ができず、新しいアプリを追加するたびにロールの更新が必要になります。なお公式には「App permissions in the Shopify admin don't change or impact any permissions set up through apps.」とあり、アプリ側で独自に設定した権限には影響しません。
B2Bを使っている場合は、「割り当てられた企業ロケーションに権限を制限する」という設定があり、注文・下書き注文・顧客・企業を該当ロケーション分だけに絞れます。ただし他のページはフィルタされず、顧客の「支出金額」など一部の数値は全ロケーション合算のまま表示されます。
できないことは個別レコード単位の制限です。公式に「within a store you can't restrict permissions to individual orders, products, or customers.」と明記されています。「この担当者にはこの注文だけ」は標準でもアプリでも実現できません。レポートについても、どのレポートにアクセスできるかを指定することはできないと公式に記載されています。
Shopify Plusで追加される組織機能
16人以上が必要になる、あるいは統制要件が上がってきた場合、Plusでは組織レベルの管理機能が使えます。
グループ(Groups)はPlus組織限定の機能で、ロールの集合を作ってユーザーへ一括付与できます。ただしコラボレーターはグループに割り当てられません。
セキュリティ面では、全ユーザーへの2段階認証の必須化、2段階認証のリセット、検証済みドメイン、SAML認証(強制レベルの選択可)、SCIMによるIdP連携でのユーザー追加・削除、組織のユーザーアクティビティログがPlus組織限定で提供されます。いずれもドメイン所有権の検証が前提です。
導入前チェックリスト
- 増やしたいのは管理画面にログインする人か、それとも別のものか
- 自ストアの実際の枠を、設定 > ユーザー で確認したか
- 外注先はShopify Partnerアカウントを持っているか(コラボレーターの前提)
- 外注先に必要なのはテーマだけか、管理画面全般か
- 店舗のロケーションはPOS ProかPOS Liteか
- POS Pro(13,000円/月/ロケーション)を追加する場合、Growへの昇格と比べてどちらが安いか
- 検討中のアプリのUIは日本語で表示されるか(サポート言語とは別問題として確認する)
- レコード単位の権限分離が要件になっていないか(要件なら設計から見直す)
- 監査ログアプリを入れる場合、画面録画などの機能が社内規程と衝突しないか
まとめ
判断の順序は次の4段階です。
- 増やしたいのが「Shopify管理画面にログインする人」なら、プラン変更以外に手段はない。Grow 5人、Advanced 15人、Plus無制限
- 外注先へのアクセスなら、テーマだけならTheme Access(無料)、管理画面全般ならコラボレーターアカウント(無料、ただしPartner限定・POS不可・90日失効)
- 店舗スタッフなら、POS専用スタッフが無制限。ただしPOS Pro(13,000円/月/ロケーション)が前提
- 権限を細かく絞りたいなら、まず機能単位で足りるかを確認する。レコード単位は標準でもアプリでも不可能なので、ロール設計の見直しか監査ログでの事後可視化に切り替える
なお、本記事のプラン上限・料金・アプリの評価およびレビュー件数は、2026年9月1日時点でShopifyヘルプセンター、shopify.dev、Shopify公式料金ページ、Shopify App Storeに掲載されていた情報に基づいています。Shopifyは2024年にスタッフ枠を改定した前例があるため、導入前に最新の情報をご確認ください。
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。