この記事でわかること
この記事の目次Contents閉じる開く
Shopifyの言語設定を開くと、日本語のほかに英語・中国語(簡体字)・韓国語と並べて追加できます。「最大20言語」と書かれているので、4言語くらいなら無料でいけそうに見えます。
ところが実際に運用を始めると、3言語目で作業が止まります。Shopify純正のTranslate & Adaptが自動翻訳できるのは2言語までで、3言語目からは商品タイトルも説明文もメタディスクリプションも、すべて手入力になるからです。
この制約はShopifyヘルプセンターには書かれていますが、管理画面の言語追加ダイアログには表示されません。App Storeには2026年8月2日付で「自動翻訳が2言語だけだった。どこにも書かれておらず、上限に達して初めて分かった」という趣旨のレビューが投稿されています。
この記事では、Shopifyの多言語機能がどこまで標準で完結するのか、Translate & Adaptが翻訳できないコンテンツは何か、3言語目以降でアプリを入れる場合に各アプリが「何を数えて」課金するのかを、一次情報で確認して整理します。調査日は2026年8月31日です。
先に結論
2言語(デフォルト言語+1言語)で足りるなら、アプリは不要です。 Translate & Adaptは無料で、自動翻訳の枠を使い切りません。
3言語以上を自動翻訳したいなら、有料アプリかCSVによる翻訳データの取り込みが必要になります。 ここで初めて費用が発生します。
アプリを比べるときは「対応言語数」ではなく「何語まで無料か」と「何単語まで無料か」の2つを見ます。 langifyは無料プランでも5言語まで扱えますが自動翻訳ではなく手動翻訳です。Weglotは無料プランが1言語・2,000単語で、単語数を超えると言語数が足りていても止まります。
管理画面が日本語で使えるのは純正のTranslate & Adaptだけです。 langifyの掲載言語はドイツ語・英語・イタリア語・フランス語・スペイン語、Weglotは英語のみです。
Shopifyの多言語機能はどこまで標準で完結するか
Shopifyヘルプセンターは、Liteプランを除くすべてのプランで1つのストアから最大20言語を販売できると明記しています。多言語販売の要件はBasicプラン以上、多言語対応テーマ(Shopifyの無料テーマはすべて対応)、テーマ側の言語セレクター、そしてTranslate & Adaptか互換のあるサードパーティ翻訳アプリ、またはCSVによる翻訳の取り込みです。
言語を公開すると、翻訳ページごとに固有のURLが生成されます。プライマリドメインが example.com でフランス語とドイツ語を公開した場合、example.com/fr と example.com/de が作られます。hreflangタグは自動で付与され、公開中の言語はサイトマップにも含まれます。 ここは標準機能で完結する部分で、多言語SEOの土台としては十分です。
チェックアウトについても、Shopifyは33言語のプロ翻訳を用意しています。ストアフロントの翻訳が未整備でも、決済画面は買い物客の言語で表示されます。
つまり「多言語で売る仕組み」自体は標準機能です。アプリが必要になるのは、その言語に流し込む訳文を誰が作るかという一点に絞られます。
「自動翻訳は2言語まで」が実際に意味すること
Translate & Adaptは開発元がShopify、料金は無料、2022年8月16日公開のアプリです。2026年8月31日時点のApp Storeでの評価は★4.5、レビュー件数は1,397件です。管理画面は日本語を含む21言語に対応しています。
ヘルプセンターの自動翻訳の項には「自動翻訳できるのは最大2言語です」と明記されています。ここで注意したいのは、この2枠が言語ごとに消費される点です。App Storeには2026年7月30日付で「手動で翻訳していたつもりの言語が、無料の自動翻訳枠を1つ消費していた」という趣旨のレビューもあります。
自動翻訳の挙動にも押さえておきたい仕様があります。
自動翻訳の対象は「まだ翻訳していないコンテンツ」と「同期が切れたコンテンツ」だけです。 手動で編集した訳文は上書きされません。これは安全側の設計ですが、裏を返すと新商品を追加するたびに、言語ごとに自動翻訳を再実行しないと訳が入りません。 商品の入れ替えが多いストアでは、この再実行が定常作業になります。
ポリシーは自動翻訳の対象外です。 特定商取引法に基づく表記や返品ポリシーは、手動で翻訳するしかありません。ヘルプセンターも法務・ポリシーページについては専門の翻訳者への相談を勧めています。
なお、翻訳エンジンの説明はShopifyの情報源のあいだで表記が揃っていません。App Storeの掲載文はGoogle翻訳を使うと書いており、ヘルプセンターは「ShopifyのAI翻訳による」と書いています。どちらが現在の実装かは公式情報からは確定できませんでした。
Translate & Adaptでは翻訳できないもの
ヘルプセンターは、Translate & Adaptで翻訳できないコンテンツを列挙しています。運用上インパクトが大きいものを挙げます。
- タグ(商品タグ、記事タグ、ブログタグ)
- コレクションのフィルター
- 商品画像
- Shopify Formsアプリで作成したフォーム
- 手動決済方法の説明文
- Shopifyの翻訳可能リソースやストアフロントロケールファイルとして登録されていないサードパーティアプリのコンテンツ
タグが翻訳できないことは、絞り込み機能にそのまま跳ね返ります。タグをフィルターに使っているストアでは、外国語で閲覧している買い物客にタグフィルターが表示されません。
URLまわりにも制約があります。/products/en-ca/shoes を /products/es-mx/zapatos のように翻訳することはできますが、products の部分は翻訳できません。 また、URLハンドルの翻訳はマーケット単位で分けられず、その言語が表示されるすべてのマーケットに一律で適用されます。
SEO設定にも独特の挙動があります。商品のメタタイトルとメタディスクリプションを既定のまま使っている場合、これらは翻訳対象になりません。 既定設定は商品タイトルと説明文から自動生成されるため、翻訳済みのタイトルと説明文がそのまま使われるからです。逆に、メタタイトルを手で書き換えているストアでは、その分だけ翻訳作業が増えます。
言語そのものにも対象外があります。Translate & Adaptで翻訳できない言語として、ベンガル語、タガログ語(フィリピン語)、ハワイ語、ラテン語など14言語が挙げられています。東南アジア向けにタガログ語を検討している場合は、この時点で候補から外れます。
消えるもの、残るもの
多言語運用で事故が起きやすいのは、翻訳を作るときではなく、やめるときです。
アプリをアンインストールしても、作成した翻訳は削除されません。 これは良い挙動です。削除したい場合は、アンインストール前にアプリ内で消すか、あとからCSVの書き出しと取り込みで消すことになります。
言語を「非公開」にすると、翻訳は残りますが、その言語のURLは404になります。 ヘルプセンターは非公開にする前にリダイレクトを作成するよう案内しています。すでに検索エンジンにインデックスされている言語を止めるときは、この作業を飛ばすと流入を丸ごと失います。
言語を「削除」すると、その言語の翻訳はすべて恒久的に削除されます。 再度追加しても訳文は戻りません。
もっとも見落としやすいのが、デフォルト言語の変更です。 切り替え先の言語に既存の翻訳があった場合、それらは削除されます。日本語をデフォルトにしているストアを英語デフォルトに切り替えると、それまで作った英語の翻訳が消えます。ヘルプセンターは変更前の書き出しを推奨しています。
3言語目からの選択肢
自動翻訳の枠を使い切ったあとの選択肢は3つです。
ひとつはCSVです。Shopifyは翻訳の書き出しと取り込みを標準で提供しており、「未翻訳のコンテンツのみ」「同期が切れたもののみ」といった絞り込みで書き出せます。訳文は自分で用意する必要がありますが、追加費用はかかりません。翻訳会社に発注する運用なら、これが最も素直です。ただし取り込みは二次言語にしか適用されず、デフォルト言語のコンテンツは更新できません。
ふたつめが翻訳アプリです。ここからは費用が発生します。
みっつめは、そもそも言語を増やさないという判断です。翻訳の品質を維持できない言語を増やすより、2言語を作り込むほうが成果につながる場合があります。
翻訳アプリは何を数えて課金するか
主要アプリの2026年8月31日時点のApp Store掲載内容を、同じ軸で並べます。
| 項目 | Shopify Translate & Adapt | langify | Weglot |
|---|---|---|---|
| 開発元 | Shopify | langify GmbH & Co. KG(ドイツ) | Weglot(フランス) |
| 課金の単位 | 自動翻訳の言語数のみ | 言語数+翻訳単語数 | 言語数+翻訳単語数 |
| 無料プラン | 無料(自動翻訳2言語) | 手動翻訳無制限・最大5言語 | 1言語・2,000単語 |
| 最安の有料プラン | なし | 17.50 USD/月 | 17 USD/月 |
| 評価 | ★4.5 | ★4.7 | ★4.5 |
| レビュー件数 | 1,397件 | 680件 | 788件 |
| 管理画面の日本語 | あり | なし | なし |
| 請求 | Shopify請求 | Shopify請求 | Weglotが別途請求する場合あり |
表から読み取れることは3つあります。
無料プランの意味が3者でまったく違います。 Translate & Adaptの無料は「自動翻訳が2言語まで無料」、langifyの無料は「手動翻訳なら5言語まで無料」、Weglotの無料は「1言語・2,000単語まで無料」です。langifyの無料プランは言語数だけ見ると最も広いのですが、自動翻訳ではありません。
単語数課金は、商品数ではなく文字量で効いてきます。 Weglotは2,000単語で1言語の商品ページを数十点まかなうのが精一杯です。langifyも有料プランの無料単語枠は10,000語(Basic)から200,000語(Premium)まで段階的で、超過分はAI翻訳の従量課金になります。商品説明文が長いストアほど、想定より早く上限に達します。
Weglotの請求はShopifyの請求書と分かれる場合があります。 App Storeの掲載ページに「外部請求がWeglotから別途発生する場合がある」と明記されています。Shopifyの請求書だけを見ていると、費用の全体像を把握し損ねます。
各アプリの位置づけ
Shopify Translate & Adapt
2言語で完結するストア、またはCSVで訳文を用意できるストア向けです。 管理画面が日本語で、商品ページから「ローカライズ」を選ぶだけで編集画面に入れます。テーマエディタからロゴや画像を言語別・マーケット別に差し替えられる点は、他のアプリにない標準統合の利点です。
制約は本文で述べたとおりです。加えてApp Storeには2026年6月9日付で、単位の自動変換を止められない、翻訳しない指定が効かないことがある、という趣旨のレビューがあります。評価は★4.5ですが、1つ星が4%(59件)あり、その多くが2言語制限と挙動の不安定さに関するものです。
langify
5言語以上を扱いたいが、訳文は自分たちで作る、あるいは段階的にAI翻訳を足していくストア向けです。 2014年3月24日公開と歴史が長く、サードパーティアプリのコンテンツを翻訳できる点を機能として掲げています。Translate & Adaptが翻訳できない領域に手が届く可能性があるのは、この点です。
料金は2026年8月31日時点で、Freeが手動翻訳無制限・最大5言語、Basicが17.50 USD/月で最大20言語・AI翻訳用の無料単語10,000語・サードパーティアプリ翻訳、Growthが29.95 USD/月で一括翻訳・無料単語50,000語、Premiumが59.95 USD/月で無料単語200,000語です。いずれもUSD建て、30日ごとの課金です。
管理画面に日本語がないため、設定を担当する人に英語かドイツ語の読解が必要です。
Weglot
多言語SEOを重視し、訳文の品質管理に手をかけるストア向けです。 DeepL・Google・Microsoftの機械翻訳を切り替えられること、ブランドの語調を学習させるカスタムAI言語モデル、用語集(グロッサリー)のルール設定を機能として掲げています。
料金は2026年8月31日時点で、Freeが1言語・2,000単語、Starterが17 USD/月で1言語・10,000単語、Businessが32 USD/月で3言語・50,000単語、Proが87 USD/月で5言語・200,000単語です。年払いで17%引き、Starter以上に14日間の無料トライアルがあります。
注意すべきは、言語数と単語数の両方が上限になっている点です。 3言語を扱うにはBusiness以上が必要で、そのうえで50,000単語に収まる必要があります。
ケース別の選び方
日本語と英語の2言語で運用する
Translate & Adaptだけで完結します。追加費用はかかりません。新商品を追加したら自動翻訳を再実行する、という運用ルールだけ決めておきます。
3言語以上だが、訳文は翻訳会社に出す
Translate & AdaptとCSVの組み合わせで足ります。「未翻訳のコンテンツのみ」で書き出して発注し、戻ってきたファイルを取り込みます。アプリ費用は発生しません。
3言語以上を機械翻訳ベースで素早く立ち上げたい
langifyかWeglotが候補になります。商品数が多く説明文が長いならlangify(無料単語枠が段階的に大きい)、言語数が少なく品質管理に手をかけたいならWeglot(用語集とカスタムAIモデル)という分け方になります。
管理画面が日本語でないと運用できない
現時点では純正のTranslate & Adapt以外に選択肢がありません。この条件を最優先するなら、2言語に絞るかCSV運用に寄せる判断になります。
なお、App Storeで関連アプリとして表示されるT Lab - AI Language Translateは、Built for Shopifyバッジを保有し、★4.9・約950件のレビューがあります。本記事では料金体系と対応言語の詳細まで確認していないため、比較表には含めていません。候補に入れる場合は掲載ページで直接確認してください。
導入前チェックリスト
- 自動翻訳が必要な言語は2つ以内か(2つ以内なら費用はゼロ)
- タグをフィルターに使っていないか(使っている場合、外国語表示で機能しない)
- メタタイトルを手で書き換えているか(書き換えていると翻訳対象が増える)
- 商品説明文の分量はどのくらいか(単語数課金のアプリを検討するなら必須)
- 対象言語がTranslate & Adaptの非対応14言語に含まれていないか
- ポリシーページの翻訳を誰が担当するか(自動翻訳の対象外)
- デフォルト言語を将来変更する可能性はあるか(変更時に翻訳が消える)
- 言語を止める場合のリダイレクト計画があるか
- 請求がShopifyにまとまるか、アプリ側から別途発生するか
まとめ
Shopifyの多言語対応は「最大20言語」ですが、無料で自動翻訳できるのは2言語までです。この1点を最初に知っているかどうかで、言語設計の順番が変わります。
判断の順序は次のとおりです。
- 2言語で足りるか確認する。足りるならアプリは不要
- 3言語目以降の訳文を、機械翻訳で作るか人が作るかを決める。人が作るならCSVで足りる
- 機械翻訳を使うなら、言語数と単語数のどちらが先に上限に当たるかを、自社の商品説明文の分量から見積もる
- 管理画面の言語とサポート体制を確認したうえで、無料プランまたは無料トライアルで実際に1言語だけ流してみる
料金と仕様は変更されます。導入前に、Shopifyヘルプセンターと各アプリのApp Store掲載ページで最新の内容を確認してください。
Shopifyの標準カゴ落ちメールが対象にしているのは「連絡先情報を入力してから10分以上完了しなかったチェックアウト」だけです。送信されない条件、新オートメーションへの切り替えが取り消せない仕様、3か月で自動削除される保存期間をヘルプセンターの記載で確認し、App Storeのカゴ落ちカテゴリ321本がWhatsApp偏重である実態と、日本のストアが実際に選べる選択肢を整理しました。調査日は2026年8月31日です。