この記事でわかること
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「Shopifyは自動でバックアップを取ってくれているのか」という質問に、Shopify自身がヘルプセンターで答えています。答えは、ページの最後の見出しに書かれています。
ストアの情報のバックアップを作成したい場合は、Shopify App Storeのアプリを使用できます(原文:If you want to create a backup of your store's information, then you can use an app from the Shopify App Store.)
「バックアップと複製」というタイトルのヘルプページが、最終セクションで読者をアプリストアに送り出す。これがShopifyの公式な立場です。
標準で用意されているのはCSVエクスポートと、テーマのダウンロード。それだけです。そしてここが最も見落とされる点なのですが、エクスポートできるものと、あとから戻せるものは一致しません。CSVを毎週ダウンロードしていれば安心、という運用は、いざ復元しようとした瞬間に破綻します。
この記事では、Shopify標準でどこまでできるのか、CSVバックアップがどこで機能しなくなるのか、そして実在するバックアップアプリ6本を同じ軸で比較します。調査日は2026年9月1日、料金はすべてShopify App Store掲載のUSD表記です。
先に結論
商品を数十点しか持たず、変更頻度も低いなら、CSVエクスポートとテーマのダウンロードを定期的に行うだけで実務上は足ります。アプリは不要です。
AIツールや一括編集アプリを使っている、または複数人で管理画面を触っているなら、アプリの導入を検討する意味があります。理由は後述しますが、CSVでは「壊れる前の状態」に戻せないからです。
条件別の推奨は次のとおりです。
- 無料で始めて様子を見たい:Syncora: Backup & Restore(無料プランは商品50件まで)または Savepoint ‑ Backup & Restore(無料プランで日次バックアップ+30日履歴)
- 商品点数が多く、注文数は少ない:Talon Backups(9 USD/月から。課金の分母が商品件数)
- 注文数が多く、メタフィールドやメタオブジェクトまで守りたい:BackupMaster Backups(19 USD/月から)
- 本番から検証用ストアへ複製したい:BackupMaster Backups(Pro 39 USD/月以上)
- 商品まわりだけ無料で守れれば十分:Failsafe Backup & Restore(完全無料。ただし顧客・注文は対象外)
そして重要な前提が2つあります。ひとつは、この6本すべて日本語UIがないこと。もうひとつは、レビュー数が最多のRewind BackupsだけがBuilt for Shopifyバッジを持っていないことです。
Shopify標準でどこまでできるか
CSVで出せるもの
Shopifyヘルプセンターの「バックアップと複製」ページが列挙する、CSVエクスポート可能な情報は次の6種類です。
- 商品
- 顧客
- 注文
- ギフトカードコード
- 割引コード
- 財務データ
これに加えて、オンラインストアのテーマは管理画面からダウンロードできます。
一覧を見て気づくことがあります。メタフィールドとメタオブジェクトが含まれていません。商品CSVには標準の商品フィールドしか含まれず、カスタム定義したメタフィールドの値はこの経路では出てきません。メタフィールドを使って商品仕様や表示制御を組み立てているストアほど、CSVバックアップの穴が大きくなります(メタフィールドの上限そのものについてはこちら)。
ページやブログ記事、メニュー、コレクションのルール、ファイル、翻訳も同様に対象外です。
出せても戻せないもの
ここが本題です。同じヘルプページの「ストア情報を移行する際の考慮事項」セクションには、次の制約が明記されています。
- 注文は管理画面から取り込めない。第三者アプリまたはAPI経由でのみ可能で、ヘルプセンターは「これはShopifyのサポート対象外です」と明言しています
- 割引コードは移行できない
- 発行済みギフトカードは移行できない(ギフトカード商品そのものは商品CSVで移行できる)
- 保存したカスタムレポートは移行できない
- 訪問者のトラフィックデータは移行できない
つまり、注文CSVも割引コードCSVも、エクスポートはできるのに、Shopifyの管理画面からは戻せません。これらは「バックアップ」ではなく「記録の写し」です。会計や監査には使えますが、事故からの復旧には使えません。
標準機能の判定
判定は明確です。アプリが有力。ただし条件付きです。
商品点数が少なく、更新も月に数回で、メタフィールドを使っておらず、事故が起きたら手作業で入力し直せる規模なら、標準のCSVエクスポートで足ります。無理にアプリを入れる必要はありません。
一方、次のいずれかに当てはまるなら、CSVでは復旧できません。
- 一括編集ツールやCSVインポートを日常的に使っている(一括編集の制約はこちら)
- Shopify SidekickやAIツールに商品説明やテーマを触らせている(Sidekickの生成範囲はこちら)
- 複数のスタッフやパートナーが管理画面にアクセスしている
- メタフィールド、メタオブジェクト、翻訳を使っている
- アプリの追加・削除を頻繁に行っている(アンインストール時に残るものはこちら)
バックアップアプリが実際に売っているのは「復元」
バックアップアプリの価値は、データを保管することではありません。保管だけならCSVでもできます。
差が出るのは3点です。
ひとつ目は、削除された項目の復旧。CSVを再インポートしても、削除前の商品IDやハンドル(URLの一部)は同じにならないことがあります。ハンドルが変われば商品ページのURLが変わり、被リンクも検索順位も失われます。アプリの復元はここを保ったまま戻すことを設計目標にしています。
ふたつ目は、差分の可視化。「いつ、どのフィールドが、何から何に変わったか」を並べて見せる機能です。事故が起きたことに気づくのが数日後、というケースでは、どの時点に戻すべきかを判断する材料が要ります。
三つ目は、部分復元。ストア全体を巻き戻すのではなく、壊れた1商品だけ、1コレクションだけを戻す操作です。全体復元は、事故後に追加された正常なデータまで消してしまうリスクがあります。
バックアップアプリ6本の比較
2026年9月1日時点のShopify App Store掲載情報です。
| アプリ | 最低料金 | 無料プラン | 課金の分母 | 評価(件数) | BFS | 日本語UI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Rewind Backups | 19 USD/月 | なし(7日間試用) | 月間注文数 | 4.2(545) | なし | なし |
| BackupMaster Backups | 19 USD/月 | 開発ストアのみ無料 | 月間注文数 | 4.8(108) | あり | なし |
| Talon Backups | 9 USD/月 | なし(7日間試用) | 商品件数 | 4.1(35) | あり | なし |
| Syncora: Backup & Restore | 6.99 USD/月 | あり(商品50件) | 商品件数+注文数 | 4.7(16) | あり | なし |
| Savepoint ‑ Backup & Restore | 9 USD/月 | あり(30日履歴) | 履歴保持期間 | 0(0件) | なし | なし |
| Failsafe Backup & Restore | 無料 | 完全無料 | ― | 0(0件) | なし | なし |
BFS=Built for Shopifyバッジ。日本語UIはApp Store掲載の対応言語欄で確認。
この表から読み取れることが3つあります。
課金の分母が2種類ある。Rewind、BackupMaster、Syncoraは月間注文数で価格帯が決まります。Rewindの19 USDプランは月300件まで、BackupMasterのEssentialsも月300件までです。一方Talonは商品件数で区切られており、9 USDプランは商品1,000件まで、注文と顧客のバックアップは19 USDプラン以上のオプション扱いです。
これは選定に直結します。商品5,000点を扱うが注文は月100件、という卸売寄りのストアなら、注文数課金のアプリが有利です。逆に商品30点で注文が月2,000件のD2Cストアなら、商品件数課金のTalonのほうが安く収まります。自店の「多いほう」がどちらかを先に決めてください。
バッジの分布が直感と逆。レビュー545件で最も規模が大きいRewind Backupsに、Built for Shopifyバッジがありません。バッジを持っているのはBackupMaster(108件)、Talon(35件)、Syncora(16件)という、より小さい3本です。バッジは管理画面への埋め込み方式やパフォーマンス基準を満たしていることを示すもので、バックアップの信頼性や復元成功率を保証するものではありません(バッジが保証していないものの整理はこちら)。バッジの有無だけで判断しないでください。
レビュー0件のアプリが2本ある。Savepointは2026年7月15日、Failsafeは2026年6月17日の公開で、いずれもまだレビューがありません。無料または低価格である反面、復元が実際に成功するかを第三者が検証した記録がないということです。バックアップアプリは「使わずに済むこと」を目的に入れるものなので、実績が積み上がりにくいカテゴリーでもあります。本番で頼る前に、テストストアで削除→復元を一度試すことを強く勧めます。
各アプリの中身
Rewind Backups
Rewind(カナダ・オタワ)が2016年1月から提供している、このカテゴリーで最も古く最大のアプリです。商品、テーマ、コレクション、顧客データなどを自動バックアップし、まとめて、あるいは個別に復元できます。
料金は19 USD/月(月300件まで)のBackup + Restoreと、99 USD/月(月600件まで)のProtection Suiteの2本立て。上位プランには24時間365日のダウンタイム監視、自動QAテスト、一括商品変更のアラート、ステージング環境が付きます。365日のバックアップ履歴とメタフィールドのバックアップは下位プランから含まれます。
注意点として、App Storeの評価は4.2で、5つ星が90%を占める一方、1つ星が6%(32件)あります。2026年8月23日付の1つ星レビューでは、解約したのに請求が続いているという申告が確認できます。単一のレビューを一般化はできませんが、解約手続き後の請求停止を自分で確認する運用は必要でしょう(アプリ課金の仕組み全般はこちら)。
向いているストア:ダウンタイム監視やステージング環境まで含めて、運用リスク全般を1本でまとめたい中〜大規模ストア。
BackupMaster Backups
オーストラリア・シドニーのBackupMasterが2017年8月から提供。Built for Shopifyバッジ取得済み、評価4.8(108件)と、この6本では最も評価が高い部類です。
バックアップ対象が広いのが特徴で、商品、コレクション、テーマ、ファイル、メタフィールド、メタオブジェクト、ブログ、メニュー、顧客、注文、翻訳までを日次および任意タイミングで保存します。App Store掲載情報では、SOC 2の年次監査、GDPR準拠、Microsoft Azureでのホスティングを明記しています。
料金は月間注文数で3段階。Essentials 19 USD(300件)、Pro 39 USD(600件)、Plus 79 USD(1,500件)で、年払いなら10%割引。バックアップのダウンロードとGoogle Driveへの同期、検証・拡張用のストア複製はPro以上です。Shopifyパートナーの開発ストア向けに、クライアントへ移管する前の期間だけ全機能を無料で使えるAgencyプランもあります。
対応言語は英語とドイツ語。2026年4月25日付のレビューでは、英語・ドイツ語以外の言語追加を要望する声が確認できます。
向いているストア:メタフィールドやメタオブジェクトで商品情報を組み立てており、検証用ストアへの複製も行いたいストア。
Talon Backups
米国ワシントン州のTalon Commerceが2017年6月から提供。Built for Shopifyバッジ取得済みで、この6本の中で唯一、明確に商品件数で課金します。
Basic 9 USD(商品1,000件)、Business 19 USD(商品5,000件+オプションで注文・顧客5万件)、Business Plus 35 USD(商品2万件+オプションで注文・顧客20万件)、Enterprise 69 USD(商品4万件)。全プランに1年分の履歴、日次自動バックアップ、任意タイミングのバックアップ、レコード単位の差分表示が含まれます。
ここで見落としやすいのが、メタフィールドのバックアップはBusiness Plus(35 USD/月)以上でのみ提供される点です。9 USDや19 USDのプランを見て「安い」と判断すると、メタフィールドが守られません。
評価は4.1(35件)で、5つ星が89%、1つ星が9%(3件)。2026年7月30日に更新されたレビューでは、Sidekickによる商品ページの変更で問題が起きた際、テーマのバックアップでは対応できずTalonで復旧できた、という具体的な事例が記載されています。
向いているストア:商品点数は多いが注文数は多くない、卸売寄り・カタログ型のストア。
Syncora: Backup & Restore
バングラデシュ・ダッカのShopiDevsが2025年1月から提供。Built for Shopifyバッジ取得済み、評価4.7(16件)です。
無料プランがあり、商品50件まで、ページとブログは無制限、履歴1か月という内容。有料はStarter 6.99 USD(商品200件・月300注文)、Growth 19.99 USD(商品750件・月600注文)、Pro 49.99 USD(商品2,000件・月1,000注文)で、商品件数と注文数の両方に上限がかかります。
有料プランではリアルタイムおよびスケジュールバックアップ、バージョン比較付きのワンクリック復元、自分のGoogle Driveへの自動コピー、ストア間の同期に対応します。顧客、ファイル、コレクション、テーマ、メタフィールド、メタオブジェクト、セグメントまで対象です。
向いているストア:小規模で予算を抑えたい、まず無料プランで動作と復元手順を確認したいストア。
Savepoint ‑ Backup & Restore
米国ミシガン州のAnchor Appsが2026年7月15日に公開した新しいアプリです。無料プランで日次自動バックアップ、完全なセルフ復元、CSV/JSON形式のワンクリックエクスポート、30日履歴が使えます。Protect 9 USD/月で店舗変更時の時間単位チェックポイントと90日履歴、Vault 19 USD/月で1年履歴。
設計上の特徴として、すべてのバックアップを再ダウンロード・復号して実店舗と照合してから有効とみなす検証工程、復元前に自動で退避コピーを取る仕組み(復元自体を取り消せる)、暗号化して独立した2社のストレージに保存する構成をApp Storeで説明しています。
ただしレビューは0件です。公開から2か月弱で、第三者による検証記録はまだありません。
向いているストア:無料で日次バックアップと自前エクスポートを確保したいが、復元を自分で検証する余力があるストア。
Failsafe Backup & Restore
メキシコのKeepstone Labsが2026年6月17日に公開。完全無料です。対応言語はスペイン語と英語。
バックアップ範囲がこの6本の中で最も狭く、そこが設計思想でもあります。対象は商品、バリエーション、在庫、コレクション、メタフィールドのみ。顧客と注文は含まれません。App Storeの説明文では「お客様の個人データは一切保存しません」と明記しており、Shopifyの権限要求も「商品の編集」だけに限定されています。
削除された商品をURLハンドルとSEO情報を保ったまま復旧すること、削除されたコレクションをルールと手動並び順ごと戻すこと、ロケーションごとの在庫数を復元することを主要機能として挙げています。復元後に作成されたデータは削除しない設計です。
レビューは0件です。
向いているストア:顧客データを外部アプリに渡したくない、商品カタログの事故だけ無料で守りたいストア。
導入前チェックリスト
- 自店の「多いほう」は商品件数か注文数か。課金の分母を先に確定する
- メタフィールドとメタオブジェクトが対象に含まれるか。Talonは35 USD/月以上
- 顧客と注文が対象に含まれるか。Failsafeは対象外、Talonはオプション
- テーマがバックアップ対象か。テーマ単体なら管理画面からのダウンロードでも代替できる
- 復元がストア全体か、項目単位か。全体復元しかできない場合、事故後の正常なデータを失う
- バックアップの実データを自分でダウンロードできるか。アプリを解約したあと手元に何も残らない構成になっていないか
- 無料トライアル中に、テストストアで削除→復元を一度実行したか
- 解約後に請求が止まったことを、次回請求日に自分で確認する手順を決めたか
まとめ
判断の順序は3つです。
1. Shopify標準で足りるか確認する。 商品点数が少なく、メタフィールドを使っておらず、手作業で復旧できる規模なら、CSVエクスポートとテーマのダウンロードで足ります。この記事のアプリは不要です。
2. 課金の分母を決める。 商品件数で課金されるTalonか、月間注文数で課金されるRewind・BackupMaster・Syncoraか。自店の構造と逆の分母を選ぶと、機能が同等でも月額が数倍変わります。
3. 無料期間中に復元を試す。 バックアップアプリは、取得できているかどうかではなく、戻せるかどうかで評価するものです。テストストアで商品を1件削除し、復元し、ハンドルとメタフィールドが元通りかを確認してください。これを実施していないバックアップは、まだバックアップではありません。
なお、本記事の料金・評価・バッジ情報は2026年9月1日時点のShopify App Store掲載内容です。バックアップアプリは料金改定とプラン再編が比較的多いカテゴリーなので、導入前に各アプリの掲載ページで最新の内容を確認してください。
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。