この記事でわかること
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Shopify管理画面の「分析」>「レポート」>「コンバージョン率の内訳」を開くと、4段のファネルが表示されます。全セッション、カート追加のあったセッション、チェックアウトに到達したセッション、チェックアウトを完了したセッション。各ステップは「そのステップのセッション数 ÷ 全セッション数」として定義されています。
誠実なレポートです。カートとチェックアウトの間で何人が落ちたかを正確に教えてくれます。できないのは——そしてShopify管理画面のどこにもないのは——そのセッションを1件でも「見る」ことです。
Shopify Analyticsが実際に測っているもの
Shopifyヘルプセンターに載っているBehavior reportsは固定のリストです。コンバージョン率の内訳、コンバージョン率の推移、ウェブパフォーマンスレポート、商品レコメンドのコンバージョン、検索クエリ別の検索、クリックのなかった検索、結果のなかった検索、検索コンバージョンの推移、ランディングページ別セッション、デバイス別セッション。
すべて集計値です。単位はセッションであり、Shopify自身の列定義がそれを明言しています。「Sessions that reached checkout」は「チェックアウト中にキー入力やマウスクリックといったユーザー入力があったセッションの総数」と説明されています。Shopifyは「キーが押された」ことを知っています。どのキーを、どのフィールドで押したか、その次に何が起きたかは保持していません。
アプリが必要かを判断する前に、押さえておく価値のある事実が3つあります。
Shopifyは既にbotを除外している。 分析とレポートは人間トラフィックとbotトラフィックのフィルタリングに対応しています。つまり比較対象となるセッション数は生ログではありません。あとからアプリがはるかに多い訪問者数を表示した場合、その差は多くの場合、アプリ側が除外していないbotであって、追加の洞察ではありません。
セッション系指標の履歴は2022年10月1日で止まる。 Shopifyは、セッションベースの指標の履歴データがその日付より前には遡れないと明記し、影響を受ける指標を列挙しています。セッション数、ページビュー、セッションあたりページビュー、直帰率、カート追加率、セッション時間、そしてチェックアウトファネル全体です。この下限は「集計値」の話です。リプレイの保持期間はまったく別の、はるかに短い時計で動きます。
Core Web Vitalsは既に用意されている。 Largest Contentful Paint、Interaction to Next Paint、Cumulative Layout Shiftが、推移・ページURL別・ページタイプ別で標準レポートとして出ます。本当の疑問が「商品ページが遅いのか」であれば、リプレイアプリは不要ですし、追加すること自体がストア速度に影響します。
結論はこうです。Shopifyは「どれだけ」と「どこで」を教えます。「なぜ」は絶対に教えません。そこだけはアプリしか選択肢がなく、そして料金がややこしくなるのもここからです。
これらのアプリが売っている「単位」は同じではない
このカテゴリのリスティングはどれも同じ3点を掲げています。セッションリプレイ、ヒートマップ、AIサマリー。ところが料金表を横に並べると、プラン同士が比較できなくなります。下敷きになっているメーターが違うためです。
| アプリ | 無料プラン | 最初の有料プラン | 課金の分母 | 無料プランの保持期間 |
|---|---|---|---|---|
| Microsoft Clarity: AI Insights | 無料(唯一のプラン) | — | リスティング上は従量課金なし | 再生データ30日 |
| MIDA Replay, Heatmap & Insight | 250セッション/月 | 9.90ドル / 5,000セッション | セッション数 | 30日 |
| Propel Replay, Survey, Heatmap | 750ページビュー/月 | 9.90ドル / 20,000ページビュー | ページビュー数 | 30日 |
| Lucky Orange Heatmaps & Replay | 100セッション/月 | 19ドル / 500セッション | セッション数 | 30日 |
| Hotjar Install | 無料プランなし | 0.99ドル | なし(インストーラー) | 該当なし |
数値はすべて各アプリのShopify App Storeリスティング(USロケール、2026年9月2日確認)から取得。
9.90ドルの行を見てください。MIDA Replay, Heatmap & Insightは5,000セッションを売っています。Propel Replay, Survey, Heatmapは20,000ページビューを売っています。この2つは「4倍差」ではありませんし、自店の「セッションあたりページビュー」を知るまでは比較すらできません。そしてその指標は、都合よくShopifyが標準でレポートしてくれます。
自店の数値で計算してみてください。セッションあたり3ページビューなら、20,000ページビューはおよそ6,600セッションに相当し、同じ価格でPropelがMIDAを上回ります。5ページビューなら4,000セッションで、MIDAが上回ります。8ページビュー——コレクションを深く回遊するストアなら十分あり得ます——ならPropelのBasicは2,500セッション分で、MIDAの半分です。回遊の深さ次第で2アプリの順位が入れ替わるということは、あなたのストアの前提を聞かずに一方を上位に置くまとめ記事は、唯一重要な工程を飛ばしているということです。
同じ罠は、セッション課金の2本の間にもあります。Lucky OrangeのLaunchは19ドルで500セッション。MIDAのBasicは9.90ドルで5,000セッション。半額で10倍の量です。ただしこれはどちらかが破格という話ではありません。Lucky Orangeは全プランにライブチャット、アンケート、アナウンス、フォーム分析、無制限のチームメンバーを含めており、リプレイを1人で眺める運用ではなくCROチーム向けに値付けされているからです。
Microsoft Clarity:無料。ただしメーターは「時間」

出典: Shopify App Store(Microsoft Clarity: AI Insights、2026-09-02時点)
Microsoft Clarity: AI Insightsの提供元はMicrosoft Clarity(米国ワシントン州レドモンド)で、リスティングに表示されるプランは「Free」の1つだけです。評価は4.6、レビュー2,011件、Shopify App Storeでの公開日は2025年7月17日です。料金表にセッション上限もページビュー上限もありません。
代償は保持期間です。Microsoftの公式ドキュメントは明確で、Playback Data(録画を再生するために取得されるデータ)の保持期間は30日です。ラベル付け・お気に入り登録したセッションは9か月、Click Dataとヒートマップデータも9か月です。保持期間を過ぎると、バックアップを含むClarityサーバー上のデータは削除され復元できない、と明記されています。
多くのストアではこれで問題ありません。1か月見なかったリプレイは、そもそも見ないリプレイだからです。問題になるのは2つの場面です。ひとつは季節比較——今年の11月に昨年11月のチェックアウト挙動を見たい場合。もうひとつは、顧客から6週間後に報告される、じわじわ効くタイプの不具合です。どちらかに当てはまるなら、見つけた時点でセッションをお気に入り登録するのは「習慣」ではなく、データを残す唯一の手段になります。
Clarityのリスティングは、オンラインストアのテーマとチェックアウトページの編集権限、直近60日の注文履歴の閲覧を含む、広めのアクセスを要求します。ピクセルベースの分析アプリとしては普通ですが、承認前に読む価値はあります。この点はShopifyアプリの権限画面が実際に何を意味するかで別途整理しています。
MIDA Replay, Heatmap & Insight:1ドルあたりの量が最も多い

出典: Shopify App Store(MIDA Replay, Heatmap & Insight、2026-09-02時点)
MIDA Replay, Heatmap & InsightはBuilt for Shopifyバッジを取得しており、評価4.9、レビュー521件。開発元のMIDAはシンガポール所在です。無料プランは月250セッション・保持30日、Basicが9.90ドルで5,000セッション、Growthが24.90ドルで15,000セッション、Enterpriseが44.90ドルで40,000セッションです。
料金表で見落としやすい点が2つあります。ひとつは、有料3プランすべてに Lifetime Analytics Data と記載されていること。支払いを始めた時点で集計データの期限が消える設計で、Clarityの30日とは保持の約束がはっきり異なります(ただし個々のリプレイを何日保持するかはリスティングに記載がありません)。もうひとつは、AI Assistantがどのプランにも含まれていないこと。ティアに応じて+5ドル / +10ドル / +15ドルのアドオンなので、マーケティング文の主役であるアシスタントを使うなら9.90ドルのプランは実質14.90ドルです。
チェックアウトの録画はEnterpriseプラン(44.90ドル)に現れます。
Propel Replay, Survey, Heatmap:ページビュー課金と、チェックアウトのPlus壁

出典: Shopify App Store(Propel Replay, Survey, Heatmap、2026-09-02時点)。日本語ロケールでは「Propel リプレイ・アンケート・ヒートマップ」と表示されます
Propel Replay, Survey, HeatmapもBuilt for Shopify取得済みで、評価4.9、レビュー622件。開発元Propel Commerceはカナダ・バンクーバー所在です。無料のSamplerプランは月750ページビュー、Basicが9.90ドルで20,000、Plusが14.90ドルで30,000、Premiumが39.90ドルで80,000です。
このリスティングはチェックアウトの制約について異例なほど率直で、引用に値します。このカテゴリで最も多い落胆がここだからです。チェックアウトのセッション録画はShopify Plusマーチャント向けであり、それを含むエンタープライズプランは月59.90ドルからと明記されています。インストール理由が「チェックアウトページで何が起きているか見たい」で、プランがBasic / Grow / Advancedなら、この比較のどのアプリでも解決しません。Shopifyがチェックアウトを外部スクリプトへ開放していないためで、Plusなしでチェックアウトをどこまでカスタマイズできるかと同じ制約です。
Premium未満での差別化要因は、botと競合の検出です。購入せずに広告予算を消費しているIPとトラフィックソースを特定します。IPと国の除外は無料プランではなく9.90ドルのBasicからです。
Lucky Orange Heatmaps & Replay:チーム向けの値付けと、途中で終わるリスティング

出典: Shopify App Store(Lucky Orange Heatmaps & Replay、2026-09-02時点)
Lucky Orange Heatmaps & Replayの開発元はLucky Orange LLC(米国カンザス州オーバーランドパーク)、App Store公開日は2014年7月8日、評価4.7・レビュー824件です。App Storeの料金表はFree(100セッション、保持30日)、Launch 19ドル(500セッション)、Build 39ドル(3,500セッション、保持60日)、Grow 89ドル(10,000セッション、保持60日)と並びます。
この表は価格表の全部ではありません。Lucky Orange自身のプランページには、Shopifyリスティングに表示されない上位2ティアがあります。Expandが月249ドル・50,000セッションから、Scaleが月1,049ドル・300,000セッションからです。将来の成長を見込んでアプリを選ぶなら、App Storeのリスティングではなくベンダー自身の価格ページを見るのは任意ではありません。リスティングの最上段は上限ではないからです。
保持期間も別売りです。有料プランの基本保持は60日からで、90日・180日・365日へのアップグレードが用意され、サイトの追加は1件5ドルです。AIレイヤーのDiscovery AIもプランに応じて+5ドル / +10ドル / +20ドルのアドオンで、MIDAやPropelと同じアンバンドルのパターンです。
米国マーチャントによる直近のレビューが、トレードオフをよく要約しています。ヒートマップは優秀で分析も明快だが、GA4連携がもっと分かりやすいと良かった、そしてブランド向けチャット機能を最初はサポートチャットだと勘違いした、という内容です。リプレイアプリというより広めのツールキットであり、それが買う理由にも買わない理由にもなります。
「Hotjar Install」はHotjarではない

出典: Shopify App Store(Hotjar Install、2026-09-02時点)
App StoreでHotjarを検索すると、Hotjar Installというリスティングが出ます。月0.99ドルから、評価4.4・レビュー87件。開発元はDualsided(米国カリフォルニア州ビスタ)で、説明文にもはっきり書かれています。このアプリでHotjarを実際に使うにはHotjarの有効なアカウントが必要であり、開発元はHotjar社と提携しておらず、Hotjarアカウントを管理する権限も持たない、と。
つまり0.99ドルで買えるのは、テーマ変更をまたいでも生き残るトラッキングコードのインストーラーです。分析プロダクト本体はHotjar Ltd.との別契約で、Shopify外で課金され、その金額はこのリスティングのどこにも表示されません。リスティングに表示される直近の否定的なレビュー2件(2026年4月と5月)は、いずれも製品ではなく課金についてです。1件は継続課金が走っていることに気づかなかった例、もう1件は解約方法が分からなかった例です。
これをもってアプリが不誠実だとは言えません。説明文は明示的です。ただし、リスティングの価格が「課題を解決する価格」ではない例としては、このカテゴリで最も分かりやすいものです。既に他のサイトでHotjarを運用していて、テーマコードを触らずにShopifyへ入れたいなら0.99ドルは妥当です。セッションリプレイを探していて、見覚えのある名前として最初にこれを選んだのなら、間違ったものを買おうとしています。
各アプリが読み取りを要求するもの
セッションリプレイアプリが定義上ストアフロントを見るのは当然ですが、リスティングのデータアクセス欄は同一ではなく、その差はインストール前に確認できます。
- Microsoft Clarity: AI Insights — デバイス・アクティビティデータ(位置情報、IPアドレス、ブラウザとOS、閲覧行動、クライアントIDクッキー)に加え、直近60日の注文とオンラインストアのテーマ・チェックアウトページの編集権限。顧客の氏名・メール・電話番号は含まれません。
- Lucky Orange Heatmaps & Replay — 機密データ(氏名、メールアドレス、電話番号) を要求します。加えてデバイス・アクティビティデータ、顧客・レポート・ウェブピクセル・オンラインストアのスクリプトタグの編集権限。
- Propel Replay, Survey, Heatmap — 機密データ(氏名、メールアドレス)、位置情報とIPを含むデバイス・アクティビティデータ、直近60日の注文履歴の閲覧。
- Hotjar Install — デバイス・アクティビティデータとウェブピクセル・テーマへのアクセスのみ。インストーラーであることと整合します。
氏名やメールの要求自体は不正ではありません。両アプリが機能として掲げる「訪問者のIPと顧客情報を見る」「訪問者単位のプロフィール」は、そうでなければ成立しないからです。ただし、どのベンダーに顧客識別子を持たせるかについて社内に方針があるなら、それを適用すべきなのはインストール画面であって、導入後ではありません。
選び方
Basic / Grow / Advancedで、チェックアウトを見たい。 ここに解はありません。探すのをやめて、Shopify標準のチェックアウトファネルの件数で判断してください。
費用ゼロでリプレイが欲しく、30日の窓で足りる。 Microsoft Clarity: AI Insights。3か月後に見返す可能性のあるものは、その場でお気に入り登録すること。既定の動作は削除です。
トラフィックが多く、セッションあたりのページ数が少なく、1ドルあたりの録画量を最大化したい。 MIDA Replay, Heatmap & Insightの9.90ドル・5,000セッション、有料プランのLifetime Analytics Data。AI Assistantのアドオンは別途予算化します。
回遊が深い(セッションあたりページビューが多い)。 Propel Replay, Survey, Heatmapを選ぶ前に計算してください。ページビュー課金は深い回遊を罰します。有料広告に出稿しているなら、botと競合クリックの検出は選ぶ理由になります。
1人でリプレイを眺めるのではなく、チームで体系的にCROを回す。 Lucky Orange Heatmaps & Replay。App Storeのリスティングではなくベンダーの価格ページで見積もり、必要な保持期間のアップグレードを含めて計算します。
既に他所でHotjarを使っている。 Hotjar Install。スクリプトを入れるだけのアプリであることを理解した上で。
どれを入れる場合も、先にShopifyの「セッションあたりページビュー」と月間セッション数を開いてください。どのアプリのどのプランが自店にとって最安かは、この2つの数字が決めます。比較記事——この記事を含めて——が代わりに決めることはできません。
参考・出典
- Behavior reports — Shopify Help Center
- Microsoft Clarity: AI Insights — Shopify App Store
- Data retention — Microsoft Clarity documentation
- MIDA Replay, Heatmap & Insight — Shopify App Store
- Propel Replay, Survey, Heatmap — Shopify App Store
- Lucky Orange Heatmaps & Replay — Shopify App Store
- Lucky Orange plans and pricing
- Hotjar Install — Shopify App Store
Shopifyの管理画面側の住所検証は、全プランで常時有効、無料で、米国に対応している。チェックアウト時の検証もトグル1つで有効にできる。そのうえで公式ドキュメントは、サードパーティの住所検証アプリを同時に使うと提案が競合してチェックアウトのコンバージョンを下げうるため、どちらか一方にせよと明記している。ここでカテゴリの見え方が変わる。アプリは配送可能性の判定を二重化するためのものではなく、Shopifyの検証がやらない「私書箱の拒否」「部屋番号の必須化」といったポリシー強制のためのものだ。2026-09-02時点で米国App Storeの実在アプリ4本を確認した。月額4.99ドルの定額、1注文あたり0.04ドル、そしてShopifyの請求とは別に契約が必要なものまで幅がある。