この記事でわかること
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Shopifyのメール配信を比較しようとすると、料金表が噛み合いません。純正は「毎月1万通まで無料」と書いてあり、Klaviyoは「250件まで無料」、Omnisendは「250件まで無料、月500通」と書いてあります。通数と件数が混ざっているので、そのまま並べても安いほうが決まりません。
これは表記の揺れではなく、課金する対象そのものが違うからです。Shopifyの純正アプリは送った通数で課金し、KlaviyoとOmnisendはリストに載っている連絡先の数で課金します。同じ通数を送っても、リストが大きいストアと小さいストアで金額の出方が逆になります。
もうひとつ、2026年8月31日時点で押さえておきたい変更があります。**Shopify EmailはShopify Messagingに名称が変わりました。**メールだけのアプリではなくなり、SMSとWhatsAppを同じ管理画面から扱うアプリになっています。「Shopify Email」で検索して出てくる記事の多くは、この変更前の情報です。
この記事では、Shopifyヘルプセンターで純正の課金ルールを正確に押さえたうえで、外部アプリの料金体系がなぜ横並びで比較できないのかを整理します。調査日は2026年8月31日です。
先に結論
リストが大きく、配信頻度が低いストアは、純正のShopify Messagingが構造的に有利です。連絡先が何件あっても課金されず、送った通数だけで計算されます。
リストが小さく、配信頻度が高いストアは、外部アプリの無料枠や下位プランのほうが安く収まることがあります。KlaviyoとOmnisendはどちらも250件まで無料です。
セグメント配信やフロー設計を作り込みたいなら外部アプリです。ただしそれは「料金が高いから機能が多い」のではなく、料金の測り方が顧客データの規模に紐づいているためだと理解しておくと、コストの読み違いを防げます。
カゴ落ちメールだけが目的なら、純正で完結します。後述するとおり、カゴ落ちの自動配信は無料枠の1万通にも数えられません。
Shopify Emailは、Shopify Messagingになった
Shopifyヘルプセンターの該当ページは、現在「Multi-channel marketing with Shopify Messaging」というタイトルで、冒頭に「Shopify Messaging, formerly known as Shopify Email」と書かれています。App Storeの掲載ページも shopify-messaging に移りました。
扱えるチャネルはメール、SMS、WhatsAppの3つです。管理画面からキャンペーンを作成して、連絡先リストに登録した購読者へ送信します。メールとSMSについてはマーケティングオートメーションも作成できます。
対象プランはBasic、Grow、Advanced、Shopify Plusです。料金は送信したメッセージ数で計算されます。
利用にあたっての要件がいくつかあります。有効な有料プランであること、オンラインストア販売チャネルがインストールされていること、決済プロバイダが設定されていること、ShopifyのToSとAcceptable Use Policyに準拠していることです。Pause and Buildプランまたは無料トライアル中のストアでは、キャンペーンの作成と自分宛のテスト送信はできますが、購読者への送信はできません。
もうひとつ見落としやすいのが、プライバシー設定でShopify Network Intelligenceを有効にする必要がある、という注記です。プライバシー方針の都合でこの設定を切っているストアでは、そもそもこの機能が使えません。
無料の1万通が、正確にはどこまでを指すのか
ここが純正アプリを評価するうえで最も重要な部分です。ヘルプセンターの料金ページに書かれているルールを整理します。
毎月1万通が無料で、月初にリセットされます。 対象プランのストアはすべて、暦月の初めに1万通の無料枠を持ちます。1万通を超えた分から課金が始まります。
通数は宛先アドレス単位で数えます。 1通のキャンペーンを800人の購読者に送れば、800通としてカウントされます。
無料枠は月内の全キャンペーンで共有されます。 キャンペーンごとに1万通ではありません。
超過分は1,000通あたり1ドルです。 これが30万通までの単価で、30万通を超えると1,000通あたり0.65ドル、75万通を超えると1,000通あたり0.55ドルに下がります。なお課金額が0.005ドルに達するまでは請求されません。
マーケティングオートメーションの配信も1万通に数えられます。ただしカゴ落ちの自動配信だけは常に無料で、無料枠を消費しません。 この例外は、メール施策の中で最も費用対効果が高いとされるカゴ落ちリカバリーが、純正なら実質無償で運用できることを意味します。
送った分だけの課金で、使い残した通数は翌月へ繰り越されません。
ヘルプセンターの例では、10月に6,000人へ2回キャンペーンを送った場合、合計12,000通のうち1万通が無料、超過2,000通が1,000通あたり1ドルで2ドル、と計算されています。
外部アプリは「連絡先数」で測る
KlaviyoとOmnisendは、どちらもApp Storeの表記が「Free to install」です。無料でインストールでき、費用はプランに応じて発生します。ここまでは同じですが、プランの刻み方が純正と根本的に違います。
Klaviyo: Email Marketing & SMS(開発元Klaviyo、評価4.7・レビュー3,023件)の料金表は、Freeプランが「メールは連絡先250件まで永久無料、SMSは150クレジットまで無料」です。有料プランはSMSが月15ドル(1,250クレジットまで、キャリア手数料込み)、Emailが月20ドルで、この20ドルは連絡先251〜500件の価格と明記されています。そして「Upgrade as you grow」と書かれているとおり、連絡先が増えると金額が上がります。
Omnisend Email Marketing & SMS(開発元Omnisend、評価4.8・レビュー2,962件)はFreeプランが連絡先250件まで、月500通、Web Push 500件までです。Standardプランは月16ドルからで、これは連絡先500件までの価格、月6,000通の上限付きです。Proプランは月59ドルからで連絡先2,500件まで、メールは無制限、SMSは1通0.007ドルから追加できます。どちらのプランにも「rises as your list grows」という注記が付いています。
つまり両社とも、公開されている金額は最小構成の入口価格であって、リストが増えたときの金額はApp Storeの料金表からは分かりません。
比較記事が具体的な金額を出せない理由
これが、この分野の比較記事が最後まで曖昧になる構造的な原因です。
純正のShopify Messagingは、送信数あたりの単価がヘルプセンターに全段階公開されています。自分の送信通数を入れれば、誰でも同じ金額を計算できます。一方、連絡先数課金のアプリがApp Storeに載せているのは入口の1〜2段階だけです。連絡先1万件でいくらになるかは、各社の料金ページで自分の件数を選ばないと出てきません。だから比較記事は「Klaviyoは月20ドルから」としか書けず、その「から」の先が読者の実際のコストになります。
この非対称性そのものが判断材料になります。**送信通数は自分でコントロールできますが、連絡先数は事業が伸びれば自動的に増えます。**費用の予測しやすさという観点では、この差は小さくありません。
もう1点、どちらのアプリの料金ページにも「External charges may be billed by 開発元 separately from your Shopify invoice」という注記があります。Shopifyの請求書とは別に、アプリ提供元から直接請求される可能性があるという意味です。Shopifyの請求書だけを見てコストを管理していると、この分が見えません。
同じ軸で並べる
2026年8月31日時点のShopifyヘルプセンターおよびShopify App Storeの記載に基づきます。
| 項目 | Shopify Messaging | Klaviyo: Email Marketing & SMS | Omnisend Email Marketing & SMS |
|---|---|---|---|
| 開発元 | Shopify | Klaviyo | Omnisend |
| 課金の単位 | 送信通数 | 連絡先数 | 連絡先数 |
| 無料の範囲 | 毎月1万通 | 連絡先250件まで永久無料 | 連絡先250件・月500通まで |
| 公開されている超過単価 | 1,000通1ドル/0.65ドル/0.55ドル | 記載なし | 記載なし |
| 入口の有料プラン | なし(従量のみ) | Email 月20ドル(251〜500件) | Standard 月16ドル(500件まで) |
| 上位プランの金額 | 該当なし | App Storeの料金表では確認できず | Pro 月59ドルから(2,500件まで) |
| チャネル | メール、SMS、WhatsApp | メール、SMS、WhatsApp | メール、SMS、Web Push |
| 対応言語 | 確認できず | 英語ほか9言語(日本語なし) | 英語のみ |
| Shopify Flow | 別アプリとして案内 | 連携あり | 連携あり |
| 評価(件数) | 4.7〜4.8(約4,247) | 4.7(3,023) | 4.8(2,962) |
| 請求経路 | Shopifyの請求書 | 開発元から別途請求の可能性あり | 開発元から別途請求の可能性あり |
この表から読み取れることが3つあります。
日本語対応は、この3本のいずれからも確認できません。 KlaviyoのApp Store表記は英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語(ブラジル)、韓国語、イタリア語、ポーランド語、スウェーデン語、オランダ語の10言語で、日本語は含まれていません。Omnisendは英語のみです。日本語で運用するなら、管理画面の言語ではなく「メール本文を日本語で書けるか」という別の問題として整理する必要があります。
請求経路が違います。 純正は追加のメール費用がShopifyの請求書に「Marketing emails」として前月分から加算されます。外部アプリは、開発元から別途請求される可能性が明記されています。アプリのコスト管理をShopifyの請求書だけで完結させたいなら、この違いは実務上大きくなります。
カゴ落ちの扱いが違います。 純正ではカゴ落ちの自動配信が無料枠を消費しません。外部アプリのカゴ落ちフローは、当然その連絡先数のプラン料金の中で動きます。カゴ落ちリカバリーだけを目的にアプリを検討している場合、純正で足りる可能性が高いということです。
純正では届かないところ
ヘルプセンターに、判断の分かれ目がはっきり書かれています。カスタムのマーケティングオートメーションを作りたい場合、あるいはサードパーティアプリを含む自動化を組みたい場合は、Shopify MessagingではなくShopify Flowでワークフローを作るように案内されています。
これは、純正のオートメーションが「あらかじめ用意された条件で動くもの」であり、条件を自由に組み立てる用途は想定されていない、という線引きです。閲覧履歴に基づく分岐や、購入回数と商品カテゴリを組み合わせたセグメントを前提にしているなら、純正のオートメーション単体では届きません。
選択肢は2つです。Shopify Flowで組んで純正のメールを呼び出すか、そうした設計を前提に作られた外部アプリを使うか。前者は追加費用がかからない代わりに設計と保守を自分で持ち、後者は費用が連絡先数に比例します。
ケース別の選び方
月の送信通数が1万通に収まる。 純正のShopify Messagingで十分です。費用はゼロで、カゴ落ち自動配信は通数にも数えられません。
リストが数万件あり、月に1〜2回だけ配信する。 純正が構造的に有利です。たとえば20万通を送った場合、無料枠1万通を差し引いた19万通が1,000通1ドルなので190ドルになります。同じ規模のリストを連絡先数課金のアプリで持つ場合の金額は、各社の料金ページで自分の件数を選んで確認してください。
リストは小さいが、ほぼ毎日配信する。 連絡先250件までなら、KlaviyoもOmnisendも無料枠に収まります。ただしOmnisendの無料枠は月500通という通数上限があるため、配信頻度が高いとこちらの壁に先に当たります。
セグメント設計とフロー設計を作り込みたい。 外部アプリ、またはShopify Flowとの併用です。純正のオートメーションでは条件を自由に組み立てられない前提で設計してください。
日本語の管理画面が必須。 この3本では条件を満たせません。日本語対応を明示している別のメールアプリを、対応言語の表記から探し直す必要があります。
導入前チェックリスト
- 月の送信通数を、宛先アドレス単位で試算したか(配信回数×購読者数)
- その通数が1万通の無料枠の内側か外側か
- リストが今後1年でどのくらい増える見込みか
- 課金の単位が送信数か連絡先数か、自社の伸び方とどちらが合うか
- カゴ落ちリカバリーが主目的かどうか
- カスタムのオートメーションが必要か(必要ならShopify Flowが前提)
- プライバシー設定でShopify Network Intelligenceを有効にできるか
- Pause and Buildプランに切り替える予定はないか
- 費用がShopifyの請求書に乗るのか、開発元から別途請求されるのか
- メール本文を日本語で運用できるか
まとめ
メール配信アプリの選定は、機能の比較から入ると判断できません。順序を変えると決まります。
まず、自社の月間送信通数を宛先アドレス単位で計算します。配信回数×購読者数です。この数字が出ないうちは、どの料金表を見ても比較になりません。
次に、その通数が純正の無料枠1万通の内側か外側かを見ます。内側なら費用はゼロで、外側でも1,000通1ドルという公開単価で総額を先に計算できます。
そのうえで、純正のオートメーションで組めない条件があるかを確認します。カスタムの分岐が必要ならShopify Flowか外部アプリ、必要ないならここで検討は終わりです。外部アプリを選ぶ場合は、入口価格ではなく自社の連絡先数での金額を各社の料金ページで確認してください。
料金と機能はいつでも変更されます。この記事の数値は2026年8月31日時点のShopifyヘルプセンターおよびShopify App Storeの記載に基づくものです。導入前に最新の内容を確認してください。
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